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三和土

三和土とは「たたき」と読みます。元々は敲き土という字が当てられていたようですが、赤土に消石灰と苦汁(にがり)の3つを混ぜることから三和土になったようです。苦汁は塩化マグネシウムです。ベースは赤土、地元の土を使います。土は掘り返すと空気を含んで体積が三倍になると言われます。土を運ぶのは効率も悪いので地元のものを使います。今回は伊予市の土を使っています。土を締め固めてもそのままでは固まらないので硬化作用のある消石灰と、保水作用・凍結防止作用がある苦汁を追加します。 割合としては赤土3:消石灰1の割合で土を混ぜ、そこに6%濃度の塩化マグネシウム水溶液を入れていきますが、配合は土の種類や天候、季節によっても変わるので試しにサンプルを作ってみてから施工するのがおすすめです。

今回三和土を犬走に施工ましたが、これが結構難儀しました。古民家の土間などで三和土をするときは部屋の中なので四隅土台などで区切られるので土の角は出ません。この角が非常に脆いのです。固まっても角を踏むと簡単に崩れてしまします。一休庵でも1回目は硬化不良で固まりが悪くやり直し、2回目も固まる前に角に人が乗り、補修だと色が変わるのでやり直しました。その後も固まるまでに人が乗り角を崩したのですが3回目は補修で上手く直せました。文化財の修復をしている職人さんでもこんな感じですから扱いづらいと敬遠されるのもわかりますが、仕上がったものを見ればセメントとは違う自然素材の魅力が溢れていますので施工してよかったと…文化財などでは強度を優先してセメントを混ぜることが多いそうです。

躙口横の丸い塵穴
外腰掛けの四角い塵穴
三和土と炭、そして杉苔の美しい露地

今回は工期がなかったので施工後すぐに大工さんや建具屋さんや庭屋さんが出入りしたのですが、三和土をしたら最低一週間、できれば二週間ぐらいは誰も入らないようにするのがいいかもしれません。養生期間をしっかりとる、いい勉強になりました。もう完全に固まってはいますが、それでも心配で庭を見学に来られる方には「角は踏まないで」とお願いしています。軽いトラウマですね(笑

伊予市から運び込んだ赤土
焼石灰
ミキサーでよく混ぜます。消石灰はダマになりやすいのでダマを手でほぐしています。

三和土は施工する場所の下地を平らにし、型枠を組みます。ミキサーで赤土、消石灰をよく混ぜて苦汁を加えます。一輪車で運んで土を撒き、木のタコでトントン叩いて締め固めて行きます。タコは職人さんが作ったものですり減り具合が実績を語っている気がします。何十年かすれば脆く崩れて最後は土に還ってしまうかもしれませんがそれだけ地球環境にはやさしいということです。



塵穴は庭師さんが石を据え
左官屋さんが仕上げます
職人の手作り

三和土にはクヌギの菊炭が似合います。三和土の横に炭を埋めると角の保護にもなりますし、炭の大小と小口の割れ模様がいい感じです。この炭は娘さん夫婦が焼かれたものです。


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