向精神薬の減薬と断薬ノウハウ
精神科ユーザーの主な関心事は、収入と薬だ。最近は向精神薬の服薬に関する情報のニーズが高いと感じる。ここでは服薬、減薬、断薬についての意見を述べる
精神科ユーザーは基本的に10年単位での服薬が必要と指導される。なかには死ぬまで服薬し続けると指導する医者もいるだろう。精神科ユーザーは、薬に嫌悪感をもっていることが多い。
向精神薬を飲むたびに自分が精神を病んでいることを嫌でも自覚してしまう。向精神薬を周りから隠れて飲むことにも大きなストレスがある。抗精神薬を処方される精神科には、明らかに異常に見える患者さんもいて、そこへ通院するだけで自分のプライドも傷つく。通院時間や、診察を待っている時間は非常に長い。私も毎週2時間待ちで診断を受けていた時期もあった。
私の場合、服薬は、向精神薬と睡眠導入剤の2種類の併用だった。これは一般的な服薬治療のスタイルで薬が、一番少ない側の例だ。食前の薬に、向精神薬が単剤でないケースもあるし、向精神薬の副作用を止める薬を追加で処方されるケースもある。
向精神薬には、統合失調症の場合、幻覚や幻聴といった陽性症状を抑えるタイプの薬がある。これは2週間程度で効果が表れる。もっと早く効く場合もある。逆に薬をいくら調整しても幻聴が消えないケースもある。
その後、体力や脳の力を消費しすぎて疲れ切ってしまう時期が来る。陰性症状と言われる。やる気が湧かない、会話が少なくなる、楽しい趣味すら出来ないという状態になる。これは、体力が回復すれば3か月程度で回復していく。陰性症状を改善するためには、向精神薬を調整していく。調整とは、減薬のことだ。初期の薬は一時的に脳の活動を押さえて、筋肉にも力を入らないようにして、睡眠時間を増やすような作用がある薬だからだ。
陰性症状が現れれる回復期には、徐々に薬を減らしていく。同時に、ストレスなどの環境面を調整する。過重な仕事などを減らしたり、人間関係を整理したりする。この環境面の調整は精神科医は関与しないことが多い。家族や精神保健福祉士が中心となって調整する必要がある。
ここまでは、薬がある程度、必要で、症状を和らげる効果もある。しかし、環境を調整して陰性症状も収まって、趣味が楽しめる状態まで回復してからが、精神科の薬漬けが本格化する。
睡眠調整剤を併用して、睡眠を強制的に長時間とることが推奨される。その睡眠調整剤は非常に依存性が高い。薬がないと眠れないと感じるタイプの薬だ。これが、精神科に長くかかる仕掛けである。
もともとストレスを感じて眠れなくなるタイプだから、精神を病むのだ。睡眠導入剤などの薬に依存してしまうと、ますます睡眠不足になりやすくなる。また少しの睡眠不足も不安になる。睡眠不足を薬で治そうと精神科に通い続けることになる。
睡眠時間は、7、8時間とることが望ましい。が、世の中のほとんどの人はもっと短い睡眠時間しか取れていない。睡眠時間は、頭を使って疲れても増えない。身体を酷使して疲れると自然に眠るのが人間の仕組みだ。
薬以外に睡眠環境を整えるというアプローチもある。食事、風呂、寝室の照明、温度、寝具を整えるという工夫だ。アロマを焚いたり、夜の静かな音楽を流したり、明るい光を見ないように工夫している人が多い。
精神科ユーザーは、睡眠不足をきっかけに不調を感じて、主治医に薬を増やされることが多い。薬に嫌悪感をもっているが、依存性がある薬なので、止められない。
精神科ユーザーには自覚症状がないことが多い。自分は快調なのに、医者に「病識がない」と診断されることがある。病気であるという自覚がないという症状があるという指摘だ。そのため、自分で自分の体調管理はできないと思い込まされてします。自分で調子いいと思って、減薬すると「病識がない」と言われるのだ。
また、向精神薬は、予防効果があると説明される。症状がないときでも、服薬を続けることで、二度と発症しないように安定させる効果があるという説明だ。発症するののは、辛いのは間違いないが、発症後の強制入院といったトラウマが大きい。病気そのものの怖さよりも、周囲からの扱いが、極めてひどくなることがこわいのだ。その恐怖の元凶が精神科医だ。
精神科医は、入院を指示する力を持っている。両親は、無知で医者の指示は絶対正しいと信じ込む傾向がある。ちゃんと判断力のある家族なら、患者本人の意志を尊重したり、プライドが傷つかないような配慮を求めるが、ほとんどの家族は無知なので、一方的にされるがままだ。
以上のように、向精神薬は長期大量に処方されて、依存してやめられなくなる仕組みになっている。精神科の薬漬けだ。
減薬したい人は多いが、情報は少ない。減薬は危険、減薬は医師の指示に従うという程度の情報しかない。改めて、減薬について、私の集めたノウハウを紹介する。
1)減薬は睡眠導入剤から始める。
睡眠導入剤の方が、依存性が高く、副作用も大きい。
2)減薬は長期間かけて徐々に行う。
睡眠導入剤が、たとえば5ミリ錠なら、少し削って飲む。薬剤師なら、割るだけで効き目や効く時間が変わると反対するだろう。しかし、睡眠導入剤は減薬ではなく、断薬が目標だ。
3)睡眠導入剤の断薬
睡眠導入剤を削って飲む、飲まない日を作る、といった調整を数か月以上かけて徐々に進める。断薬するには1年以上かかると思う。
4)環境を整える
睡眠時間が一時的に減ることになるが、昼間に眠気が現れることも予想される。自動車や機械の運転を避けられる環境を整える。
5)向精神薬の減薬
これも徐々に時間をかけて行う。睡眠がある程度安定してからがいい。あくまである程度の睡眠でいい。ぐっすり毎日熟睡できるまで待っていてはいつまでたっても先に進めない。薬を削ったり、服薬の間隔をあけたり、服薬しない日を作っていく。
6)向精神薬の断薬
減薬が進めば、中には断薬も可能な人がいるだろう。幻覚幻聴が全く現れない人は、断薬できるケースもあると思う。だが、注意点は、服薬以前とも服薬中の性格とも違う性格が、現れるケースがあることだ。
7)向精神薬の断薬後
覚せい剤を乱用して逮捕された芸能人を見ると、復帰後にも違和感を感じる。表情やしゃべり方が、どこかしら常人と違うように見える。覚せい剤という薬物が脳内の変化を与えていることで怖さを感じてしまう。それと同じように向精神薬も断薬後も、完全には常人と同じには戻れない。
8)向精神薬の断薬後の生活
断薬後には、頭が異常にくっきりと冴えわたって感じた。眠気もしない。いままで、半分以上眠って、身体を動かしていたように感じる。そのため、急に頭が回転して今まで言えなかったことが言えてしまう。出来なかった行動ができてしまうという変化がある。逆に見えると、断薬して、ズケズケ馬鹿なことを話し出したり、無謀な行動や突飛な行動をたくさんしているように見える。
9)断薬後の生活環境
他人との会話や行動で、トラブルが多くなるのはある程度、仕方がない。考え方や感じ方が特殊で、その上抗精神薬を服用して断薬した副作用もある。だがトラブルを避けるには、薬を再開する以外にも方法はある。環境を整えることだ。
10)生活環境と障害
統合失調症の症状はなくても、一般的なサラリーマン生活に戻れない人もいるだろう。私の場合はサラリーマン生活に向いていないと諦めた。複数のバイトを掛け持ちしたり、社会活動、在宅ワークもやった。無駄な出費を抑えて生活を楽しむ工夫やストレスをためずに発散する工夫もした。
以上が、精神科ユーザが多く直面している薬の問題に対する私のノウハウだ。全員が同じ体験を出来るわけではない。減薬や断薬に向いてない症状や体質の人もいる。そこの判断が、一番難しいのだがここでは書けない。参考になればありがたい。
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