江戸時代の季節のお惣菜1・2・3月編。古文書『女中嗜日用宝』を訳してみた
今回からのシリーズはレシピではなく、そのまんまお惣菜の名前一覧です。ですので、その名前からどんな料理なのかを想像していただき、季節の旬の食材を気にしていただけると、実際の献立作りに役に立つかもしれませんし、スーパーでふと思い出すこともあるかもしれません。
四季惣菜の心得
毎日作る惣菜は、とても値段が安くて
味わいの良いものをもっぱら使うべし。
世帯持ちが困るのは、日々の惣菜である。
今ここに概略を記すので、
日常の参考にしてほしい。(全文訳)
正月二三月の部
●塩ブリ酒煮 または水炊き葛あんかけ
●ゴボウ・人参・漬けあわびのっぺい
●おから・牡蛎味噌汁(たんざく大根でもよい)
※原文の「きらず」とはおからのこと
●干かぶ・すくい豆腐味噌汁
●水菜・身鯨酒入り または揚げ豆腐でも可
さらに、はかり鯨でもよい
※はかり鯨(量鯨)=鯨の細切り肉の煮物
●たたきゴボウごま醤油
●水菜辛子醤油浸しもの
●ネギ・はかり鯨 または揚げ豆腐
※原文の「ねぶか」はネギの異名
●八杯豆腐・山芋すってかけ浅草海苔
※八杯豆腐=うどん豆腐
●ヨメナ・ほうれん草・レタス・菊菜のおひたし
※ヨメナ(嫁菜)=キク科の多年草
※原文の「ちさ(萵苣)」はレタスのこと
●わけぎ・はかり鯨酢味噌あえ唐辛子
●数の子唐辛子味噌あえ または辛子味噌
●春大根・棒鱈・大豆炊き出し
●人参を千切りにし湯がいて調理する平皿
●たたき菜・鮎子味噌汁
●レタス・ヨメナ味噌汁辛子
※原文の「ちさ(萵苣)」はレタスのこと
※ヨメナ(嫁菜)=キク科の多年草
●焼き豆腐・時期かつお浅草海苔もみかけ
●はまぐり・しじみすまし汁 または赤味噌汁
●切干大根・こんにゃくごま味噌あえ
●タニシ・木の芽醤油煮つけ または木の芽味噌
●白豆腐角切り木の芽味噌かけ
●わらびつけ貝炊き出し
このほかに、野菜・海魚・塩魚・干し魚・
干物など、時々の安いものを見合わせて
使うこと。
【たまむしのあとがき】
根菜や魚介類が多いので、やはり寒い時期の食べ物という感じがします。
そんな中、鯨が普通に食卓に上がるのが、新鮮な感動を覚えました。
「身鯨」と「はかり鯨(量鯨)」が登場しますが、「身鯨」は調べてもわからなかったので、いったいどういうものか謎です。(推測では尾の身ではないかという気がします)
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