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江戸時代版:卵豆腐の作り方など。古文書『豆腐百珍』解読④

天明2年(1782)の古文書『豆腐百珍』本編解読第4回目です。

今回の目玉は卵豆腐。

訳してみてびっくり仰天。ぼーっとして何か間違ったのかと、見直すこと数回。あまりに今の卵豆腐と違って衝撃が走りました。乞うご期待!

番号は前回からの続き(原文通り)になります。

20.濃醤

一丁を四つ切にして、
お椀ひとつに一切れ入れます。
煮るときは花がつおの後に入れましょう。
最初に入れて煮るのはよくありません。
取り出してからすぐにすり山椒を置き、
その上にたっぷり花がつおをかけましょう。

21.ふわふわ豆腐

卵と豆腐を等分に混ぜてよくすり合わせ、
ふわふわ煮にします。
そしてコショウの粉をふりかけます。
卵のふわふわとした風味が変わることは
ないので、倹約をする人におすすめです。

22.松重ね豆腐

水前寺菜すいぜんじなを敷き、すり豆腐を卵の白身を
つなぎにして入れ、水前寺菜の厚さと
同じに伸ばし、蒸して味をつけます。
切り方はお好みで。

23.梨子豆腐

青干菜を炙り細かくして、すり豆腐にかき混ぜ、
頃合いをみて布に包み茹でます。味はお好みで。
▲昆布をよく炙り粉にして、上のように作った
ものを黒染豆腐といいます。

24.黒染豆腐

上記の通り

25.豆乳

おぼろ豆腐をほどよきところで取り、
美濃紙に包んで茹でます。

26.卵豆腐

豆腐の水をよく絞り葛粉をつなぎに入れ、
よくすって少し固めにします。
ニンジンの皮をむき、芯が残らぬよう
しっかり柔らかく煮て、上のすり豆腐で
包んで巻くか、もしくは竹の皮で巻いて
茹でて小口切りにします。
ニンジンの代わりにサツマイモを
使うのもよいでしょう。

通品(※レシピなし)

27.炙豆腐
28.油煤あげ豆腐
29.おぼろ豆腐
30.絹ごし豆腐
31.油煤あげ田楽
32.ちくわ豆腐
33.青菽あおまめ豆腐
34.やっこ豆腐
35.葛田楽
36.赤みそのしき味噌豆腐

佳品

37.なじみ豆腐

上々の白味噌をよくすって酒でうすく延ばし、
豆腐をほどよい大きさに切って、
しばらく漬けておきます。
そしてそのまま中火で煮ます。
白ネギのざく切り・青唐辛子・大根おろしを
加えます。器は柚子味噌などがよいでしょう。

38.つと豆腐

豆腐の水気をよく切り、甘酒をすりまぜて
棒のようにして竹すのこに巻きつけ、
蒸して小口切りにします。

39.今出川豆腐

昆布を敷いてかつおのだし汁と酒・塩を
加えて煮ます。しばらくしてから醤油を
加えて調節し、うっすら葛をひいて椀に
よそい、砕いたクルミをふりかけます。


【たまむしのあとがき】

豆乳も卵豆腐も現在のものとは全然違いますね。

卵豆腐は、ニンジンやサツマイモを黄身に見立てて、豆腐の白身でくるむという、見た目が卵のような料理でした。

豆乳もゴクゴク飲むものではなく、おぼろ豆腐の一種ですから、形の出来上がる過程にある豆腐料理です。

いつどこで今のような料理にすりかわってしまったのでしょうか。

非常に興味深いです。

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