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この恋は実ってほしい

ページをめくって、すぐに閉じた。表紙を確認。
…いや、でも作品名は同じだぞ。

※今回は大人向け(?)な漫画のお話!

ほのぼのとしたかわいらしい表紙に対して不釣り合いな『この恋は実らない』というタイトル。全3巻。
気になってページをめくると、目に飛び込んできたのは女性のお尻。青年誌の絵柄で突如始まる1人の男性と双子の女の子との3人プレイ。あれ、読んでる漫画合ってる?と思わず表紙に戻ってしまいます。…あ、合ってる、合ってる。

俺様の名前は黒杉くろすぎ ひかる 様
大学二年生様

いかにもおバカな感じのモノローグです。これだけで主人公・輝くんのことが大体分かるのではないでしょうか。モテモテという設定ではあるのですが、正直、全然好みの顔ではありません。顔だけではなく性格だって全然良いなと思えないのです。モノローグはこう続きます。

二十歳にして抱いた娘は数知れず

彼女いない歴 二十年

同じ大学の同級生、ジムで出会った女の子、大学の先生、ファンだという女の子、現役女子プロレスラー兼グラビアアイドル。輝くんは数々の女の子と関係を持ちます。友人・白河くんに「いつか痛い目にあうぞ!」と忠告されていても。

特定の相手がいなかった輝くんですが、初めて本気で人を好きになります。名前も知らない、公園でいつも犬を散歩させている髪の長い女の子。どうやら林の向こうの洋館に住んでいるお嬢さんで、名前は百合子さんというらしい。犬はエリーゼ。百合子さんとお近付きになりたいとソワソワする輝くんですが、他の女の子との関係は続いたまま。「なんでまだ他のコとできるんだ?」と白河くんに聞かれた輝くんはこう答えます。

HそれHそれ  これこれだろ?」

「ラブホ通学も9連チャンが限界」なんて言う輝くんは全然好きになれるタイプの主人公じゃないのです。好きになるタイプの主人公じゃ、なかったはずなんです。なのに、なんでだろう。いつの間にか輝くんのことを応援しているのです。

ちゃお→花とゆめ→LaLaと通ってきたので、昔から恋愛漫画はよく読んでいました。大抵の漫画はヒロインとくっつく相手はこの人ね、というのが1話の時点で分かります。分かっている上でなかなかくっつかない焦ったさを楽しんだり、すれ違いに胸がぎゅ〜ってなったり、叶わないんだろうなという当て馬キャラに惚れ込んだり(わたしは完全にこっち派)するわけです。
もちろん両思いになってそこで終わりという作品ばかりではないのですが、誰と誰が結ばれるという結末を最初に分かっている上で読んでいる、という恋愛漫画が多い気がします。だから読みながら応援するようなことはなかったんです。

『この恋は実らない』は読みながら本気で応援してしまいました。こんなどうしようもない主人公・輝くんのことを。この恋は実ってほしい、と。輝くんが今更純愛なんて、とも思うのですが、それでも輝くんと百合子さんが上手くいってほしいと願ってしまうのです。だって、応援したくなるくらい結末が読めないんだもの。叶うのか?って思ってしまうんだもの。実ってくれよ!と思ってしまうんだもの。
びっくりしちゃうよ。2回読んで、2回とも1巻の最初の時点では輝くん好きになれないやって思っているのに、2巻時点ではもう本気で応援し始めて、さらには切なさすらも感じちゃうんだから。

Twitterで感想を見ていたら「友人に勧めたら引かれた」というツイートを見かけたので書くのを少し躊躇ったのですが、こんなに応援した恋愛漫画は初めてだったので思い切って書きました。
アダルトな描写が大丈夫な人は輝くんの変化と恋を是非追ってみてください。なお、冒頭でも書きましたが表紙と中身は全然絵柄が違いますのでご注意を。


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