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まごのての出番

大学生、社会人として子どもふたりが家を出てから約1年。夫婦二人の生活にもだいぶ慣れてきた。子たちは必要なときは連絡してくるが、本当に用件だけ。このあいだは「あさイチに東京スカパラダイスオーケストラが出ている!録画しといてほしい」というLINEが唐突に来た。というわけで!? たぶん仲が悪いことはない。「たよりがないのはよいたより」と思っている。

今年のGWは二人とも帰省してこないそう。そっか。上の子と下の子の帰省スケジュールが合わず、もう1年、家族4人そろっていないことに気付く。それぞれの生活を大事にしてくれたらいい。「借金はするな」「車に気を付けろ」「ちゃんと食べ」それくらい。

ところで私は1日1回は「まごのて」を使う。そう、手が届かない背中をかくのにもちいる棒。オーソドックスな、竹製&ゴルフボールが先っちょについている棒。この1年、出番が増えている気がする。

子たちが家にいたころ、時々子に背中をかいてもらっていた。「ちょっと背中かいてほしい。」とたのむと「うんいいよ~」と快く引き受けてくれる。小さい頃からそうだ。「もう少し右 ああ、そこそこ。その感じ」子にかいてもらう背中は、本当に気持ちがいいのだ。つめの長さとか力かげんとか。よく私のツボを心得ている。だいたい60秒から120秒、と背中かきタイムの時間は決めていた。あまり長くやってもらうと申し訳ないから。

かわりに私も背中をかいてやった。時に子の足をもんでやった。赤ちゃんのころから「ふと足ふと子」だったねえ、母に似ちゃってごめんね~なんて笑いながら。おたがい最後、カウントダウンをして「3,2,1,はい終了~」とかけ声をかけるまでが至福タイムだ。「ありがとう、気持ちヨカッタ~」

そんな日々を思い出しながら、まごのてで背中をかいている。もう、あの手はないのだな。子たちも自分で自分の足をマッサージしているのだろう。まごのてを引越し荷物に入れてやらなかったなあ。かゆい背中はどうしているのか。今度聞いてみよう。

今日も車に気を付けて、ちゃんと食べて、笑って過ごしていますように。

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