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知っていれば引き出しが増える!脳卒中による感覚障害に対する治療の考え方について

こんにちは、コモレビです。

脳卒中の患者さんのリハビリで困ることの一つに感覚障害ってありませんか?

正直、感覚のない人の「感覚がない」という感覚が僕たちには理解できない。それはそうですよね。常に、僕らは感覚がある状態で、一日だけない感覚を体験しようと思ってもできませんから。

なので、患者さんとセラピスト側で症状の共有が不十分なケースが多いです。患者さんからしたら、できないって言ってるのに、セラピスト側がやらせるなんてことは、よくあります。良い関係を築く上ではその、ギャップをなくしたいし、少しでも患者さんの気持ちに寄り添いたい。

その解決策を、コミュニケーションと実際の治療の考え方の両方を考えてみたいと思います。

コミュニケーションについて

正直言いますと、良くなるかどうかは患者さんの脳の可塑性にかかってきます。(こちらが、ベストを尽くしたとしても)

再生医療でしか、補えないレベルがあります。

【局在的変化】
浮腫の改善:数週間か二ヵ月
ペナンプラの改善:数時間から数週間
ディアスキシスの改善:数日間から数ヵ月間
【脳の再組織化】
神経伝達物質の変化:数週間から数年間
サイレントシナプスの顕在化:直後から数か月
シナプス形成:数種間から数ヵ月

リハビリテーションのための脳・神経科学入門 森岡周

神経組織の回復タイプでは

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A軸索切断→Bアンマスキング→C側芽→D移植

現状ではDの移植は将来的に幹細胞など再生医療が進んできてからの話となりそうです。

なので、患者さんの早く治ってほしい気持ちはわかります。そのためにも、今やれることに目を向けて、前に進んでいく関わりが重要になります。

”感覚がわかるかわからないか”に固執しすぎないことです。

回復過程は時間がかかりますが、頭の中では回復がゆっくりですが進みます。リハビリを進めていくことで、現状より必ず良くなることを伝えて、安心させてあげて下さい。

また、動作が行えないことの原因が感覚障害にあるのか?

ということも考えないといけないと思います。

・実は、できる能力があるのにやり方がわかっていない

・潜在能力を引き出せていない

などがあります。

現状では、どうしようもできないことから、できること。強みを生かしてどうすればできるようになるのか。前向きな関わりが大切です。


感覚障害に対する治療の考え方

脳の機能をイメージするとわかりやすいです。

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わかりにくいかもですが描いてみました 汗

⑥:補足運動野 運動のプログラミング
↓ 1
④:一次運動野 運動の指令を出す
↓ 2
筋より固有感覚情報
↓ 3
脳に戻る

簡単に言うとこういう経路なんですが

ざっくりいうと 3 の求心的な感覚情報が入らないんです。

では、どうすればいいか。

簡単です。フィードバックを伝えてあげればいいんです。

運動のプログラミング、運動の指令は行えてもフィードバックがないのでうまく身体が使えません。

もしも、足の裏の感覚がなかったら歩けますか?って話です。じゃあどうしますか?鏡を見たり、四つ這いになったりして視覚代償を使ったり、頭の傾きから重心を検知してバランスをとったりあらゆる手段を使いますよね。

患者さんの場合、僕らと違って、片側が不自由なので、身体のうまく使える部分が限られてしまい、6野→4野が過剰に強化されそれが習慣化され、誤学習が強化された、いわゆる我流の動作になりやすいです。

動作を行う際の、身体の構えは、随意運動に伴う学習で作られます。

なので、随意運動の使い方次第で、身体の構えが変わってしまいます。体の構えは体幹など中枢部の活動が重要となります。抹消の動きが良い前提として体幹機能の先行する活動が担保されていることが条件となります。

つまり、手指の巧緻動作に体幹が影響します。

患者さんとリハビリを行う際は、患者さんに変わって、良いか悪いのかの修正をしてあげることが重要です。

最近も、ありましたが、どんだけ、身体のアライメントを修正しても歩行が変わらず。後日、感覚フィードバック主体にしたリハビリを行った方が歩行が良かったなんてことがありました。

患者さんによって個人差はあります。筋や関節のアライメントを修正して、少しでも感覚入力が高まりやすくした方が効果がある場合もあります。色々試してみることが大切です。

感覚がなくても歩ける患者さんはたくさんみてきました。

反復して行うことで、適切なタイミングで正しい感覚入力が入ることで脳の可塑性に貢献できますし、身体がそのタイミングなどを覚えてきます。あとは患者さんの回復を信じて、セラピストとしてはあらゆる手段を使って、使えるところは少しでも使う気持ち。+αを見つける気持ちで患者さんと向き合っていくだけです。

以上、僕が普段考えている感覚障害の患者さんとのリハビリについてでした。今回は、気になっていることを書いてみましたが、文章にしてみると結構難しいなあ。もっと勉強しないとなあと反省しました。

どうか、少しでもお役に立ててればと思っています。

それでは。



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