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甲子園という場所vol.12

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三択と思いきや、一択しかありません。
嬉しい限りです。

近江高校。
滋賀県の強豪校であり、2001年の夏、当時1年生だった古茂田は、名電寮の食堂で、夏の甲子園決勝を見ていた。

日大三(東京)ー近江(滋賀)

日大三高の圧倒的な破壊力に衝撃を受けた反面、近江高校も複数のピッチャーを擁して堅実なチーム。堂々の準優勝。

アルプスは、近江高校のカラーである、ブルー。通称:近江ブルー。

『近江のユニホーム目立つなぁ。』

そんな印象をずっと持っていた。

その2年後に、まさか、自分の目の前に近江ブルーの大応援団が立ちはだかるとは。

『目立つなぁ。』


【愛工大名電ー近江】

手の内を知り尽くしたチーム同士の戦い。
この当時の近江もバッテリーを中心にバランス良くまとまったチームであり、勝負強さもある。2001年に準優勝した時、1年でありながら出場していた大西。最終学年になって、注目を浴びていた選手で、実績も充分、乗らせると嫌なイメージもあった。

『でも、練習試合では勝ってるし。』

みんな、どこかそうゆう気持ちがあったと思います。
国士舘戦と同様、なかなか流れが来ない。
チャンスを作るも、ことごとく点に結びつかない。
一方で、近江は、投打が噛み合って、まず先制点。コツコツ点を積み上げて行く。

当時思っていた正直な感想。

『あれ?近江ってこんな強かったっけ?笑』
『練習試合と全然違う。』

短期決戦の怖さ。
成長しているのは、他のチームも一緒だという事。
気付いた時にはもう遅かった。

ピンチの後には、更にピンチが。
やっぱり大西だ。ラッキーボーイ的存在だった選手は、2年後にしっかり力をつけて帰って来る。そして、元々兼ね備えているラッキーボーイ的雰囲気。
やられた。
4点目。

名電も初戦よりは、ヒットも出るが、なかなか点に結びつかない。
そしてターニングポイントであった、中盤の名電の攻撃。
まず1点が欲しい場面。ワンアウト3塁。
バッターは、古茂田。

今まで、取り組んできた、守りと、バントを中心とした小技。ココだけを重点的にやって来た古茂田にとって絶好の場面。

『絶対に来る。スクイズのサイン』

『やっぱり!来た。スクイズだ。』

〜スクイズとは〜
・ランナーが3塁にいる時に、ピッチャーが投げた瞬間に3塁ランナーは、ホームに走る。
その間、バッターは、全てのボールに反応してバント。ボールを必ず転がして、ランナーを生還させ1点を取りに行く作戦。

サインが出た後も動揺せず、古茂田も頷く。

次の瞬間、サードランナーの堂上がスタートを切る。古茂田は、すかさずバントの構え。

近江バッテリーが選んだのは、スライダー。
警戒しているそぶりもない。
外から見れば、名電の意表を突いたスクイズ。

一瞬思った。

『あれ?このピッチャーのスライダーって
       こんなに曲がったっけ?泣』

そんなスライダーが来るとは夢にも思ってなかった時の甲子園練習時の古茂田。
ショートのイケメン杉浦と。

古茂田のバットをかすめる事なく、キャッチャーのミットへ。
スタートを切っているランナーは、タッチアウト。動揺した古茂田も結局、三振に終わり、万事休す。

『全国放送で、完全やらかした。
     ベンチにも帰れないし、
        名古屋にも帰れない。』

この最大のチャンスを逃して、9回に満塁まで作るが、時すでに遅し。

愛工大名電(愛知)ー近江(滋賀)
    0 ー  4

気付けば、ベンチの前に呆然と立ち尽くし、
    近江高校の校歌を聞いていました。

愛工大名電ベスト16で、散る。

試合が終わった後は、何も考えられず時間が過ぎて行った。
でも悔しさが決意の原動力になりました。


夏、甲子園に必ず帰って来る!


そう心に決め、甲子園の土は、持って帰りませんでした。
欲しかったなぁ笑
でも、そんな雰囲気じゃなかった。

あ、タケ(堂上)のホームランは、おあずけです!

古茂田ですか?笑
9回の名電の攻撃で、めちゃくちゃ綺麗で痛烈で地を這うようなライト前ヒット打ちましたよ。
甲子園初ヒットになりました(^^)

この日の名電も国士舘戦に続きノーエラーで、負けましたけど、チームとしての収穫はありました。

新チームから始動して、この舞台まで来れて、1勝出来た事。監督への甲子園初勝利をプレゼント。
今考えれば、出来過ぎです。
映画の実写化希望です。
堂上役は、自分にやらせて下さい!!
あ、やっぱり、いろいろと、ややこやしくなるので、
公開は未定です。

負けた事で見えて来た事。短期決戦の怖さ。

【甲子園には魔物が住んでいる】

これは、良く言われるフレーズ。
自分の解釈ですが、魔物が住んでいるのではなくて、プレッシャーや責任感、いろんな状況を踏まえて選手達が自分で作り出してしまっているものなのではないか。
そう感じました。
結局は、自分との戦い。
でも、自分のバットには魔物住んでました!!
あの時、ちょっと重く感じたんですよねぇ笑

本当に思い知らされました。

でも、負けた瞬間から、すでに次の目標は、決まっていました。
(甲子園の土は欲しいよぉ!!)


【春夏連続甲子園出場!!】



宿舎に戻りようやく落ち着き、冷静になって
考えてみました。

うわー。気まずいよー。
バント怖いよー。
名古屋帰りたくないよー。


結論:
魔物は、
 甲子園に限らずどこに(宿舎)でもいる。


               〜つづく〜
#野球 #高校野球 #甲子園 #日記


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