不安を一つ蹴飛ばして (詩)
不安を一つ蹴飛ばして
もっと大きな不安にぶつかって
共に転がった先にあった
さらなる不安と合体して
膨らんだ巨大な不安に呑み込まれる
自分より愚かな誰かを笑って
自分より不幸な誰かを憐れんで
太刀打ちできない力の前で卑屈な笑みを浮かべ
どうせを口癖に
私なんてと嘯いて
それでも生きてここまで来たのも
死ねなかったからなんて消極的な理由で
それでもここまで生きてきて
よく頑張ったねとかおかしなことを言うあんたを
睨みつけた目から水が出る
ドラマのヒーローにでもなったつもりか 一話で退場のくせに
中途半端に私の人生に登場するな
何も変わらない 変われない
どんな時も前向きなこと言わなきゃいけないこの世界で
誰に頼まれたわけでもないのに
不特定多数の誰かに向けて面白おかしくメッセージを飛ばす
そうでなければ居場所もない
それが当たり前ですよ みんなそうですよ
おかしくなんてないですよ むしろみんなおかしいんですから
そう言って菩薩のように微笑んだ女を
蹴り飛ばして殴りつけてメタメタにボコボコにしてから抱きしめたい
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