見出し画像

江戸時代版:ハンペン豆腐の作り方など。古文書『豆腐百珍』解読①

天明2年(1782)の古文書『豆腐百珍』本編解読を今回から始めます。

すでに解読本も存在しているようなのですが、それをいっさい見ずに訳していきますので、念のためカンニングはしていないことを宣言しておきます。

百珍という名の通り、メニューは全部で100種類。そのため、毎回少しずつのご紹介になりますことをご了承願います。

それでは江戸時代の豆腐レシピをお楽しみください。

尋常品

1.木の芽田楽

温かい湯を大きな器に入れ、
切るのも串に刺すのも、その中でやります。
柔らかい豆腐があやうく落ちてしまう
といった心配もないためです。
湯から引き揚げてすぐに火にかけます。

味噌に木の芽はもちろんですが、
甘酒のかた入れを2度味噌にすり混ぜれば
もっともよいでしょう。しかし
多く入れると甘すぎてかえってよくありません。

最近では田楽ひばちの新しいものがあります。
【画像の絵を参照ください ↑↑↑】
長さ二尺(60cm)、幅二寸五~七分(約8cm)、
深さ二寸(6cm)あまりの四角い焼き物で、
表面には釉薬ゆうやくが施されています。

底はこのように
【画像の絵を参照ください ↑↑↑】
大きさ六・七分(約2cm)の穴がたくさんあり、
木のふね入子いれこにします。

槽の深さは四・五寸(12~15cm)、
足がついています。

中にツメがあってひばちは上から一寸(3cm)
ほどのところでひっかかるようになっています。

灰ではなく槽に水を入れて火を保ちます。
言うまでもありませんが、
爐・槽ともに二組用意しておき、
水が温かくなったら冷水に取り替えましょう。
水がぬるくなると、むしろ火気が弱くなります。

また、爐・槽は銅で作られたものもあります。
これであれば、田楽を座敷で焼いて
客にご馳走するときなど、
団扇で煽がずとも火気が強くなって
灰だらけになってしまうことはありません。

近江の目川めがわ、京北(京都市右京区の一部)今宮の
すな田楽は続編に取り上げる予定です。

2.雉子きじ焼き田楽

きつね色に焼き、おちょこに生の煮返し醤油と
すり柚子を添えて出します。

3.あらかね豆腐

よく水を絞り、掴み崩して油を使わず
酒・塩・醤油で炒って、すり山椒をつけます。

4.むすび豆腐

細く切って酢につけ、お好きなように結びます。
よく結んだら水に入れて酢気を取ります。
加減はお好みで。

5.ハンペン豆腐

長いもをよくすり、豆腐から水気を絞って
等分によくすり混ぜ、丸くして美濃紙に
包んで煮ます。白玉豆腐ともいいます。

6.高津こうづ湯豆腐

絹ごし豆腐を使います。
茹でて熱い葛あんかけにし、からしを添えます。
別名南禅寺ともいいます。

大坂高津のやしろの境内に湯豆腐屋が
三・四軒あり、その料理に使う豆腐屋が
門前に一軒ありますが、日本一の絶品でしょう。

京には南禅寺豆腐があり、一方、
江戸浅草には華蔵院豆腐があります。

7.草の八杯豆腐

太うどんに切り、醤油・酒・塩を適量加え、
隠し味に葛を使うとよいでしょう。
おろし大根を添えます。

「真の八杯豆腐」は「妙品81」で取り上げます。


【たまむしのあとがき】

この『豆腐百珍』、最大の難関は各料理がイメージしにくいこと。

豆腐は豆腐でしょー、白いやつよ。

もうどうやってもそれなんです。

どんなにイメージしてもそれ以外にない。

だから飽きるんです。

たぶん自分では気づかないうちに、いつもいろいろイメージを膨らませて訳してるんでしょうね。

まだ100分の7。

道は長いわー。

頑張ります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?