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世界の歴史と自然観の変遷(長文)「自然栽培の世界観 #002」


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世界の歴史と自然観の変遷

みなさんこんにちは!

前回の記事では自然栽培を量子力学の視点から考えてみて、実際に現場ではどのようなロジックがフィットするのかをご紹介しました。

自然栽培には小手先の技術ではなく

コアにあるコンセプトに焦点を当てどのように自然を理解するかが一番の近道

になります。

その中で少し触れた

2つの自然観について今回は深掘りしていきたいと思います。

その前にその2つの自然観があらわれる経緯を一緒に見ていきしょう。

古代ギリシャ人哲学者から老荘思想まで


さて、自然という概念は人類にいつ頃から語られるようになったかご存知ですか?

正解なところは遥か昔過ぎてわからないかもしれません。

シュメール、エジプトやメソポタミア時代から日本書記など、世界的に語られるのは

神々が何らかの行為から世界を創造した。

という神話です。

それより古い遼河文明は龍だったり、南シベリアのアファナシェヴォ文化もおそらくは神のような超存在の概念は持っていたんではないでしょうか。

これは信仰という視点から言えば今もそのように捉えられていると思います。

その後、紀元前600年ごろから神話的観点からではなく、観察的な視点から自然を解き明かそうとしたのは古代ギリシャ人たち。

彼らが最も活発かつ歴史上の記録が残っているとされています。

古代ギリシャ人たちの自然観は以下の通り

古代ギリシャの自然観

キリスト教化される以前のヨーロッパで代表的なのは、やはり古代ギリシャの多神教的自然観や哲学の発展です。

ギリシャ神話は、ホメ―ロスという吟遊詩人が記したとされる二大叙事詩の「イーリアス」と「オデュッセイア」によって伝えられ、オリュンポス十二神と言われる神々を筆頭にした多神教世界だったと言われています。

日本の神道や仏教も、多くの神仏を信仰の対象としている点はとても良く似ています。また、古代ギリシャの知恵者たちは、自然をより明確に定義していたようです。

彼らは、万物の根源をアルケーと呼んで探求しました。その後、人間や社会の認識を超越した、「宇宙の普遍的な秩序や力」をピュシスと呼んでいました。もともとは植物が「生えてくる」という動詞に由来すると言われています。

ピュシスはラテン語の自然哲学の意味でもあるphysicaから、物理学を表す英語physicsの語源になります。

また、日本でも良く使われるnatureもまたピュシスの訳で、ラテン語のnatura、ナトゥーラが由来です。この頃の意味は「本来あるがまま」または「真実あるがまま」を意味していたようです。不思議とどこかアジア的な雰囲気も感じます。

それもそのはず、この時代はヨーロッパでも大自然そのものを信仰の対象とすることが一般的だったと言われています。火や風、海や土など、あらゆる自然現象に信仰の対象となる神々があるという点も、日本の神道や仏教に似ており、日本人にも馴染みやすい概念のように感じられます。

紀元前6世紀頃の哲学者タレスは「万物に神々が充ちている」という言葉を残し、すべてのものが生きているとしました。アナクシメネスは、空気が生命の根源であると考えました。ヘラクレイストは、火が生命の根源であるとし、アナクサゴラスは、種子が生命の根源であると主張しました。

有名なプラトンは、デミウルゴスという神が世界の魂をつくりその魂は宇宙全てのものに宿るとしました。もう一人こちらも有名なアリストテレスは、自然は自らつくられる力のある世界である、としたと言われています。

出版予定『農業経験ゼロの素人が自然栽培で営農できるようになるまで』著者 ヤマダケンゴ



いや〜すごい。こうじゃないか?と思ったことをひたすら突き詰めて自然とはなんなのかを探求したんですね。並々ならぬ情熱を感じます。

全部が正解だと言えますし、この概念があったから現代文明まで発展したわけです。

その中でも後の人類の自然概念に影響するのは

ピュシスという概念。

これが後に物理のphisicsという言葉になって物理学の基礎になっていきます。

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