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まんぷく夫婦は自由の発明家だった

「面白い人生など存在しない。
人生を面白くする人間が存在するだけや」


2018年10月〜2019年3月の朝ドラ『まんぷく』。
個人的には朝ドラ史上、最高傑作でした!


1、そもそも「まんぷく」とは

NHKの連続テレビ小説(今更ですけど”小説”って入っているの良いよね)、通称朝ドラの第99作目。
当時は屋台で食べるしかなかったラーメンを家庭で食べられるように、とインスタントラーメン、そしてカップヌードルを発明した日清の設立者・安藤百福とその妻をモデルに描いた朝ドラ。

そもそも安藤百福さんの生き方自体が面白いと事前に知っていたものの、本当に生き方があまりにも「ドラマ」だった。


発明家の立花萬平(長谷川博己)と、その妻になるヒロイン・今井福子(安藤サクラ)の夫婦が生み出したのはラーメンだけではなかった。

最初の発明は写真を投影する幻灯機。根菜切断機、鉄板を利用して作る塩、栄養食品・ダネイホンを作った後、大阪の池田信用組合で理事長を務め、そしてインスタントラーメン、カップヌードルを作った。

発明をしている間に萬平さんは数度も憲兵に捕まる。
そんな経験をしながら日本の、世界の食文化を変えてきた。



2、他の朝ドラと比較してみて

小学生の頃から朝ドラを見るのが日課だったはいえ、しっかり毎日全ての放送を観た!と自信を持って言えるのは『あまちゃん』『半分、青い』に続き3作目だと思う。

その中でも他の朝ドラと比べてみて印象的だった点を。


① 演技派ヒロインの抜擢

近年の朝ドラでは最早お馴染みでもあるけれど、朝ドラは俳優さん女優さんの登竜門では無くなってきている。
今回の二大主人公を演じた長谷川博己と安藤サクラは言わずもがな。福ちゃんをひたすらキュートに演じた安藤サクラさんはまんぷくでまたガラリと印象が変わった。福ちゃんのことを好きになった時の萬平さんもとっても可愛らしかったなあ。


② 無かった子供時代

第一話の時点で既に福ちゃんはホテルに就職をしていた。姉・克子姉ちゃん(松下奈緒)と忠彦さん(要潤)の間には結婚して子供もいた。
朝ドラといえば、子供時代があって、そして成長が描かれていくのがセオリーだったけれど最初から最後まで安藤サクラの福子が観られたのはとても良かったなあと思う。福子は安藤サクラさんでしか考えられない。


③ 芦田愛菜ちゃんのナレーション

ちゃん付けで呼ぶのは失礼かもしれない。芦田愛菜さんのナレーションは本当に素晴らしかった!
序盤で亡くなってしまう主人公の祖父母がナレーションとして主人公のその後の人生を見守っていくことが多く、その人の心情で突っ込んだりと台詞的なナレーションを今までは朝ドラの常識のように思っていた。

しかしまんぷくの中に芦田愛菜さんは登場しない。ナレーション専門。よく通る伸び伸びした声、ハキハキとした喋り、決して物語の妨げになることがなく、自然にスッと補足説明がされる。それがとても心地よかった。

本当に素晴らしかったです。
半年間ナレーションありがとうございました!


④ 朝のドラマに相応しかった

個人的には他と比べてみて「朝からこの展開は重たいよ」となる回数が圧倒的に少なかったように感じた。もちろん戦争や、憲兵に逮捕されている間や、序盤で亡くなってしまう咲姐ちゃん(内田有紀)のシーンはとても悲しく辛かったけれど、泣き虫なわたしにしては、あまり悲しみの涙を流した覚えがない。朝の一日の始まりを彩るドラマとして相応しかったように思える。

最終週の鈴さん(松坂慶子)による生前葬の回に関しては、朝ドラ史上最も泣いてしまったと言える回だったけれど、そこに悲しみは1ミリも無かった。登場人物のひとりひとりに対する愛がぶわあっと膨らんだ素敵な15分間だった。

亡くなる登場人物も少なかったな。咲姉ちゃんと三田村会長(橋爪功)くらい?咲姉ちゃんに関しては2週目で亡くなったけれど、たった2週間でもとても悲しくなるくらいの圧倒的な存在感だった。内田有紀さんおそるべし。



3、家族って良いものだ

福子と萬平さん夫婦をはじめとして、素敵な夫婦が沢山出てきた。結婚し、夫婦・家族となり、そして相手の家族の新たな家族になるということの素晴らしさを、改めて感じたドラマだった。

特に咲姉ちゃんの旦那・真一さん(大谷亮平)の再婚シーンでそのことを強く感じた。真一さん、忠彦さん、萬平さんは血の繋がりなど無いけれど、間違いなく「家族」だと思ったし、その3人のそれぞれの助け合いシーンは毎度毎度心にグッときていた。

どの夫婦も素敵だけど、パーラー白薔薇のマスター(加藤雅也)とママさん(牧瀬里穂)のふたりは、後半でしか出てこないものの間違いなく福子を支え続けてくれていた。家族では出来ない部分の支えをあのふたりがやっていたんだと思う。大好きだった。ちなみに冒頭の台詞はマスターの台詞だ。


福ちゃんは結婚前からずっと、ずうっと萬平さんを信じ続けた。誰よりもいちばん萬平さんを応援し、支え続けてきた。福ちゃんの優しさや愛が無かったらインスタントラーメンもカップヌードルも、いやその前の塩やダネイホンだって出来なかったかもしれない。福ちゃんは格好良い。凜としていて素敵な女性だ。


みんなが口を揃えて言う「福子のおかげだ」「福ちゃんがおったからや」「福ちゃんがいてくれたからだよ」と言う言葉がどれもこれも美しかった。

萬平さんと福ちゃんの周りにはいつも助けてくれるひとたちがいた。それは、そのふたりが素敵な夫婦だったからだ。そのふたりに影響されてみんながどんどん良い方向へと動いていった。
ああ本当に、素敵な夫婦だったなあ。



4、気になる俳優さん、女優さん

朝ドラは最早登竜門じゃ無くなったと書いたものの、それでもやはり知らなかった俳優さんや女優さんに出会わせてくれるきっかけになる。


① 世良勝夫(桐谷健太)

もちろん前から知っていたけれど、桐谷くんあまりにもハマり役でした。塩を売ってお金を盗んだときは恨んだけれど、なんだかんだ最後までずっと萬平さんの側にいた。(萬平さんと福ちゃんの優しさあってこそだけど)。「立花くん、僕らは親友やないか」と言う胡散臭そうな喋りかた、ひたすら真似しながら観ていました。思わず真似したくなっちゃうよね。こういう桐谷くんを観られてよかった!

② 香田タカ(岸井ゆきの)

神部くん(瀬戸康史)と結婚したあとは神部タカちゃん。
岸井ゆきのちゃんも前から好きな女優さんでしたが、もう一気に大好きになりました。学生から母親になるまでずっと可愛かったタカちゃん。神部くんと恋愛関係に発展するまでのふたりのやり取りも大好きだったな。

③ 森本元(毎熊克哉)

岡(中尾明慶)派か森本派か、って絶対あったと思う。このふたりの吉乃ちゃん(深川麻衣)をめぐるバトル(?)も面白かったな。
毎熊さん今後気になる俳優さんのひとりになりました。趣味はパーカッション、特技はストリートダンスらしい。えっ、格好良い…。

④ 立花源(西村元貴)

萬平さんと福ちゃんの第一子の源ちゃん、大人時代。
思いっきり不純な話ではありますが、顔が、タイプ!うわ、源ちゃんがイケメンになった!って思いました。
全然気が付かなかったんですが『きみが心に棲みついた』の出向社員を演じていた方!ああ、なるほど。言われてみれば。

⑤ 立花幸(小川紗良)

映画監督でもあり女優でもある小川紗良ちゃん。まさかさっちゃんが小川紗良ちゃんだったとは。途中でオープニングクレジットを観て「そうだったんだ」と気が付きました。普段の雰囲気と違うからわからなかった。
昨年ご本人と直接お話したのですが、まさかその直後に朝ドラで見かけることになるとは!下の記事の右側の女性の方です。今後ますます活躍の場が広がりそう。


5、最後に

この半年、毎日「仕事終わったらまずまんぷく観よう」っていうのを楽しみにしていたので、終わってしまったことが寂しい。
面白かっただけではなく、カップヌードルの歴史的背景を知れたことも勉強になったし。カップヌードルにフリーズドライの玉子やエビを入れるという発想、今まで当たり前のように食べていたけれどほんとうに凄いことだ。普通のラーメンにスクランブルエッグが入っていたら驚くのにね。

サムネイル画像は横浜のカップヌードルミュージアムに数年前に行ったときの写真が運良く残っていたので使用しましたが、改めて行きたくなっちゃうね。きっとしばらくは混雑するんだろうなあ。


萬平さん、福ちゃん、素敵な毎日をありがとう!

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