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【感想】映画 イチケイのカラス

斎藤工がかっこよすぎた…!!!


無駄な肉がないのに厚みがあってがっしりしてる体型がどタイプ。斎藤工のワイシャツ腕まくりが見られるだけでこの映画には価値がある!!

※以下、ネタバレ含みます

予告から察するにストーリー的には国家権力vs法のチカラって感じなのかなと思ってたんですが、実際に見てみたらわたしの個人的な印象としてそこはちょっと薄めな感じがしました。

一見するとまったく関係のなさそうな複数の事件が実は繋がっていて、それぞれが真実に近づくことですべての謎が解けるみたいな構成。

見ていて思い出したのは『HERO』の映画第2段。検事と弁護士(裁判官)とで立場は違うけど、設定や話の土台?が似ているなと思いました。

そういう、複数人で集めたパズルのピースが意図せずひとつの絵になる…みたいな熱い展開は好きなのですが、今作はなんというかひとつひとつの事件が丁寧に描かれ過ぎている感じがして途中でちょっと飽きた時間がありました。

また比べちゃうんですけど、たとえばHEROだったら主人公のキムタクが事件を解くための重要なカギを見つける描写は丁寧に描かれていて、

八嶋さんとか小日向さんとかの名脇役たちが見つけた情報は、キムタク(と視聴者)に情報共有するだけで比較的あっさりと描かれる。

このテンポの良さがあるからHEROはずっと集中して見ていられたんですが、イチケイのカラスはどんな些細なことだろうと丁寧に丁寧に描かれ過ぎている感じがして…。

それが悪いわけではもちろんないんですが、単純にそのせいで場面の切り替えが多すぎるし、テンポが悪くなってしまっている気がしました。

調査シーン、法廷シーン、日常シーン、過去の回想シーンがそれぞれの事件の数、主要人物の数だけあるから仕方ないんですけどね。


そんなわけで映画の前半(パズルのピースを集めている様子)はあまりストーリーにのめり込めなかったんですが、後半(パズルが完成していく様子)にいくにつれて、私的にどんどん面白くなっていきました。

法廷での田中みなみさんの悲壮感漂う感じとか、吉田羊さんの独白シーンとかめちゃくちゃ良かったなぁ…。

わたしの中で吉田羊さんって正義感あふれる女性ってイメージの方が強かったから、悪いと分かってても悪事に加担する役というのが新鮮でした。

…ただ、主犯5人の動機については「いくら大切な生まれ故郷だとしても罪を犯してまで守ろうとするか?」とちょっと思ってしまった。あくまでもわたし個人の感想としてですが。

故郷が廃れていくのはもちろん悲しいことだけど、工場主体の環境汚染とそれによって引き起こされる健康被害を町ぐるみで隠蔽してまで守りたいっていうのが良くも悪くも想像つきませんでした。

わたしも田舎で生まれ育ったので故郷が廃れていく悲しみはめちゃくちゃ分かりますけどね。今年に入ってカラオケと漫画喫茶と焼肉店がたて続けに閉店したのを見たときは普通に切なくなりました。

でもそれを守るために罪を犯そうとは思えない。

子どもの頃の約束を5人全員がいい大人になっても誰ひとり心変わりすることなく純粋な気持ちで持ち続け、その約束を守るためなら邪魔者を殺すことも厭わなくなるなんてありえるのかな…。

なんかいろいろと考えさせられました。

主犯5人の犯行動機については共感できないんですが、まぁでも世の中(フィクション)には建物が左右対称じゃないから爆破する奴がいたり、茶髪の女にフラれたから茶髪の女を無差別に殺害する奴がいたりするので、そいつらに比べたら説得力のある動機なのかもしれません。バーロー。

ラスト、斎藤工演じる月本が最期に遺した言葉をみちおから聞いたときの黒木華ちゃんのお芝居がすごかった…まじで鳥肌たった…。

泣き顔を隠すときに目元をおさえるんじゃなくておでこに片手を置く仕草と、涙を流したあとすぐに気持ちを切り替えようとする姿が『坂間千鶴』そのものだった。完全に憑依してた。

正義であるはずの法律が町にもたらした結果は決してハッピーエンドとは言えないかもしれないけれど、それでも最後、三田村弁護士を弁護するために法廷に立つ千鶴の姿に小さな光を見たような気がしました。

そしてしつこいようだけど役者さんたちほんとうにみんなお芝居がすごかった。庵野監督も声優より顔出しの方が合ってるよ笑 ツダケンは声優も顔出しも文句なしにかっけぇ。

斎藤工はわたしと結婚してくれ。

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