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CO2よりも危険。農業から排出されるN2O問題

便利で安価なものがあれば、ついつい買ってしまう。そんな経験がよくあります。もしそれが環境に悪いかもしれないけれど、なかなか実感がないですよね。

最近は地球温暖化の時代から地球沸騰化の時代へとステージが進んでいると言われている。この問題にどうすれば良いのか世界ではいろいろな活動が行われています。

今回は地球温暖化の最重要トピックでもある二酸化炭素に関わる話題を考察してみました。

※この記事はOrganic Labo KOMAMEYAのホームページに掲載しています。

参考:CO2から糖、光合成の数百倍の速度で(日本経済新聞)

※この記事は音声でも聞けます。

地球温暖化の原因

地球温暖化の一番の原因と言われる二酸化炭素。18 世紀の後半、イギリスにおいて、工業における技術革新を皮切りに、機 械と蒸気機関を用いる大規模な工場制度が普及した。 この結果、飛躍的に生産性 が高まって、経済の中心が農業から工業へと大きく変革した。 いわゆる「産業革命」というやつです。

これをきっかけに二酸化炭素の排出量が増え続ける。その後20世紀になり「ハーバー・ボッシュ法」による化学肥料の開発で農作物の収穫量が飛躍的に増え、世界人口も爆発的に増大する。通称「緑の革命」と呼ばれています。

これらの歴史から、現在起きている地球温暖化は人間の活動による二酸化炭素などの温室効果ガスが問題だとされています。


農業から出る温室効果ガス

世間では二酸化炭素の問題が取り上げられることが多い。しかし、農業の場合では他の温室効果ガスが問題になってくる。それが家畜などから出るメタンガスと畑作などから出る”一酸化二窒素”(N2O)です。

一酸化二窒素(N2O)は、二酸化炭素の約300倍の温室効果があるとされています。世界の温室効果ガス排出量の25%が農業から排出されている中で、この一酸化二窒素の割合がとても多い。そして現在も排出量は増え続けています。

 その理由は、経済成長人口の増加によるものです。人口が増えると食料が必要になる。その食料を生産するために農地を拡大していき、コストを削減するため化学肥料と農薬を使用する。結果として温室効果ガスの排出量も増えていきます。

温室効果ガスの排出量は、作物生産や家畜頭数の急増に伴うんですね。
参考:国立環境研究所「世界の一酸化二窒素(N2O)収支」

一酸化二窒素はどこから出るのか

農作物の生産には栄養素が必要です。食料を大量生産するには本来の土壌にある肥料分では足りません。そのため化学肥料などを投入することになります。化学肥料には野菜が生育するのに必要な三大栄養素の最も重要と言われる”窒素”を含んでいます。

ただ、肥料が多すぎると野菜などの生産物が吸収仕切れない。その結果、吸収されなかった窒素は自然環境に放出されることになります。その余って放出された窒素が一酸化二窒素として空気中に残ってしまう。
これが温室効果ガスが増え続ける仕組みです。


脱炭素のヒントは光合成から

農業から出る温室効果ガスの問題は、人口増加と食料不足であることがわかりました。ではどうすれば良いのか。
これを解決する新しい技術が、大阪大学や豊田中央研究所などによる二酸化炭素(CO2)を使って、光合成の数百倍の速度で糖を作る技術です。

工場などから排出されたCO2を回収し、食用糖やたんぱく源となり得る培養肉の原料を生産できる可能性があると言われています。
つまり、化学肥料や農地を使用せずに食物が生産できる仕組みになる。これによって、温室効果ガスを削減できるようになり、地球温暖化を防ぐ手段にもなるということですね。

もし実現すれば、脱炭素に役立つ技術として私たちの食卓に登場するかもしれない。予定では2030年代前半以降に実用化を目指すとなっています。

2つの不安要素


とても画期的ですごい技術にも思えますが、不安もあります。

1つ目は、安全性です。この技術で使用されているのは水と二酸化炭素。それに電気を流しホルムアルデヒドを作り出します。学校の理科室にあったホルマリン漬けの液体や、メラミン樹脂、シックハウス症候群の問題物質にもなったものです。

※ホルムアルデヒドについてはこちら

2つ目は、タングステン酸ナトリウムを触媒に使用していること。ホルムアルデヒドから化学合成して糖を作り出すために使用しているものですが、鉱石を融解して生成されたものです。

鉱石はもちろん地中の奥深くに存在しています。これが大量に必要になった場合、たくさんの穴が地球上で掘られることになる。

地下のものを掘り起こした時に、不測の事態になる可能性は否めません。歴史上、地下資源を多用して問題が起きずに済んだことはない気がします。


いま本当に必要なのは何なのか

今回は温室効果ガスに効果があるとされる新しい技術について考えてみました。
日本に住んでいるとなかなか実感がありませんが、地球の人口はいまだに増え続けています。そして当然ですが食料も必要になってくる。

そこに温暖化が進みさらなる問題が発生する。これに対してどう対処するのかが現在の大きな課題です。果たして科学の力だけで解決できるのでしょうか。

科学の進歩で便利な生活ができるようになった日本。その代償とも言えるぁん今日問題に対して、身の回りでできることから始めてみよう。
そう思えるニュースでした。

農業と食料不足。この隙間にあるものは何か。
これからのテーマになりそうですね。


料理への想い。食材への感謝の気持ち。 楽しく緩く、真剣に食べ物と向き合いたい。 そんな思いで執筆しています。 「いただきます」から明るい未来を創造する。その活動を模索して行きます。