瓦屋根は悪者なの…
昨日は古民家再生総合調査報告書の発行に、お見積もりの提出…ご用命頂けるようで嬉しいです。それに現場確認へ。
外壁塗装と屋根の葺き替えをしています。屋根はカラーベストからガルバ鋼板への葺き替えです。
地震が起こって一ヶ月が過ぎるぐらいになると倒壊された住宅の解体撤去が始まり、屋根にブルーシートをかけて応急手当てする家がテレビで放送されて、屋根の瓦の話題になります。
大体が、
「屋根の上に乗っている瓦の重さで倒壊した家屋がこちらで、完全に屋根の重さで潰されてますね…こちらは瓦が落ちてしまっているのでブルーシートをかけて雨漏りしないように応急処置がされてます…」
みたいな感じで瓦が悪者になっています。
地震の揺れで考えると、瓦が載った家は頭が重たい人…左右に揺れると上が重たいのでふらつきやすいです。もし頭がもっと軽かったら…同じ揺れ方でも左右の揺れ方は少なくなります。同じことが高さでもいえます。高い方が低い方が揺れは少なくなります(ただし揺れの周期は速くなりますが、今回は周期のことには触れません)。
瓦は重たいので屋根は軽い方が地震には強いですよ(この場合は柱が折れたり、倒壊しにくいですよという意味での強さです)。
確かに正しい考え方です。
では地震の多い日本で瓦屋根がずっと使われてきたのか…
日本は木造住宅が文化です。雨が少なく丘陵地の多いヨーロッパも昔は木造住宅でしたが、ローマ時代以降人口増加に森林資源が追いつかず石造り、レンガ造りの住宅が多く建てられて、また地震が比較的少ないので定着しました。
日本は隣の家との距離が短いから火災時に隣の火で延焼しないように瓦が使われている…現在の建築基準法でも住宅密集地の屋根は防火でないといけないと決められています。
また台風がよく来ます。台風で家が飛ばされないように屋根に瓦を載せます。沖縄などは瓦自体が飛ばないように瓦同士が漆喰で固められています。
地震意外の災害も踏まえてベストな選択として瓦が使われました。ちなみに昔の瓦は屋根の下地の板の上に土を乗せて瓦を置いていました。
地震時には瓦が落ちて頭の重さが無くなる事で建物の倒壊を防ぎます。
今は瓦はビスで屋根の桟に固定されます。揺れた際に瓦が落ちない造りなので家屋は倒壊するのです。
瓦が落ちないのは落ちた瓦で怪我をしないように…
一長一短どちらが絶対正しいということでは無いでしょうが、私は瓦を落とす構造の方が地震の時に建物の倒壊は少なくなると思います。
建物が倒壊した跡を瓦礫の山になった…などと言いますが、瓦礫は瓦と、礫は土とか小石という意味です。先人は瓦を落とすことを前提に倒壊を防ぎ、中に居る人の安全を確保していたんだと思います。先人の知恵で載せられた瓦と、今の基準で葺かれた瓦の違いを踏まえた上でどうしていくのがいいのか…そんな議論が必要だと思っています。
私は築年数、間取りと構造体などを観て屋根を軽くするか、壁の補強を多くしていくかを判断してお客様にご説明しています。
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