わたしの「好き」はわたしが決める
好きなものについて文章を書くとき、こわくなる。
文章が誰かを傷つけるものになっていないかな。
世間的に炎上しているものだったらどうしよう。
自分の価値観をアップデートできているのかな。
無意識の偏見は無いかな。
好きだと公言しても良いものなのかな。
わたしのこの「好き」は間違っていないかな。
SNSがあって良かったと思うことは多々ありますが、同時に自分の意見や感想に自信を無くしてしまうこともしばしばあります。間違いや失敗を恐れて他の人の感想を読み「合っていた」と安心して書く文章は、自分の文章のはずなのにどこかよそよそしい。他人の目を気にする癖はいつまでたっても治っていません。
だけどやっぱり本心は好きなものに真っ直ぐ向き合いたいのです。自分が感じた気持ちや感情を大事に大事にしたいのです。
とよ田みのる先生の漫画『これ描いて死ね』4巻、第15話では主人公・相ちゃんの小学生の頃の話が描かれます。
大縄跳びに入れず、ひとりぼっちだった相ちゃんは漫画専門の貸本店ではじめて漫画に触れます。店長激推しコーナーで手に取った漫画『ロボ太とポコ太』の表紙には可愛いたぬきが描かれていました。「ゆうめいなまんが?」と尋ねる相ちゃんに、店員のお姉さんは返すのです。
相ちゃんはお店の漫画をぜんぶ読んでしまいます。
『ドラえもん』『うしおととら』『ドラゴンボール』『ワンピース』様々な漫画を借りて読み終わるたび、何度も『ロボ太とポコ太』を借り直します。読んだ中には怖い漫画もありましたが、それでも相ちゃんにとってはどの漫画も「ぜんぶぜんぶ おもしろーい!」ものなのです。その中でも特に『ロボ太とポコ太』がだいすきなのです。いっちばん面白いのです。
世間的には決して有名ではありません。「そんな物より素晴らしい漫画が沢山ある」と言われたって相ちゃんの中では特別なのです。出会えたことが運命なのです。
昔からの癖はすぐに消えて無くなるものじゃありません。
周りを気にすることは悪いことばかりではない(と信じたい)ですし、文章を書くときには出来れば誰のことだって傷つけたくありません。大縄跳びだって、きっと未だに苦手なままです。入るタイミングが分からずに心臓はバクバクするでしょう。
だけど自分の「好き」だと感じた気持ちくらいはちゃんと信じてあげられるようになりたいし、その気持ちを守ってあげたいなと思います。自分の価値観だって日々学んでアップデートすれば良いのです。泣いてしまうくらい苦手だった大縄跳びは20年の時を経て、相ちゃんとあの頃の自分を重ね合わせてより深く共感するきっかけにだってなるんです。
好きな気持ちに正しいも間違いも無いんだと信じたいんです。
だからこれからもきっと書きます。
自分の好きなものを好きだと書きます。
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