見出し画像

目撃者の数だけ事実がある

ある時、交差点の真ん中で2台の自動車が軽い接触事故を起こしました。目撃者が10人いて、その人たちに事故の様子を聞いたら、10通りの答えが返ってきました。接触したという真実はただ一つですが、事実は目撃者の数だけ10通りあるということになります。

この手の話は昔からよく言われている話ですが、いつになっても変わらない普遍の法則だと私は思っています。なぜならそれらの目撃者は見た位置も違いますし、人に話をする時には少なからずその人の主観を交えて話すことになるので、微妙に違ってくるからです。

人間というのは極めていい加減なところがあり、正確に物事を見聞きしているか、正確にそれを伝えているか、ということに関しては極めてあいまいなところがあると私は思っています。だからこそ事実は10通りになるのです。

交通事故のような場合なら、今や精巧なドライブレコーダーや防犯カメラというものがありますから、目撃者の証言を聞かなくても真実がわかるからいいのですが、日常の仕事やプライベートのことで何か問題が起こった場合には始末が悪いのです。

例えば10人で会議を行なった後、全員に議事録を書いてもらったらわかりますが、実にとんでもないことを書く人がいます。中には、誰かが白と言ったことを黒と言ったと書く人もいるのです。そのように誤った受け取り方をしたり、誤って記憶したりしている人が必ずいるということです。

大事なことは、物事をどれほど真剣に見たり聞いたりしているかということなのですが、それに加えて、その人にどの程度のプレゼンテーション能力があるかということも重要なのです。おまけに人の記憶など全く当てにならないものですから、話を聞いている内に、あるいは話をしている内に、どんどんと言うことが変わっていくこともあります。

ここで私が言いたいことは「他人の言うことを信じてはいけない」ということではなく「人の話というのは100%正確だとは思わないで聞いておいた方が間違いがない」ということです。

それじゃあ、ここに書いてあることも、そのまま真に受けない方がいいのかもしれませんね。

#9

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?