スウィート17モンスター

誰もがこじらせて、大人になった

10代の女の子はまさにモンスターのよう。

感情も気分もくるくる変化する。
さっきまで「ああもうっ!」ってムカムカしていたかと思えば、次の瞬間には手を叩きながら笑っちゃったりしている。


さて、こじらせ女子という言葉でピンとくる映画といえば『勝手にふるえてろ』が挙がるのではないでしょうか。

わたしはこれを観てヨシカ(松岡茉優)の気持ちが痛いほどに分かってしまい「あれ、自分もこじらせてるのか」と思ったものです。笑える部分も多いのにグサッとこころの奥に刺さり込んでくる映画だった。この松岡茉優ちゃんの演技が本当に好き。

『勝手にふるえてろ』は20代以上に刺さるこじらせ映画だと思うのだけど、一方で『スウィート17モンスター』は10代の内にこれを観てたらきっともっとグサグサきてたんだろうなあと感じる映画だった。ああ、こういう時代がわたしにもあったよなあ、って懐かしんでしまうような。

( ああ、サムネイルのインパクト…!! )


まだ恋より友情が大切な17歳。キスも未経験、妄想だけが空まわり。 ネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)は17歳の高校生。キスさえ未経験の、イケてない毎日。恋に恋する妄想だけがいつも空まわりして、教師のブルーナー(ウディ・ハレルソン)や情緒不安定な母親(キーラ・セジウィック)を困らせてばかり。たった一人の親友クリスタ(ヘイリー・ル・リチャードソン)だけが自分のすべてだと思っていたのに、何をしてもかなわないとコンプレックスを抱いていた人気者の兄ダリアン(ブレイク・ジェンナー)とクリスタが恋に落ちてしまう。疎外感から世界にたった一人取り残されたような気持ちになったネイディーンは、とんでもない行動に出るのだが…。
Filmarksあらすじ


ただひとりの大切な親友が、自分には無い何もかもを持っている兄と、付き合ってしまう。
10代女子にとってこれは大事件だ。

「どうして私だけがうまくいかないんだろう」
「どうして周りはキラキラしてみえるんだろう」

「どうして」「なんで」って、こういうこと散々思ったりしたなあ、ってズキズキ胸を痛めながら観た。
大丈夫だよ、もう少し大人になればへっちゃらになるよ。世界は広いって知ることができるよ。なんて、いまになれば思うけれど、中高生の頃って自分の周りの小さな世界が異様に大きいからね。


中学生の時、わたしが自分の好きなバンドを友達に勧めて、ハマってくれたことがあった。嬉しくてCDをいっぱい貸して、他の友達にもそれが伝染して周りが好きになってくれて。自分の好きなものをみんなが好きになってくれることが嬉しかったし、好きなものの話をすることが楽しかった。
そんなある日、そのバンドのライブにわたし以外の友達同士が誘いあって行っていたことを知ってしまった。別に仲が悪かった訳でも嫌われていた訳でもないのだけど「わたしが勧めたのに…」というモヤモヤが残ってしまってそれからしばらくはそのバンドのライブに行くきっかけが掴めなかった。
わたしは、誰かが好きになってくれたらそのひとと一緒にライブを観に行けたら良いなあと思っていたのだ。それなのに、、と。

今にして思えば器が小さいなあと思うけれど、当時のわたしはとっても悲しかった。軽く笑って「わたしも誘ってよ」って言えば良かったのかな。「次はわたしも行きたい」とか言えば良かったのかな。そんな風に何度も何度も考えて、大好きなバンドの曲の筈なのに何故だか聴くと切なくなってしまった。


そういう小さいこころのチクチクを思い出す映画だった。大人になってから思い返せば大したことじゃないかもしれないけど、あの時のわたしは精一杯悩んで精一杯生きていたよなあって。


「どうして自分だけが」と悲しくなってしまう主人公のネイディーンに母が掛けるおまじないのような台詞が素敵だった。

ママは落ち込んだ時こうする
静かに時を待つ じっと待つの
そして自分にこう言う

誰だって 私と同じくらい みじめで空虚なのよ
隠してるだけ

試してみて
心が落ち着くわよ


ネイディーンの先生もまたとっても素敵。
こんな大人が周りにいるのは心強いなあ。


10代の気持ちを取り戻したい方に、お勧めです。
自分へのイライラやモヤモヤ、あったよね。

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