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うまくても、売れない。

仕事で、書籍の編集をしている。
元々は脚本の勉強をしていて、実際に脚本を書いて、コンクールにも応募するコンクーラーだった。
一次に通過したりしなかったりを繰り返して、落選続きだったけど、勉強すればするほど、書けば書くほど、どういう作品なら受賞できるのか、わからなくなっていた。

面白いというのが、主観的な表現ぽいので、完成度が高い作品を作れて客観的に見ても面白いという意味合いを込めて、あえて、上手いと表現するなら、自分はあまり上手く脚本が描けるタイプじゃなかった。
でも、周囲には上手い作品を描いている人が少なくなかったし、そういう人たちが描く作品と受賞作との違いは、いまだによくわからない。

編集の仕事をしていても、同じことが起こる。
上手い作品でも売れない。そして、少なくとも自分が携わっているジャンルに限って言えば、売れない理由は大体の場合、表紙が原因。
ものすごくシンプルに言うと、売れない表紙だったということで。
でも、表紙のイラスト等を作った人が悪いとも、一概には言えない。
なぜなら、その人もまた、大体の場合において、上手い人が多いから。
つまり、上手くても売れない。
だけどやっぱり、売れているのは大体、上手い。
それをわかってるから、編集者も上手い表紙を作れるデザイナーやイラストレーターに発注するし、常に上手い人を探している。
売れるのも売れないのも、後付けで色々理由を並べることはできるけど、本当のところの理由はきっと誰もわからない。

とにかく、上手くても売れない。
編集の仕事を始めてから、よりそう思うようになった。
大抵の場合、売れないのは、技術がないからではないし、面白くないからでもないと思う。
多分、ヒットとか受賞とか、そういうのは、色んなタイミングや巡り合わせが重なって掴めるもので、ほぼ運。
だからこそ、作り続けるしかない。
受賞できなくても、ヒットしなくても、自分を励ますような、めげない理由くらいになればいいなと思う。
大丈夫。上手くても、大体売れないから。

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