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紹介しよう。彼の名前は、安部礼司。

東京、神田・神保町にある中堅企業、大日本ジェネラル

そこで開発本部のグループリーダーを担っているのが、失敗した時に思わず「あたっ」と言ってしまう安部礼司です。


わたしが安倍くんと出会ったのは今から10年以上も前。

日曜日の黄昏時、17時からの約1時間。自作のために最後の一音が高く上がってしまうBOØWY『Marionette -マリオネット-』の着メロが鳴ると、うきうきしました。

当時はまだ安倍くんのことを「安倍きゅん」と呼ぶ元同級生、勝ち組ITイケリーマンの刈谷勇が日本にいたし、息子の永太も娘の蘭も産まれていなかった。


今日はそんな安倍くんの話をしよう。
極めて平均的なサラリーマン、安部礼司の話を。



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さて、安部礼司の正式名称は『NISSAN あ、安部礼司〜BEYOND THE AVERAGE』という。
2006年からTOKYO FMで放送されている日産提供のラジオドラマです。

日曜の黄昏時にラジオを聴く機会が減ってしまい、しばらく聴けていない時期もあったものの、radikoのタイムフリー機能と出会ってからはほぼ毎週聴いています。
わたしにとって安部礼司は週に一度の楽しみのひとつ。




ラジオドラマって、なに?

ラジオドラマとはずばり、音声のみのドラマ。
安部礼司では効果音とBGM、そして時代を超えるツボな選曲と共に音声のみでストーリーが進んでいく。ちなみにジャンルはコメディ。

この物語は、ごくごく普通のサラリーマン・安部礼司がトレンドの荒波に揉まれる姿と、それでも前向きに生きる姿を描いた勇気と成長のコメディである。
公式HPより

何度か番組をリニューアルしていて、現在の構成は2本立て。

安部くんの会社・大日本ジェネラルでの話や、神保町の人々の話、安部くんの家庭の話、それからイベントや季節に合わせた内容が放送されます。



覚えやすい登場人物たち

ドラマだから途中から聴いたって楽しくないんでしょう?なんて言われそうですが、そんなことは決してありません。キャラクターを連想しやすい名前がついていますし、どこから聴いても楽しめます。

例えば、主人公である安部礼司。
平均的なサラリーマンであることから名前の由来はもちろん、平均を意味するアベレージ(average)から。

「この…大バカモ〜ン!」が口癖の部長の名前は大場嘉門だし、出向社員の名前は出向旺次郎(でむかい)だし、なんでもネガティブに重く捉えがちな安倍くんの後輩は重山つら美。

ね、これなら分かりやすいでしょう?



知れるのはトレンドだけじゃない

安部礼司を聴いて学んだり知ったことが会話のきっかけになった、という経験が何度かあります。高校生の頃も、大学生、就活生、そして社会人になっても。


例えば2月2日(日)の内容は、

・つらみ、心を鬼にする?
・鬼滅のスウェット

の2本立てでした。


『つらみ、心を鬼にする?』では準備が苦手なつら美の、バレンタイン準備から節分を絡めた会社内での話。

仕事でのちょっとしたやり取りや、誰でも思うようなモヤっとする案件、そしてその対処方法が描かれていました。さらには節分の豆の効率的な片付け方まで!(豆の中に色付きの当たりを混ぜて宝探しゲームのようにするというもの。)


続く2本目『鬼滅のスウェット』は安倍家の話。鬼滅の刃とお洒落なスウェットが流行っているというのをミックスさせた内容でした。

スウェットで子供と公園に行こうとした安倍くんを妻の優ちゃんが「Gパンかチノパンに履き替えてよ」と注意。そこへ後輩の飯野が「スウェットが市民権を得た」というニュースを持ってきます。
そのニュースを見た安倍くんはさっきまで読んでいた鬼滅の刃に感化されながら公園に行って遊ぶのです。

「スウェットの呼吸 壱ノ型 着替えずに公園に行く」
「スウェットの呼吸 弐ノ型 砂場でも安心」

最後は「スウェットは、それに合わせるトップス次第」という優ちゃんからのお叱りの言葉で締め。


いま何が注目されているのかが会話の中から自然と分かるようになっているので、テレビやニュースで見るよりも誰かのお勧めとして知れるからこそ興味が沸きやすいです。

例えば今回は『鬼滅の刃』と『お洒落スウェット』でしたが、ビジネス書や飲食店のお勧め、最近話題のサービスについて等、取り上げられる話題は様々です。

トレンドだけじゃなくて、仕事や家庭、恋愛についても身近な話から派生して広がっていくので聴きやすいんですよね。



社会に出る前から聴き始めて

安倍くんと同年代のひとが聴いても、わたしが聴いても、安部礼司は面白い番組です。だけど、いちばんお勧めしたいのは社会人になる前のひとたち。

わたし自身がそうだったんですよ。
就活中に安部礼司を聴いて、社会人の面白そうな部分も辛い部分も知って、大日本ジェネラルのような会社だったら良いなあなんて夢をみて。聴くと元気になるし、いつもより社会に対して優しい気持ちになれる気がします。社会に対して手軽に興味が湧く番組なんじゃないかな。

新社会人になってからも安部礼司は支えでした。
番組内も同じ時間軸で進むため、4月に新入社員が入ってくることがあります。そんな新入社員の胸の内を聴いて、自分と同じ部分を見つけて励まされたり。時には新入社員教育に悩む先輩の声を聞いて、自分もこういう部分を気を付けようと反省したり。

安部礼司は、自分を見直すきっかけになる。いつだって当事者意識を持って聴くことの出来るラジオドラマなんです。

社会人になる前の、大人と子供の狭間のようなあの時期にぴったりな番組だと思っています。



安倍くんは20歳のわたしにとって身近な先輩だった。
社会を教えてくれたのは、わたしにとっては安倍くんなんだ。

ちょっと無理やりすぎるかな?
でもね、文字通りだよ、聞いてみてね、20歳

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