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【うつ病日記 11】 私だけのための子守唄

2022.7.4

1日に一度は酷い落ち込みがある。

エビフライが原因でアメリカのことを思い出したり、突然友達のことが信じられなくなったり、お母さんにかまってもらえなかったのが悲しかったのを思い出したり。

理由は様々だ。

お母さんに撫でてもらいながら歌を歌ってもらうと、昔を思い出す。
弟たちに歌っていたあの曲、ずっと私だけのために歌って欲しかったと思っていたことを思い出した。

でも実は、話を聞いてみれば、私は生まれたその日から歌ってもらっていたらしい。

ずるい、と思った。



私は幼い頃から歌が好きで、特にお母さんが歌ってくれる子守唄が大好きだった。でも、それは一度も私のための歌ではなかった。2歳下の弟に子守唄を歌う母の背中をみて、寂しさをくしゃくしゃに丸めて隠して、それでも大好きな母の歌を聞いて安心していた。

うつになって眠れなくなると、母が私に子守唄を歌ってくれるようになった。私だけのための子守唄。

嬉しくて、涙が出た。
「ずっと、私だけのために歌って欲しかった」
初めて口に出した。

すると母はこう言った。
「何言ってるの。生まれた瞬間から歌ってるのに。最初っから、○○のためだけの子守唄だよ。」




(写真は、ベネチアのサンタ・マリア・デッラ・サルーテ大聖堂にて)

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