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娘の不登校日記/11.卒業式の葛藤

不登校生活が続く中、ついに卒業式が近づいてきた。
親の想いとしては、最後卒業式だけでも参加してもらいたい。
一生の思い出になると思うし、卒業式に出ることが中学校生活に繋がる一歩になるかもしれないから。
行ってほしい気持ちがあるが、無理やり行かせるつもりはない。
だから日々丁寧にコミュニケーションをとりながら卒業式はどうしたいかを探っていく。
娘の答えはいつも「わからない」だ。
本当にわからないのかもしれないし、行きたくないけど心配かけたくないだけなのかもしれない。

担任の先生も気にしてくれて、こまめに連絡をくれた。
卒業式のタイムスケジュールを確認しあいながら、朝から来れるパターン、途中から参加するパターン、式後に来るパターンなど、当日のいろんなパターンを想定した。

卒業式前日。
改めて娘と話す。
やはり、教室に行くのは無理そうだ。
卒業式の後は、教室に戻り最後のあいさつをし、保護者に見守られながら門から退場し、運動場に集合するという流れだ。
運動場では自由時間なので途中参加しても目立たない。
最終的に、当日参加できそうなら最後の運動場から参加するという結論になった。
でも当日の体調や気分によっては無理かもしれない。
それはそれでしょうがない。

そして当日。
娘は寝れなかった。
緊張や不安があったんだと思う。
行きたくないとは言わなかったので、行く方向で準備をすすめた。
出発の時間が近づき、卒業式用の服に着替えた。
行けるかわからなかったので卒業式の服を買うかは迷ったが、買っておいて良かった。
着替えた瞬間から一気に卒業式ムードになってきた。
他の生徒が卒業式を終えようとする頃、僕たちは家を出発した。
もちろん、通学路には誰もいない。
半年ぶりの学校到着して、生徒の退場を待った。
娘は明らかに動揺していた。

生徒たちが教室から出てきた。
通路の両端を親たちに囲まれながら、拍手とともにクラスごとに退場していく。そのまま運動場に流れていく。
クラスごとにまとまっている。
娘の背中を押した。
自分のクラスに一歩ずつ近づいていく。
それに気づいたクラスメイトが歓声をあげながら娘に駆け寄ってきた。
その瞬間がスローに見えた。
ドラマのワンシーンのようだった。
「あぁ、娘は必要とされてたんだな」
いろんな感情が込みあがってきて涙が出た。

気づけば、娘はたくさんの友達に囲まれていた。
先生もうれしそうだった。
本当に来れて良かった。
今日の一歩は、今後につながる一歩になる気がした。
もちろん、まだまだ安心はできない。
でも今日の出来事は素直に喜びたい。
そう思った。

娘ちゃん、よく頑張った、お疲れさま。


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