死んだ金魚を生き返らせる方法など。江戸時代の古文書『廣益秘事大全』解読⑧
引き続き、嘉永四年(1851)の古文書『廣益秘事大全』から、奇巧妙術類(生活の豆知識編)の8回目です。
今回は生き物にまつわるネタと、衣服の汚れ落としネタです。
1.小鮒の鱗を取る方法
小鮒を好きな量だけすり鉢に入れ、
その中に笹の葉を加えて揉めば残らず落ちる。
2.小池の魚にイタチが寄るのを避ける方法
ひょうたんを吊り下げておくと
再びやってこない。
3.道に迷ったときに方角を知る方法
旅先で山道に迷ったときは、
水の流れに従って下ること。必ず道に出る。
野道に迷ったときはオモダカ※を探して
葉の向く方に方向に進むこと。
オモダカは人家の方に向く習性がある。
※オモダカ=水生植物
4.井戸を掘るとき水のある地を知る方法
井戸を掘ろうと思ったときは、
夜の気が澄んで明るいときに
桶や盥の類に水をいくつも入れて、
井戸を掘ろうと思うあたりに並べて置き、
どの水にも星の光がとても明るく
映っていると見えた場所を掘れば、
必ず良い水が出るものである。
5.小鳥の病を治す方法
小鳥が患ったときはケラ(おけら)を取って
餌にすれば治る。また、唐辛子水でもよい。
6.スズメを飼って白くする方法
スズメの子が卵の殻から出て
まだ羽が伸びていないとき、
蜜をごはんに混ぜて飼えば白スズメとなる。
7.死んだ金魚を生かす方法
サンシチニンジン※のしぼり汁を飲ませると
奇妙なことに生き返る。
※サンシチニンジン(三七人参)
=ウコギ科の薬用植物
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8.藍染の落とし方
衣服についた藍を落とすには
豆腐殻を釜に入れて、その中で煮れば
藍はきれいに落ちる。
9.長時間経った衣服の汚れを落とす方法
カタバミ※の汁で洗えばすぐに落ちる。
そのカタバミ汁でも消えないときは、
ムクロジ※や赤小豆の粉をつけて
再び洗えば落ちる。
※カタバミ=カタバミ科カタバミ属の多年草
※ムクロジ=ムクロジ科ムクロジ属の落葉高木
10.衣服の油落としの方法 および 渋落とし
油のついた衣服は、おろした大根を
もみつけておき、煮え湯で洗えば
奇妙なことに落ちる。
渋がついたときは白砂糖でもみ洗いする。
【たまむしのあとがき】
生き物ネタが多く登場しましたが、今回の中で一番感動したのは「井戸を掘り当てる方法」です。
たらいの水に星が一番きれいに映ったら・・・なんて、嘘のようなステキな話で感動しますよね。
こういった科学で証明できないような、摩訶不思議なものこそ妙に心に残ります。
そういった意味で、道に迷ったときにオモダカの向きに注意というのも、同じ類です。
オモダカという植物を知らないと、面白さも半減してしまいますが・・・。(わたしがそうです)
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