小松台東 コマツダイ・EST ~あなたと、あなたのだいじな贈りものと、小松台東~ ①
はじめまして。
ほんとうは「 はじめまして」ではありませんが、こちらの投稿では、はじめまして。小松台東(こまつだいひがし)です。
こちらのnoteにて不定期の連載を始めます。
タイトルは 「 小松台東 コマツダイ・EST(エスト) 」
「EST」はフランス語の「東」なので、「コマツダイ・ヒガシ」とそのままの意味もありますし、
「確立された 定評のある」という意味の【established】の略でもあります。 定評のある、というのは言い過ぎのような気もしますが、もっと小松台東を皆さんに知っていただきたいという思いを込めて、お届けします。
小松台東が、小松台東のお客さんに会いに行きお話を聞く、という企画
第1回目は、書道家で、俳優の Rさん です。
「 第1回 クォーツのブレスレット 」
Rさんが小松台東を初めて観たのは「勇気出してよ」(2016年・三鷹芸術文化センター星のホール)でした。
「 当時の私にはわからないシーンがたくさんありました。『今はまだわからないけど、きっとこの感情はいつかわかる日が来る』という気がしました。 」
Rさんは書道家であり、俳優でもあります。横浜で生まれ、母親と祖母、ひとつ上の姉と双子の弟といっしょに育ちました。
「 時間を無駄にしたくない子どもでした。朝、ベッドで目が覚めて、起きて顔を洗って着替えて朝ごはんを食べる、にはどうすれば無駄なく動けるか考えてから、起き上がっていました。 」
偶然なのか、Rさんも姉弟とも名前に「鳥」にまつわる漢字が使われている。 家族の話をするRさんを見ていると、Rさんがいかに母親に、祖母に、姉弟に大きな愛情をもっているかわかる。熱がこもっている。
教室でひとりでいる友人や、困っているクラスメイトをほっておけなかった。
小学校の保護者会で 「お子さんは、クラスのみんなに優しい」と Rさん、姉弟、それぞれ3人の担任の先生から同じ日に、同じように言われたという。 時が経ち大人になった今、母はその話をとてもよく話してくれる。
Rさんの母は、喜びや感謝、愛情をきちんと言葉にして伝えてRさんたちを育ててきた。 Rさんにもそれは伝承されている。
「 どんなことが起きても私はあなたたちの味方だ、といつも(言葉にして)言ってくれます。母からの愛情を受けて育っている、という自覚がものすごく強いです。 」
小学校2年生のとき、仲の良かった友達と一緒に習い始めた書道教室に、現在は師範として、そして弟子として、生徒として通っている。
「 書道教室は中学3年のとき1年間おやすみをしただけで、あとはずっと楽しく通っています。 書を書くことが、ストレスの発散になるということを高校生の時には気が付いていました。 」
彼女の近くには、書道と共に幼いころから「演劇」がありました。 初舞台はキリスト系幼稚園で演じた「マリア様」の役。
「 小学校3年生の演劇クラブで演じた白蛇のセリフを今でも言えます。『2泊3日で500円ね』! 」
中学入学と同時に演劇部を創部したかった先生と共に演劇部を創立。 1年生でいきなり部長に就任して3年間つとめあげた。
「 演劇部5人で芝居を、作品を作り上げた、ということが、私の俳優としての人生のスタートでした 」
控えめな女性だと思っていたのは私の思い過ごしだったようだ。彼女には静かなリーダーシップがある。人を引き付け、引き上げ、やさしく強く背中を押していく。
3年生の時に『オアシス物語』という演目で、中学校演劇部の県大会で優勝。全国大会に進出した。
「 高校生のときに突然お母さんが下北沢へ連れて行ってくれたんです。『あぁルナティックシアター』という劇団でした。母の知人関係とかではなくて、ただただ無作為に選んで連れて行ってくれたようです。下北沢の劇場(たぶん『下北沢・楽園』)で初めてみたお芝居は、とても衝撃的で、観劇の帰りに「一演入魂」と書かれた物販の T シャツも買いました。 だから今でも自分が舞台をやるときは、あの頃の自分のように、なんとなく突然見に来る若い子がいるかもしれない、って思うんです。ふしぎだけど、おもしろい。 」
Rさんは映画のオーディションも受け、活動の場を広げていく。
2015年、主演をつとめた映画でカンヌ映画祭にも出席した。宴のあった晩、彼女がうっかりベッドで眠ってしまっているうちにパーティーが終わっていた。
「 今でも思い出すと悔しくて恥ずかしくて落ち込むんです 」
カンヌ映画祭に出席した俳優はたくさんいるだろうけれど、カンヌに行ってパーティーに出ずホテルで眠っていた俳優は少ないだろう。 しかしなぜか、そういう、貴重な経験をどんどんRさんにはしてほしい。そんなことを思ってしまう。
好きな俳優はレア・セドゥ。『アデル、ブルーは熱い色』(2013年・フランス)という映画がとてもよかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
初めて小松台東を見た6年後、同じ三鷹の劇場で「シャンドレ」(2022)を観た。 暗転から冷蔵庫の明かりだけで照らされる部屋が印象的だった。
「 思考を巡らせている時間が好きなんです。目の前にいる人が思考しているのを見ているのも好き。『シャンドレ』を観ているときにもそれを思った。私は今客席から舞台上にいる役者がきちんと思考しているのを見ていると。 登場人物に色気と生命力を感じました。 」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
~ あなたが誰かから贈られた、だいじなものを見せてもらえますか?~
掌に乗せて見せてくれたブレスレットは好きな人からもらった。
黒い石はガーデンクオーツ。金色のものはゴールドルチルクオーツ。もともと贈り主が腕に着けていた2つのブレスレットを組み合わせて作り直して渡してくれた。
「 いい仕事につながるように、という想いでいただきました。わたしの、この腕に、この石がある。 贈り主を思うと、わたしも強い気持ちになれます。 」
こうして、だいじな想いをきちんと言葉にできることも、Rさんが母親から受け継いだ、だいじな光る石。
小松台東が初めて作ったオリジナルトートバッグの筆文字を書いてくれたのは道田さんです。
オリジナルステッカーも、道田さんの書でデザインされています。
あらためまして、道田さんありがとうございました。
今回は お名前を公表いたしましたが、この企画はお客様を、匿名のままで進めていこうと思っています。
小松台東 次回公演は2023年8月 「 オイ! 」
下北沢ザ・スズナリ です。
小松台東オリジナルトートバッグを手に取って、私たちを応援いただけたらうれしいです。 小松台東も皆様を、強く強く強く、応援してまいります。
小松台東オリジナルトートバッグ(1500円)
小松台東 komatsudai.base.shop
台本+トートバッグの 「左手と右手セット」「シャンドレセット」「デンギョー!セット」はオリジナルステッカーが付いて3000円です。
送料が別途330円かかります。
2022年 2月 小松台東