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僕の好きの半分は、恐竜でできている。

先日、車で出かけた時のこと。
近くの踏切で、めずらしく信号待ちを
することがあった。
右、左、右。
3回は電車が行き交った、とおもう。
隣で息子が「今度はこっちから電車がくるぞ」と、喜んでいる。

そういえば、息子がもっと小さい頃。
電車が好き、というよりも、踏切が異様に好きで、何度も何度も踏切の前を、
通らされた記憶がある。


カンカンカンカン…、という音、
降りてくる遮断機、
通り過ぎる電車。
この一連の流れが、どうやらお気に入りの
様子だった。


踏切前で、一時停車するも、
(彼にとって)運悪く?電車が通らないと、
よく怒っていた。
そして、もう一回ここを通れ、と言う。
遮断機が下りて、電車が通るまで、
なんどもなんども同じ道を通る。
遮断機が下りると、きゃっきゃっと喜んでいた。

新潟の父も、それをよく知っていて、
車で外に出かけて、家に戻るときは、
いつもわざわざ遠回りしてくれて、
踏切のある道を、選んで帰ってくれた。

そんなことを思い出したので、
息子に「覚えてる?」と聞くと、
開かずの踏切から目を反らすことなく
「もちろん!」と返事が返ってきた。


「まだ、踏切とか電車とかは、好き?最近はすっかりポケモンだよね」
と、さらに聞く。

「うん、好きだよ、ちゃんとここにある。
電車も踏切も車も、全部ここに」
と、胸に小さな手を当てて言う。

「でもねぇ、僕の好きの半分は、恐竜なんだ…!
これが全部だったら、ここからここまで半分が
恐竜。ここがポケモン、ここに電車と車と…」

「だから、僕のここは、全部、僕の好きでできてるんだよ」


僕のここは、全部、僕の好きでできている。
いいなぁ、と思った。
そんな彼が、好きだなぁと思った。


彼の恐竜熱は、本当にすごい。
息子やその友達の男の子を見ていると、
彼らがだいたい通る道は、

車、バス、電車、飛行機、戦隊もの、
動物、虫…、 そして恐竜。

試しに、主人にも子供の頃のことを聞いてみた。案の定、順番はどうあれ、どれも好きだった記憶があると。どうやら、「大きくて、強くて、カッコいい」は、男の子がわりと通る道なのかも知れない。



息子の保育園時代、クラスのメンズたちの間で、
一時、恐竜が一大ブームとなったことがあった。
粘土で恐竜をつくったり、恐竜の絵を描いたり、恐竜ごっこをしたり。

わたしなんかは、つい最近まで、ティラノサウルスとトリケラトプス、そしてプテラノドン。
いわゆるメジャーな恐竜しか知らなかったけれど、息子のおかげですっかり詳しくなった。

ちなみに、大人になってから、彼のおかげで好きになった恐竜は、尻尾のハンマーが丸くてかわいい、アンキロサウルスだ。

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▲息子が紙粘土でつくった、草食系恐竜のアンキロちゃん。色使いも好き。



息子は、毎日家に帰ってくると、
恐竜図鑑を片っ端から、読んで、真似て
絵を描いて、なんなら、自分で恐竜図鑑を描いて、つくっていた。

恐竜から、カタカナとひらがな、絵を描くこと、本の読み方を、教えて貰ったようなものだ。

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▲手作り恐竜図鑑と切り絵の恐竜。




卒園式のひとり一言で、
「恐竜の骨を探す考古学者」になりたいと、彼は言った。大人になったら、○○くんと、モンゴルに発掘しにいくんだ、と熱っぽくはなしていた。


恐竜好きは、今も健在のようで、
なんだか嬉しかった。
踏切もそうだったけど、あの熱は、本当にすごいなと傍らで見ていて、いつも思っていた。


踏切と電車の比重は小さくなっても、
その時、好きだったものは、消えることなく、
きちんと彼の中に息づいていて、
彼を形づくっているんだなぁ、と知って、
それもまた嬉しかった。


いや、もしかしたら、
彼の「ここ」が自体が拡がっているから、
踏切の好きの大きさは、彼の中では、
あの頃とちっとも変わってないのかも知れない。

これからも、いろんな「好き」に出会って、
「ここ」には、どんどん引き出しが増えていくんだろう。


そんな彼のそばで、わたしたちにできるのは、
好きとか、ちょっと苦手とか、おもしろいとか、興味がもてたり、いろんなことに触れる機会をつくって、選択肢をたくさんみせてあげること、
だと思っている。

そこに親の好みは不要であるし、
それによって可能性を狭めるようなことはしたくない。

だから、わたしは見ないけれど、アニメでも戦隊ものでも、好きならハマってみればいい、と思う。その時にしか、出会えないもの、感じ取れないものもあるだろう。それを奪ってはいけない、ような気がしている。


正直、わたしは恐竜もポケモンにも、
詳しくないし、分からない。
自分は分からないけど、
彼は、それが好きで、自ら選んだ。

それでいいんだと思う。
誰かを傷つけたり、困らせたりするようなことでなければ。


それを長く続けようが、止めようが、
それが大きかろうが、小さかろうが、
確実に彼の中には、残る。それでいい。
彼が自分自身で選んだ、ということが大事だと
思う。


だから、わたしたち自身も、選択肢の幅を常に拡げていたいと思う。
私自身がいつも好奇心を持って、何かあたらしいこともチャレンジし続けることで、
いつも彼に選択肢を与えられる存在でありたい。

そうしているうちに、勝手に自分で選択肢を見つけて、今度は自分で自分のことを、拡げる日が来るんだと思う。

そんなわたしには、ひとつ愉しみがある。
それは、恐竜やポケモンのことを、彼が教えてくれたように、いつか彼が、わたしの知らない選択肢を、世界を、わたしにみせてくれる日がくること。


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