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収穫がクオリティを左右する 美味しいお米の育てかた#040

ここまでお米をタネから栽培してきて

いよいよ収穫です!


ここからはお米が大好きすぎる人による

お米が大好きすぎる人のためのマニアックな領域です。


収穫時期が役割を持たせる


生産者により青いうちに刈るか

完全に登熟してから刈るかなど

収穫時期は実に様々です。


しっかり登熟させて刈ったお米は

長期保存に適しているように思います。


これはお米の窒素分などが比較的少なく

しっかり枯れていることによるものと考えられます。


長期保存をする他にも、生命として

しっかり生ききった状態のお米は

安定感・満足感があるように思います。


青米が入っているくらいが美味しい

という生産者の意見を精査すると

窒素分などの成長要素はタンパク質に分類され

それらが粘り気や甘みに感じられることに起因する

と考えられます。


このように見ていくと

収穫時点からお米の調理が始まっているとも言えます。


収穫と乾燥とクオリティ

収穫は大きく別けて

手刈り

バインダー

コンバイン

のいずれかではないでしょうか。



収穫のタイミングは栽培者によって様々ですが

私の場合は、青米という未熟なお米が出ないよう

しっかり登熟させ、コンバインで収穫。


乾燥はなるべく通風乾燥で3日程かけて乾かします。


雨が続くなどで、乾燥機のお米の品質に影響が懸念される場合は

一番出力の弱いヒーターを使用します。


乾燥のプロセスは収穫時期と同じく

お米にとって調理と言っても良く

その後の品質に大きくかかわってきます。


ここでも、水分だけを飛ばすように

強火のヒーターを使う、というような大きなインパ クトは

お米のクオリティにかかわります。


できるだけ緩やかな変化を促すことで

保存のしやすさや

月日を経た味わいの変化などに順応するお米に仕上げることができます。



タネ籾を収穫する


タネ籾となる量をあらかじめ検討を付けておき

圃場の中で、通常の収穫する個所と

タネ籾の採種個所に分けておきます。


タネ籾は来春に選別されるため

タネ籾全体の収穫から1/3になるようなイメージです。


例えば、タネ籾が10kg必要であれば

30kgを用意する必要があります。


多めに収穫するほうがリスクを軽減できます。

選別で残った20kgも食べることができますので

自家消費用などに回すことができます。


コンバインの場合は中で

品種が混ざったりする可能性があるため

しっかり掃除します。


それでも混ざってしまう可能性があるため

小中規模の場合はタネ籾はバインダー刈りか手刈りし


よく掃除したハーベスターなどの脱穀機で脱穀します。


脱穀は種籾を傷つけないように

通常の回転数よりやや遅くして優しく通すほうが良いでしょう。


その後はネットのコンバイン袋に入れて


通気の良い場所で良く乾燥させます。

雨後に収穫したような湿っている種籾は保存中にカビてしまうことがあります。


収穫は良く晴れて乾燥した日を選んだほうが良いでしょう。

この時点から、来シーズンの作付けが始まっているという感覚も大切です


月の満ち欠け

木材の新月伐採などに見るように
月の満ち欠けなどの収穫時期も
クオリティに影響を与えているようです。

新月と満月で比べたところ
約6年後、満月に収穫されたお米からカビが生え始めた実験などもあります。

なにぶん天候やスケジュールに左右されるため新月に収穫するといっても、狙ってできるものではありません。

たまたま新月だったら運が良かったと捉えることも、ある意味で自然がもたらす味覚と言えるのかもしれません。

お米のクオリティと乾燥の関係

繰り返しになりますが

早い段階で収穫するメリットは

成長要素である窒素分などがお米に含まれるため

炊き上がりがモチモチとする傾向があります。


早刈りはそういった狙いどころの半面

青米などのロスが多く出ることになります。


その逆に、昔ながらの乾燥方法であるハゼ掛けの場合は

青米も比較的登熟します。

ハゼ掛けのお米が美味しいと言われる所以は

窒素などの余計な成長要素が抜けきっているためです。



お米の美味しさは

新米時期、一年後、二年後、三年後で

美味しさのステージが変わります。


特に施肥などをして成長要素が多いお米は

食味がパサつき、虫が湧くなどして

一年後以降は脱落していきます。


しかし、成長要素の少ない自然栽培のお米や

乾燥を長時間かけて仕上げられたお米は

冷温倉庫などで管理してあげれば

二年後でも三年後でも保存が可能です。


成長要素が抜けきっていくため

年々すっきりとしてバランスのいい美味しさに

熟成していくのが不思議なところです。


経験上、5年後のお米でも

十分美味しく食べる ことができました。


私の古米を食べたお客さんからは

もう新米に戻れない、といった声も聞かれるくらいです。


また、重度の食物アレルギーのお子さんが

新米は無理でも古米なら反応が出ずに食べることができた

と喜んでくださったこともありました。


これは窒素などの植物に必要な成長要素が

人が食べる上で、少なからず負担になっている可能性が大きいと考えられます。


グルテンと肥料とアレルギー


小麦なども同様ですが

肥料を多用した圃場で

代謝旺盛に育った小麦の場合はモチモチ感

いわゆるグルテンが急増します。


お米も同様です。


そういった関係性から

肥料とモチモチ感とアレルギーの因果関係は

無いとは言えないでしょう。


以上、収穫は最初の調理くらい大切な作業、というお話でした。

みなさんも収穫のタイミングをいろいろ試してみたり

また、ぜひとも自然栽培の古米を

命が終わるその前に一度は食べてみてくださいね!


続く

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