見出し画像

大学で勉強する時のワザ その5

注:この文章の経緯についてはその0をごらんください。その4の続きです。
ずいぶん時間が空いてしまいましたが,気にせず続けていこうと思います。

情報を集める

21世紀も1/4近く消化した現在,「情報を集める=インターネット検索」なのでしょうか。我々40-50代は大体Google検索を使い,それより若い子たちはTwitter, Instagram, YoutubeなどSNSから情報を集めるのだと聞きました。検索結果が写真だったり動画だったりするだけでなく,画像を元に検索,などという技術も進歩してきています。ただ,インターネットが普及し始めた1990年代も今も変わらずネット上の情報は玉石混交,有用なものもあれば間違っているものもあります。ボランティア精神で整備されているものもあれば,商業目的のもの,真面目なもの,ふざけたもの,人を陥れる悪意のあるもの,悪意はないけど偏見の塊,などなど。発信側の情報の真偽を審査するような機能は現時点でのインターネットでは用意されていませんから,受け手の側が自分の責任で情報を使うかどうか判断する必要があります。これはなかなか難しい。自分に知識があれば,情報源が信用できるかどうか,書かれている内容が本物らしいかどうかをある程度判断することができます。例えば私は物理が専門なので,物理や数学の解説記事の中だったら「これは計算間違いだな」とか「タイプミスだな」などと見つけることができます(けっこうあります)。でも,専門外の経済や医学の記事では細かい間違いを見つけることはできません。そのような場合の私の対応方法を紹介します。

情報の選別

まず,情報を選別する必要があるかどうかを考えます。私の場合は

  1. 全く選別しないもの

  2. ちょっと気をつけるもの

  3. 細心の注意を払うもの

の3段階です。まず1.の全く選別しないものは時事ニュースとか夕飯の料理レシピとか可愛い動物や赤ちゃんのネタ,占いなど,その場で消費するだけの情報です。それが本物でもフェイクでもそれほど影響はないですし,家族との会話のネタになる以上のことはないですから。世の中の色々な人の意見を見て,聞いて,いろんな人がいるのね,と思って終わりです。海外のニュースや遠くの街の凶悪犯罪など,耳に入ったり目にしたりしたら一応気にとめるけれども,深く影響されすぎないように気をつけています。

次の2., ちょっと気をつけるものは,その情報を元にアクションを起こそう,と思っている時に集める情報です。新しいパソコンを買う前とか,ネットの契約変えようかとか,家族が病気になったとか。この時に気をつけることは「情報の鮮度(更新日)」と「発信元」です。基本は新しい物に当たること,それから複数の情報源に当たること。一つのサイト,一人の著者の情報だけ見るのではなく,色々な人が書いたものを見ます。わかる場合は書いた人のプロフィールも見ます。サイトごとに記述に違いがある場合は時間の流れで状況が変わったのか,諸説あるものなのかを考えて参考にする度合いを決めます。法律や税金などに関わることは解説記事だけでなくて公式の省庁や自治体のホームページをみるようにします。情報が信頼できるかどうかを判断するには,ある程度の勉強が必要で,その時はネットでなくて本(書籍)を使います。

3.の細心の注意を払うものは,自分が発信する内容に関わるものです。この時は,自分が信頼できる発信源の情報のみを使い,いつ,どこで手に入れた情報かを全部記録しておきます。大学の勉強でレポートのネタにするのだったらこのレベルでやってほしいと思います。自分について発信する時はネタ元は自分なので裏どりの必要はないですが,今度はその情報を出すことによって周りに迷惑をかけることがないかを気にする必要がありますね。いわゆる個人情報の保護の観点です。

私の場合,ほとんどの情報は1.です。研究に関わること以外自分から発信はしてこなかったので今後は本当に気をつけなければな,と思っています。

大学の勉強と情報の選別

ちょっと話が本筋からずれてしまいました。言いたかったことは,「ネットの情報をちゃんと使うにはまず勉強しないとダメなのよ」ということです。大学では,あるテーマについてまとまった内容を系統立てて掘り下げて学ぶことができます。ここで,今後の人生の考え方の柱になる部分をきちんと建ててほしいと思います。「インターネットがあるからもう学校なんかなくても必要なことはみんな学べる」という説を唱える人もいますが,そのような人はもうすでに学校で学んで柱になる知識を持っている人です。そして,自分がどこでそのような柱を得たのかの自覚がない人だと思います。柱なしにネットの情報だけあっても上っ面以上のことは学べません。大学を大いに利用して,大学で学べることをしっかり自分のものにしてほしいです。

次回は大学図書館についてお話ししたいと思います。

#大学
#初年次教育
#読む技術

補足

インターネット上のフェイクニュースを判別する方法は様々研究されているようです。私が目にしたのは2022年の日本物理学会誌7月号の記事で,あるニュースに着目してそのニュースがどのようにリツイートされたかの構造をみると実体のあるニュースとフェイクニュース(デマ)が判別できるかも,というものでした。近いうちに「このニュースは疑わしい」とか「このAuthorは疑わしい」とかがリアルタイムにSNS上に表示されるのかもしれません。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?