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墨田区 障害者福祉課の研修に「こまった課?」を採用いただきました!

こんにちは。「こまった課? プロジェクト室」です。この度、墨田区 障害者福祉課の新任職員研修にこまった課?を取り入れていただきました。今回は、2023年5月22日(月)に行われた研修の模様をお伝えします!

きっかけは「あそび体験ワークショップ」

2023年2月27(月)に実施した、UDCすみだ(東京都墨田区)地域開放スペースでの「こまった課?あそび体験ワークショップ」に、障害者福祉課の課長さんをはじめ、4名の職員さんが参加してくださいました。

UDCすみだ(東京都墨田区)地域開放スペースでの「こまった課?あそび体験ワークショップ」のレポートはこちら

そこでの体験をきっかけに、「社会のなかにある障害に気がつくこと、また自分たちの仕事を別の視点で捉え、考えることのきっかけに」とのお考えから、新任職員研修の一環として採用いただきました。

研修には、障害者福祉課の職員さん15名、区全体の研修を担当されている職員課の職員さん2名、行政経営担当の職員さん1名の計18名の職員さんがご参加。デジタル・アド・サービス社会福祉法人東京都手をつなぐ育成会 ひだまりの里きよせからは、3名が参加し、プレイ体験や研修の進行のサポートを行いました。

研修は、約60分間のこまった課? プレイ体験を中心に、90分間のプログラムで実施しました。

<今回の研修の流れ>
①障害者福祉課 瀧澤課長のメッセージ
②こまった課?プロジェクトのご紹介、遊び方のご説明
③こまった課? プレイ体験
④体験のふり返りと気づきの共有
⑤障害者福祉課 瀧澤課長のメッセージ


障害者福祉課 瀧澤俊享課長のメッセージから研修スタートです。

墨田区 障害者福祉課 課長 瀧澤俊享さん

墨田区 障害者福祉課 瀧澤課長:障害って、障害者の方がもっているわけではなくて、社会にいろいろな障害、バリアがあるんですよね。私たちは、障害者福祉課の職員ですけれど、世の中にはどんな障害があるのか、その人個人にとってどんなバリアがあるのかを深くは知らない部分もあります。また、その人個人にとって、どんなことが障害になっていて、どんなことで悩んでいるのか、深く考えずに仕事をやっているかもしれません。自分自身「こまった課?」を一回経験して、この企画は、そうしたことに気づかせてくれると感じ、研修に取り入れようと考えました。世の中の人がどんなことを考えているのか、ということに少しでも気づくきっかけになればいいかなと思います。

こまった課?のご紹介や遊び方はぜひ、公式ホームページをご覧いただければと思いますが、簡単にこまった課?のストーリーをご紹介します。

こまった課? 公式ホームページはこちら

<こまった課?のストーリー>
あなたは、とある街の市役所の中にある「こまった課?」の職員です。「こまった課?」には、いろんな特性を持った住⼈がお困りごとの相談にやってきます。職員であるあなたは、住⼈たちに質問をすることで、困ってしまう理由(特性)を⾒抜いて解決しましょう!うまく相談にのれないと、住⼈たちはがっかりしてこの街から引っこしてしまいます。住⼈たちがどうしたら楽しく暮らせる街にできるのか、仲間と⼀緒に考えましょう。

こまった課?をプレイするプロセスは、大きく2つに分かれています。
● パート1:特性を見つける
● パート2:楽しく暮らせるアイデアを考える

こまった課? 遊び方の流れ(取扱説明書より)

プレイ体験スタート!

職員側と住人側に分かれて、さっそくプレイ開始です!プレイ体験をサポートしながら、印象的だったシーン等をご紹介します。

● パート1:特性を見つける
住人側のプレイヤーは、場面カードに対して「困る」「困ることもある」「困らない」で回答しますが、住人側のプレイヤー同士が「困りません!」と声をそろえることもあれば、「私は困るなぁ」「いや、私はそんなに困らないかな」のように、意見がわかれることもしばしば。

「ココロ・カオ・ベーツ」さんだったら
こんな場面では「困る」「困ることもある」「困らない」?

プレイ中の職員さんからは「自分にあてはめてみると、あれもこれもと想像してどんどん困ってきちゃうなぁ」という声も。同じ住人、同じ場面でも、人によって回答がちがうのが、こまった課?の特徴。職員側のプレイヤーは、そんな反応を見て「もしかすると、人によって感じ方が変わりやすい特性なのかな?」などと考えながら推理していきます。

1対1でもプレイできますが、ぜひ2対2や3対3でのプレイがおすすめです!

「ココ・キニナール」さんと映画館の場面

住人側と職員側のコミュニケーションではこんなシーンも。「キラキラにロックオン」の「ココ・キニナール」さんと映画館の場面では・・・

「困ることもある、かなぁ」「これはシーンによるね、例えば強い光が・・・」のように、答えながらポロッとヒントが漏れ出るような場面も。ゲームでは、職員側と住人側は「当てる、当てられる」という関係性ではありますが、住人側が自然と「知ってほしいな、わかってほしいな」という感覚をもつのも、こまった課?の特徴の1つかもしれません。

「こまった課?」のゲームの難易度は「やさしめ」「ちょいむず」「むずいぞ」の3段階。最初はどのグループも「やさしめ」からスタートしましたが、2巡目、3巡目になると「ちょいむず」「むずいぞ」へと皆さん、チャレンジしていきます。

「むずいぞ3丁目」の住人さんたち

「ちょいむず」「むずいぞ」のプレイ中には「物理的なことだけでなく、感情とかがからむものになると想像するのもケアするのもより難しいね」「表面に出にくい分、まわりの人に知ってもらえている状態であることや協力してもらえるかが大事だね」という言葉が聞かれました。

深ぼり質問が住人さんの特性をさぐる重要な手がかり!

こまった課?では、職員側が「場面カード」に関連した深ぼりの質問をすることで、相手の住人さんが誰なのか? どんな特性なのか?の推理を進めていきます。

深ぼりの質問中には、人材育成などを担当する職員さんから「行政の職員としては、こうしたいろいろな特性を把握するだけでなく、把握したうえで、どうケアできるかが重要。深ぼりの質問のようなことは、いろいろな人と接するなかで、職員全員があたりまえにできるように、広めていかないといけないかもしれないですね」との声も聞かれました。

● パート2:楽しく暮らせるアイデアを考える
パート1で住人さんを特定できたら、特に解決してほしい場面カードを住人側のプレイヤーに選んでもらい、職員さんは楽しく解決できるアイデアを考えます。

「マブシガリ」さんへのお困り解決のアイデアは・・・

映画館での困りごとを解決してほしい!という「マブシガリ」さんからのお願いには「特別調光レンズを墨田区の町工場と協力して開発します!」と、たくさんの町工場が残る「ものづくりのまち」墨田区の職員さんらしいアイデアの提案も。

提案してもらったアイデアに対して、住人側は「0:引っこします」「1:1〜2年なら・・・」「3:永住します!」で評価をします。

ここでは参加者の皆さん同士、「体のことを気づかった配慮をしてくれたのがとてもうれしいです。でも、物理的な面だけでなく、心理面にもフォーカスした支援もほしいかなと思ったので」のように、評価の理由をていねいにフィードバックされている様子が印象的で、障害者福祉課の皆さんの人柄や姿勢を感じることができました。

こまった課?を体験しての気づきを共有

60分程度のプレイ体験を終えたあとは、4つのグループごとに「感想や気がついたこと」「お仕事とのつながりを感じたこと」などをメンバーで伝え合います。その後、グループから1人ずつ発表いただき、全体で共有しました。

左上から時計回りに:
墨田区 障害者福祉課 金子瞬さん/奈良輪美紀さん/庄司昭子さん/大黒剛さん

墨田区 障害者福祉課 金子さん:さまざまな特徴を持った方がいらっしゃることを理解し、共有しました。特徴をもつ方々の詳細を紙面上だけでなく、直接お会いしたり、お話ししたりして、さらに理解を深めるとよりよいのではないかと考えました。行政として、こまった課?にいらっしゃるような方々に対して、1人ひとりの特徴にそったかたちで、適切なサービスを行なっていきたいというお話しをしました。

墨田区 障害者福祉課 奈良輪さん:ゲームをやっていて、見た目では判断できない困っている人たちがたくさんいるんだということがわかりました。見てわかるような「困った」でないと、聞いてみないとわからないし、自分がイヤだなと思わないものに対しては、想像がつきにくい。他の人がイヤだなと思っていることだとしても、自分がそう思っていなかったら想像がしにくいですし、人それぞれ、思うことが違うので難しいなと思いました。その人の特性を想像するのは難しいことではあるけれど、人の数だけあるということを知っておくだけでも、接客の幅が広がっていくのかなと感じました。

墨田区 障害者福祉課 大黒さん:まず、特性を持つ方がこれだけたくさんいらっしゃることに驚きました。「やさしめ」だと、見た目でもこういう障害があるのかな、とわかりやすいのですが、「ちょいむず」や「むずいぞ」になると、表面的にはわかりづらくて、いろいろ聞いていかないと、本当に困っていることを知ることができないことを感じました。また、人によっては特性が複合的にある方もいらっしゃいます。行政としては、その人その人の障害特性によりそって、困りごとを解決していくことができるとよいと思います。

墨田区 障害者福祉課 庄司さん:さまざまな種類の障害特性があることを知りました。また、特性を当てたあとで、どうやってサポートするのか、困りごとを解決するのかを考えることの難しさを実感しました。生活をしていくなかでは、まわりにキーになる人や、理解をしてくれる人が必要になります。私たちの仕事として、そういった人たちに橋渡しをするようなサポートをしていくことも大事だと認識しました。仕事をする上では、障害の度数や区分で捉えがちですが、1人ひとりにその人の気持ちとかがあるので、お話しを聞いて支援をしていくことが重要だと考えました。

こまった課?の企画・開発時から携わっていただいている障害者支援施設 ひだまりの里きよせの副施設長として、日々、直接支援をしている赤川さんからもメッセージをいただきました。

障害者支援施設 ひだまりの里きよせ 副施設長 赤川剛さん

ひだまりの里きよせ 赤川さん:東京都清瀬市にあります、行動障害の方、約60名が入所する施設で働いています。60名中50名くらいが、ここにいる住人さんのような特性をお持ちの方たちです。
1つのエピソードをご紹介します。短期入所をご利用で、都内にお住まいの方なのですが「コレハ・ココ(定位置を守り抜く)」という住人さんのような特性をもつ保護者の方から相談を受けたことがあります。自宅の前にラーメン屋さんがあって、その方は、瓶ビールのケースをいつも同じ場所に置いておきたくて、移動させてしまうんです。ラーメン屋さんの店主は「勝手に動かすな!」と怒って、バットで殴られそうになったこともあったそうです。こうした場合にも、ラーメン屋の店主の方が「こういう特性があるんだな」ということを理解してくれていれば、状況が違ったかもしれません。
行政の皆さんと施設の職員が協力して、こういう人たちがいるんだ、ということを地域の方たちに理解していただけるように働きかけることで、困っている方たちが、暮らしやすくなるのではないかと思います。

研修の最後には、再び瀧澤課長からメッセージをいただきました。

墨田区 障害者福祉課 瀧澤課長:今日の研修で、いろいろな特性の人がいて、その人の特性によりそうことで、相手が安心してくれて、永住してくれるんだなということがわかりました。わかったのですが・・・特性はたくさんあって、それら全てを頭のなかに入れて、対応するということは難しいですよね。全てをわかって、それらの特性を分類しようとかではなく、行政として「さまざまな特性をもった人たちが世の中にいるんだよね、いろいろな困りごとがあるんだよね」というフラットな視点、広い気持ちで対応することが大事なのではないかと感じました。そうすることで、よりよい仕事につながり、永住してくれるような街になるのではないでしょうか? 皆さんのなかに1つでも気づきがあれば、研修をやった甲斐があります。どうもありがとうございました。

研修を終えて

こまった課?は「⽬に⾒えない障がいを“ちょっと知ってる”状態にすること」をコンセプトに、企画・開発・制作を行いました。また、さまざまな活動を通して、⽬に⾒えない障がいを「ちょっと知ってる」ものにすることで、想像⼒のある、関係性のなかで互いが⽣きやすい社会になっていくことを目指しているプロジェクトです。

今回の研修での墨田区 障害者福祉課の皆さんやひだまりの里きよせ 赤川さんの言葉からも「知ってる」状態をつくっていくことが、まちで暮らすさまざまな人たちにとっての、やりやすさや心地よさにつながることを実感するとともに、誰か1人や、どこか1つの組織や団体だけでなく、いろいろな人が関わり合い、互いの声を聴き、協力していけることの重要性を改めて感じました。

これからも、こまった課?プロジェクトでは、そうした体験の場・つながりの場のデザインを続けていきます!

デジタル・アド・サービス こまった課? プロジェクト室では、こまった課?を活用した研修やワークショップ、こまった課? 体験イベント等のご相談をお受けしております。どうぞ、お気軽にお問合せください!

こまった課? 公式ホームページ
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株式会社デジタル・アド・サービス
こまった課? プロジェクト室
代表電話:03-5832-5588
Mail:komattaka@dascorp.co.jp

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