乳児保育の量と質を考える

今回のテーマは、「乳児保育の量と質」です。
量と質という2つの観点から、乳児保育の課題について考えていきましょう!

乳児保育の量的拡大

近年問題視されている保育所待機児童数。その数は年々増え続けています。

1・2歳児の割合は多く、2017(平成29年)4月の調査では全体の71.7%を占めています(0〜2歳児の割合は88・6%)。
引用:秋田喜代美・馬場耕一郎監修、阿部和子編集「保育士等キャリアアップ研修テキスト乳児保育」(中央法規、2018年)

この数字を見るだけで、乳児保育の需要がとても高いことが分かりますね。この需要に供給が追いついていない結果、待機児童が発生してしまうのです…。

乳児保育の需要が高まっている理由

なぜこんなに乳児の待機児童が多く発生しているのでしょうか。その背景には3つの理由があると考えられています。

1つ目は、育児休業を取得する人が増えていることです。基本的に、育児休業の期間は子どもが1歳に達するまで(一定の場合は最長2歳まで)と定められています。育児休業を終えて職場復帰を図る時期=子どもが1・2歳児のタイミングで保育所利用が増加することが分かりますね。

2つ目は、家庭での1・2歳児の育ちに適した養育が難しいことです。子どもの運動発達に合わせた遊びの空間をつくったり、自我の育ちに合わせて関わり方を工夫したりということを、保育の専門である保育所に求めて入所を希望する保護者が増えているのです。

3つ目は、子育てが困難となる家庭が増えていることです。特に専門的な養育が必要と言われている1・2歳児期に、経済的な問題を抱えていたり、子どもの発達に悩みを抱えていたりという家庭は少なくありません。このような場合、保育所に入所して専門的な支援を受ける必要があります。

乳児保育の質を高めていく必要性

乳児保育の質を高めるためには、以下2つの課題をクリアすることが求められます。

乳児の発達に合わせた遊びを見つめ直す

子どもにとって本当に必要な遊びを考えるためには、日頃から子どもをよく観察し、共感することが大切です。ただ子どもができることを取り入れるのではなく、子どもが何と向き合い、何に興味関心をもっているのかを考え、遊びに取り入れていくと良いでしょう。

常に安全性を保つ

近年、保育所等での死亡事故が問題視されています。

平成28年度の死亡事故は、認定こども園・幼稚園・保育所等で計13件起きており、そのうち、7件が0歳児、4件が1歳児となっています。
引用:秋田喜代美・馬場耕一郎監修、阿部和子編集「保育士等キャリアアップ研修テキスト乳児保育」(中央法規、2018年)

これはとても深刻な問題ですよね。保育士不足等さまざまな原因が考えられますが、まずはそれぞれの園や保育所で日々保育環境を見直すことが大切です。

最後に

またシリアスな内容になってしまいましたが…いかがでしたか?
保育の需要と供給をマッチさせるためには、さまざまな問題を解決する必要があります。そのためには、まず私たちが現状を知り、原因を探り、言語化していくことが大切です。
では、また次回も一緒に勉強しましょう👋

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