インバウンドサミット2021振り返り
昨年に続き、今年もインバウンドサミット2021に参加しました。
どなたかが「観光業界のフジロック」とおっしゃっていたように登壇者は総勢105人、直前までぐんぐんのびた参加者も3,600人!と、今や観光の一大イベントに。オンラインでこの規模のイベントはなかなかないのでは。
それぞれのセッションでは、インバウンドだけでなく、これからの日本の観光について、さまざまな切り口で熱いトークが交わされ、チャット欄への参加者コメントも熱を帯びたものに。
▲各セッションは同時進行で展開。おもしろいテーマが多くてどれも見逃せない。後日、アーカイブで見られるようにしてくださるとのこと、ありがたい…!
終わった後は、それこそ野外フェスの後に感じる、あの独特の爽快感とちょっぴりセンチメンタルな気分。
観光の世界は、依然として混沌としているけれど、いつか国境はひらく。
その時に、スタートダッシュをきれるように
、いまやらなければいけないこと、そこから先を見据えて手を打つべきこと。
現状と課題を登壇者、参加者これだけ大多数の人たちで共有できたことは大きい。オープニングの青木さんのスピーチからパネルディスカッションまで、わたしも改めて頭の整理ができた。
現在地を知り、それぞれが各々の立場で
つぎの一手をうつためにマインドセットする。
そんな機会だったように思う。
あらためて、主催であるMATCHAの青木さん、運営や準備に奔走されたスタッフの皆さんと事務局の皆さんに労いと感謝の気持ちを伝えたい。
主催であるMATCHA青木さんのnote。
終わったその日にまとめるの、ほんとすごい。
素晴らしいグラレコ!
さて、わたしにとって昨年と違ったのは、
今年も一般参加でいろんな方のお話を聞こうと
参加申し込みをしていたところ、ひょんなことから、ひとつのセッションにお声かけいただき、
登壇することになったということ。
せっかくなので、セッションに参加させていただいた感想やその後のやりとりを通じて、あらためて言語化できたことを綴っておきたいと思う。
セッションのテーマは「離島ブランディング」
島はわりと好きで、自身でも利尻礼文、佐渡などに足を運んだことも。そのなかでも離島・隠岐諸島にある海士町に訪れたのは二度ほど。
それがご縁で今でも、ありがたいことにつながりがある。
そんな隠岐諸島では今、未来のありたい姿に向けて大きな挑戦がはじまろうとしている。
小さな島の大きな挑戦。
そのひとつが海士町でリブランドし、7月にオープンを控えているEntôだ。じつは、そのEntôの新たなスタートに関わらせていただいたこともあり、(すばらしいWebサイトを構成するひとつのパーツであるjournalに寄稿をさせていただいた)青山さんにお声かけいただいたのが、サミット登壇のきっかけ。
Entôのサイトはこちら。
ハッとするような美しい島の写真に一瞬で心奪われます。
当日のセッションでも青山さんからおはなしがあったように、Entôはただのホテルではない。
ユネスコ世界ジオパークとして認定をうけている隠岐諸島は、地域の未来をジオパークの理念にのせて、前へ進もうとしている。
島に点在する大地の遺産を、ただ大事に保全するだけでなく、持続可能な経済活動や文化活動を進めていくために地域住民や事業者が活用し、そのことを通じて、隠岐の人々が地域への誇りと郷土愛を育み自ら語り伝え、ともに地域課題を乗り越えながら自分たちの手で自分たちの地域を元気にしていく。「隠岐ユネスコ世界ジオパーク」がかかげる理念こそが、彼らの在りたい姿であり、隠岐の熱い決意・覚悟なのだと、思う。Entôはそのなかで、ホテルでもあり、ジオの拠点施設でもある。地域の未来とともにある場所。
セッションでは、Entôの現状をひとつの地域の事例として青山さんから紹介、そこから
地域における宿の役割とは?、離島(セッションでは離島に限定せず自然と「地域」と捉えて話が展開)ブランディングとは?そして、そのために必要なことは?という感じで、白井さんのなめらかなモデレートで展開。
「ブランディング」という言葉を聞くと、どうしてもマーケティングが頭に浮かぶとおもう。
でも、はなしをしていくと、そうではなくてもっと本質的なことが大事だよねという共通認識で皆さんと自然に話が進んでいったことが、とてもしっくりきた。
自分たちの地域はどんなところなのか、何者なのか。それを知ることがスタートではないだろうか、ということをわたしからはおはなしした。
そのためには、中の人だけでなく外の人、いわゆる理解者たる関係人口といっしょに地域ととことん真剣に向き合うこと。きっとみんなどこかの地域と比べては一喜一憂している。地域も会社も結局は人と同じだ。人格がある。
これが得意でこれは苦手。
これを大切に思っていて、
こんな価値観で生きてる。
次代にはこんなことをつないで、こうありたい。
それがわたしたちの地域。
それは、自分の地域のいいところもわるいところもすべてと向き合って、ならべて、つなげて、時には削いで、結晶化する。
そうして自分たちはこうやって歩いていくと覚悟を決めること。そのことが、じつはどこの地域も圧倒的に足りないのだとおもう。それは、時間もかかるし、時に苦しく辛い場面に直面するプロセスでもある。
なんでもできますよ、ありますよ、は何もないのと同じ。
八方美人にならないこと、背伸びしないこと。
嘘をついて着飾ると、いつかどこかで辛くなる。
等身大でありのままでいること。
そういう自分たちを好きだといってくれる人と
深くつながればいい、数も追わない。
つくづく、人と人との付き合いと似ているなと、
登壇用のメモをつくりながら自分でも思った。
地域も会社も、人もみんなそれぞれ違っていい。違っていて当たり前。いろんな色、匂い、かたち。だから、ひとつひとつが尊い。
終わった後に、セッションを聞いてくれた友人から、
セッションで小俣さんが言っていた、
「日本のどこを覗いても同じ色にみえる」という点にハッとさせらた、というコメントをもらった。
ほんとうにそうなのだ。
どこを見ても金太郎飴を切ったよう、コモデティ化してしまっている。もっとそれぞれの地域の色が際立ってもいいはずなのに。
その友人としばらくやりとりをしながら、
ふとJNTOのプロモーションのやり方ももっと最適化できるのではと思った。
もし、日本の各地域が自分たちの地域としっかりと向き合って自分たちの色に気づけたら、どうなるだろう。
日本自体が、もっとカラフルになるし(多種多様なコンテンツ、カテゴライズ)、それを好きだと言ってくれる世界の人たちにも、より伝えやすくなる。
JNTOでは、デジタルマーケティングやこれまでのプロモーション事業、各国・地域事務所のマーケティングによって「どの国の、どんな人が、どんなことに関心があり、何を好むのか」という分析が出来ているとするならば、日本各地の磨かれたコンテンツと結びつける、あなたの地域と相性の良い国・地域はここで、こんなふうに届けるといいよ(国・地域によって、SNSが効果的だったり、テレビや現地メディア、ツアー造成が有効だったりと特色がある)とアドバイスしてあげられる。
多分、いまはどこの地域も、
・日本にたくさん来ている市場
・潜在的に人数が伸びそうな市場
・消費単価が高い市場
に、対して「なんとなく」売り込んでいるような気がするのだけど、
もしかしたら、自分の地域のことを真に気に入ってくれる人たちは、いままでアプローチしていなかった全く別の国・地域の人たちの可能性だってある。
そのためには、まずは自分たちのことを知る。
それがブランディングのスタート、というのが、昨日おはなししたことの真意だ。
たくさんの人に、何となく知って貰うのではなく、少なくても自分たちのことを深く理解しようとして、とことん好きになってくれる人とつながれるように。その方がお互い幸せだ。
きっとそういう人が日本にも世界にもいるはずだから。
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\ 観光のあれやこれや、考えてみた /
観光について、あれこれ書いた過去のnoteです。