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株式市場と、46億年史に見る地球クライシス(前半)

 新型コロナですが、世界で感染者は1億6千万人を超え、死者は333万人を上回り(21年5月現在)、世界経済は第二次大戦後最大の落ち込みを引き起こしました。ほとんどの投資家が予期しない、感染症やウイルスと言う経路からのショックで、一部には異論があるものの、自然界からもたらされた危機でした。今回は、600~700万年の人類史や、20~30万年のホモ・サピエンス史を超え、46億年の地球史全体を振り返り、これまでどのような自然ショックが地球上の生命体を襲ってきたかを、見て行きたいと思います。

1.22~24億年前、6~8億年前                                        地球全体が凍結し、生命が絶体絶命に陥った「スノーボールアース」

 22~24億年前に1回、6~8億年前に2回、少なくとも合計3回以上、全球凍結する「スノーボールアース」が起こり、マイナス40~50度まで気温が下がり、陸地はもちろん、1000メートルの厚さで海も凍ったと言われています。それを引き起こした原因は、酸素を発生する光合成細菌シアノバクテリアであるとの説が主流になっています。地球は、太陽からの距離などを考慮すると、本来の平均気温はマイナス19度程度であろうと推定され、地球の温かさは二酸化炭素などの温室効果ガスによって保たれています。当時の大気には、二酸化炭素の20倍以上の温室効果があるメタンが大量に存在していました。シアノバクテリアが作った酸素とメタンとが、化学反応を起こし、メタンが消失した事によって温室効果が失われ、地球の気温が急激に低下し、氷床などが発達して、全球凍結状態に陥ったとされています。加えて、地球表面の氷が太陽からの光や熱をはね返し、気温が一層下がるアルベド効果も働いた様です。

 現代は、むしろ二酸化炭素の削減に取り組まなければならない時代ですが、もし仮に「スノーボールアース」が起こったとしたら、人類は食糧・エネルギー確保の困難や、極寒による肉体的限界等で、壊滅的な打撃を受けるでしょう。

2. 古生代末 2.5億年前 ~ 95%が死滅した史上最大の大量絶滅         超大陸パンゲア分裂の引き金 「スーパープルーム」 が原因か? 

 古生代は、カンブリア爆発に始まり、魚類や両生類、爬虫類、昆虫等々、多様な生物が誕生した時代ですが、この時代は、生物種の95%が死滅したペルム紀の「大量絶滅(Great Dying)」によって、終わりを迎えました。原因の有力説ですが、超大陸パンゲア分裂の引き金にもなった、地球内部の核とマントルの境界で発生する、高温の上昇流「スーパープルーム」が、現在のシベリアで巨大な噴火を引き起こし、規模でアメリカ大陸の2/3を覆うほどの溶岩が流れ出たとされています。そこから生じる大量の塵やガス、エアロゾルが太陽光を遮断し、陸地や海中の植物が枯れ、食物連鎖が崩壊し、生態系が失われました。また火山ガスに大量に含まれる二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが気温の大幅な上昇を引き起こし、低温で深海底に封印されていたメタンハイドレード層のメタンガスが融解しました。それにより、メタンと酸素が化学反応を起こし、地球上の酸素が大幅に欠乏した事も、大量絶滅につながった様です。

 地球上の生物大量絶滅は5回起こり、「ビッグファイブ」と呼ばれています(1. 古生代・オルドビス末期/約4億4千年前、2. デボン紀後期/約3億7千年前、4. 中生代・三畳紀末/ 約2億年前)が、諸説はあるものの、上述の3. 古生代・ペルム紀末を含め、5回のうち4回は地球内部のマントル対流などに由来する「火山活動」が主だった原因でした。

 後半では、5回目の中生代・白亜紀(約 6600万年前)を取り上げると共に、自然ショックからの株式市場に突如襲い掛かるブラックスワンなどに付いて、記述して行きたいと思います。


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