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機能的価値と情緒的価値

最近ブランディングで機能的価値と情緒的価値の2つに分けて整理する必要があると書かれた記事をよく目にしたりする。

機能的価値とは、商品やサービスの機能面や品質面において提供できる価値のこと。

情緒的価値とは顧客が体感できる精神的な側面での価値のことで、機能的価値も情緒的価値も、企業側から考えるのでは無く、顧客のニーズに結びついているかどうかが大切なことだとされます。私が生業としている住宅建築で当てはめてみるなら、機能的価値は、デザイン性や耐震性能、省エネ性能であり、それを体現するために大工が地元の材を手刻みで加工する事で高い加工精度で設計性能を発揮出来ること、不朽しにくい地元材を使う事で耐久性が高く、結果耐震性などを維持しやすいという側面もある。またデザインと性能を直結させることでコストバリューにも貢献するなどだろうか、これに情緒的価値として、作り手の顔が見える家造りで職人と施主との距離を短めて、ここは誰々さんが工事してくれた、あの大工さんは私と一緒の趣味で…施主が現場に入りやすくすることでなんでも頼みやすい環境を提供して満足度を高めようと日々努力している。また家造りは人生の大きなセレモニーだから思い出に残るサプライズなども計画したりしているが、これからは機能的価値では無く、情緒的価値を高いレベルで提供出来るところが生き残っていくんだと思っている。機能的価値は大切だし、いわゆる技術力の高さは絶定条件であるが、この機能的価値は差別化が図りにくいし、施主側の求めていることとずれが生じやすいものだと感じている。

施主は耐震性能の高い住宅に住みたいのでは無く、地震の時に安全な家に住みたいと思っている。

省エネ性の高い住宅では無く、快適で尚且つ光熱費も抑えれる家に住みたいと思ってっいる。

デザイン性の高い住宅では無く、自分の理想とする片付いた部屋におしゃれで綺麗に住みたいと思っている。

と私は思います。私自身住宅の提供側でもあり、供給を受ける側でもあるので例えばもう一度家を建てるのに何処かに頼もうとした場合、耐震性能の数値がうんぬんより、ここにこういう収納を設けると片付くとか、こんな素材でオシャレな感じにすると料理が楽しくなる、掃除が簡単になる…なんて自分の生活のクオリティーが上がる話の方がワクワクすると思う。

無論機能的価値が高いことは大前提であり、その信頼の上に成り立つ話しではあるですが…

私の仕事は漠然としてますが、人と人を繋ぐことを仕事にしたいと思っています。

例えば施主と工事する職人さん達を繋ぐ、職人さん同士が最大のポテンシャルで仕事ができるように職人さん同士を繋ぐこと。現場監理も大切ですが、職人さんの性格や考え方を知ることも大事。施主も職人さん達もみんなで同じ釜の飯を食ってというスタンスで施主、職人、そして自分自身が楽しめてずっと残っていく住宅をこれからも造っていけたら良いなと思ってます。

まあ人と人を繋いでもそれでお金を稼ぐわけでは無いので(お金が絡むと正しく繋げ無くなると思うので…)繋いだ副産物として設計業務をさせて頂いて生業とはしているのですが…

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