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メンタリー・ヘルシーな社会に向けて。


4月1日は、もしかしたら、1年で一番こころがざわざわする日かもしれない。

今は僕は、正社員として働いてはいないから、この日の朝に、初々しい新入社員の集団を目にすることはなかったし、ある程度は、世間と距離をとっていられる感じがする。

それでも、川沿いを自転車で走っていたら、平日でも花見に来ている人がたくさんいて、華やかな服装や、ふんわりした笑顔に、新しい季節の訪れを感じる。

こないだまで、冬だったのに。
冬から春の変化はいつも急で、体が適応できない時期に、年度替わりなどという、人的環境ががらっと変わってしまうタイミングが重なるのだから、そりゃあ、落ち着かない。

気をつけてくださいね。
僕は去年、ちょうどこの2週間後くらいに、メンタルの調子を崩して、人生で初めて精神科を受診しました。笑

ぼちぼちやっていきましょう。
とりあえず、生きていて、それなりに生活できてたらいいんだと思います。仕事ができるようになるなんて、まだまだ先で良い。

自分自身のペースでいいし、環境が合わないなって思ったら、やめることだってできます。会社を選ぶのにも慣れてないんだから、どうしようもなく相性が悪いこともあるし、組織の方が明らかにおかしいことだってある。2~3か月くらいは、様子を見つつ、ゆっくり今の環境に自分を慣らす期間だと思っておいた方が、良い感じに力が抜けて、逆にうまくいくかもしれません。

去年の春、僕は、メンタルヘルスに関する仕事を、自分自身が調子を崩してやめてしまった。

それでも、うつの症状が落ち着いてから自分を見つめ直したら、やっぱり自分の関心は、生涯変わらずこの領域にあるんだろうなと思った。

どの本だったかは忘れてしまったけれど、精神科医の宮地尚子さんが、「メンタルヘルスに困難を抱えた人、つまり、いわゆる精神疾患の人を支援するだけではだめで、社会全体として、メンタリー・ヘルシーになっていかないといけない」という趣旨のことを著書に書いていらした。

メンタリーヘルシーな社会。
本のなかで、宮地さんがそれをどんな風に説明していたかは忘れてしまったけれど、たぶん、多くの人が心を病まなくて済むような社会のことだと思う。
SOSを出しやすいとか、休みたいときに休めるとか、そもそもそんなに追いつめられることがないとか。そんなイメージ。(雑な読者(僕)の勝手な解釈です。)


自分の周りの社会を、メンタリー・ヘルシーな社会に近づけていくこと。

特定の領域で、あるいは、ひとつの組織のなかでうまくやっていくことができなかったとしても、自分なりのミッションや、ライフワークのようなものを、そんな風に広く定義し直せば、へなちょこな自分にも、やれることがあるはずだと思えた。

得意なことで、自分に無理なくできる分野で、メンタリー・ヘルシーな社会に近づける努力をすればいい。

それはたとえば、臨床心理学や、精神保健に関する知識を身につけて、役立ちそうな情報を発信することかもしれないし、この社会で、明らかにしんどくなりやすいだろうなと思うような属性の人が助かるような仕事を、自分に無理のない範囲ですることかもしれないし、孤独に苦しむ人が多いのであれば、人と人が繋がるきっかけづくりをするのもひとつかもしれない。


今日紹介する、任意団体あわひのことを、僕が出会った当初からずっと応援してきたのは、その団体がやっていることに僕自身が救われたから恩返しをしたいというのもあるけれど、この団体を応援することが、自分の周りの社会や、もっと大げさに言ってしまえば、この国全体を、メンタリー・ヘルシーな社会に近づけるひとつの手立てになると思っているからだ。つまり、自分のやりたいことを叶える手段のひとつとして、あわひを応援しているのです!(代表の西村くん、なんだかごめん。)


僕もそうだったけれど、仕事が原因でうつや精神疾患になる人は本当に多い。もちろん、仕事上のストレスはひとつの要因や、きっかけに過ぎないかもしれないのだけれど、たいていの場合、うつになると、働くのが難しくなる。

働けない状態になったときに、能力主義の価値観がはびこる日本社会では、自尊心が一気に下がる。

「働けない自分には価値がないんじゃないか。」
「これから先、生きていくことができないんじゃないか。」

実際はそんなことはないんだけど、初めて精神疾患で働けない状態を経験すると、多くの人が、そう思ってしまう。


そんなときに、あわひがやっている、休む人のためのカフェに行くと、うつで休職をした人や、離職経験のある人に、たくさん出会える。
(誰が来るかは日によって違うから、毎回そうとは言い切れないけれど、代表がうつの経験者なので、少なくとも一人のうつ病経験者には会える。)

「なんだ、鬱で働けなくなっても、こうやって休みながら、生きてる人がいるんだ。」
「休職してる人がこんなにいるんだったら、自分も案外、なんとかなるのかもしれない。」

うつで離職する人が多いということを、情報として知っていることと、それを経験した、生身の人と直接かかわるとのでは、全然違う。

そして、そこでできた繋がりは、もしかしたら、その先も人生を支えてくれるかもしれない。

あんまり書くと、代表の西村君が書いたカフェの記事を読む前に疲れてしまうかもしれないから、この辺にしておきます。

良かったら、「休む人のためのカフェ」がどんな場所なのか、
代表の思いと、その場所の様子が伝わってくるこちらの記事に、目を通してみてください。

この国が、もっともっと、メンタリー・ヘルシーな社会になりますように。


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