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1月の俳句(2024)

早1ヶ月

「一月は行く、二月は逃げる、三月は去る」といいます。2024年も、早くもその12分の1が終わります。そして今年も「毎月俳句」がスタートします。
まずは、辰年の年賀状の句から。

〈年賀状〉

り  理屈なきいくさいつ止む辰の年
ゆ  悠々自適夢見るや初日の出
う  うれしきやまた新しき年重ね


バリ島で買った清朝?のポット


〈2024年お正月〉

正月の1週間が過ぎた日に、「2024年お正月」という記事をnoteに投稿しました。文章だけではもの足りないので、一日一句のつもりで、俳句も載せました。

1日  初空の彼方で地震なゐの年始め
2日  書初や初夢いまだ見ざりけり
3日  あらたまの年重ねたる子らの顔
4日  参道の上オリオンの初詣
5日  幼子の投げしボールや風光る
6日  蜂の巣の空き家となりて四方よもの春
7日  歌うよに春の七草口ずさみ 


一日一句は難しい

noteの知り合いに「情句百物語」さんという方がいます。毎回俳句の本質に迫る内容の投稿で、「ムムッ、ウ~ン」と納得しながら、心底から理解できない自分の俳句の浅さを恥じているこの頃です。
ある日の投稿に、こんなことが書かれていました。

本来の俳句は、素朴な感動を簡潔に表現するもの。高潔を求めるよりも日常を詠め。そうして、特別なところに喜びを求めるのではなく、身のまわりに光があふれていることを発見しろ。



身のまわりに光があふれていることを発見」する。簡単なようで、なんと難しいことか。しかし、自分が目指しているものがそこにあると、強く共感しました。
心をニュートラルにして、入ってくるものを見逃さず、言葉にしてみよう。
そう決心して、一日一句を目指してみました。しかし難しい。何度も挫折。まあ、無理をしないのも続ける秘訣だと、自分を甘やかしています。


8日以後の俳句

8日 京都市で初雪が降ったというニュースが流れました。大阪はまだだと思っていましたが、調べてみると昨年12月21日に初雪が観測されたとか。知らなかった・・・。

洗い物干す手冷たき雪だより


9日
 始業式。子どもたちの学校が今日から始まりました。確実に解き放たれる時間ができるというのは、うれしい。

両の手に荷物重そな始業式


10日
 中学1年生かるた大会。冬休みに中1の孫と何度も対戦しました。歌を覚えているのは自分のほうが有利。しかし場に並べたかるたの位置の記憶や瞬発力は彼のほうがずっと上です。歌の読み上げは、初めの頃は私の役でしたが、YouTubeの百人一首を早送りして利用するようになりました。冬休みの対戦結果は、だいたい4:6の枚数で彼の勝ち。悔しいけれど、一度も勝てませんでした。愛用のかるたは、私が高校の頃に買ってもらったものです。

早送りして競い合う歌留多かな



11日 今年最初の京都。京都国立博物館の新春特集展示「京博のお正月」などを観ました。博物館の庭にオーギュスト・ロダンの「考える人」のブロンズ像があります。ベンチに座って斜め後ろから観察。右腕の肘を左の膝にのせ、右手の甲で顎を支えています。自分もやってみる。う~ん、窮屈な姿勢!

考える人の寒きや冬木立



12日 歯医者。毎月1回メンテナンスの日です。もう3年ほど続いていて、お得意さんになっています。ガラス窓の向こうは冬の冷たい雨。

歯を削る窓の向こうや寒の雨


13日
 noteに投稿していた「アジア紀行~インドネシア・タナトラジャ~サバイバル家族旅行」が、やっと最終回を迎えました。全16回を書くのに半年もかかりました。

若き日の旅思い出す冬日差し



14日 中学校テニス1年生大会。遅れてソフトテニス部に入った孫の初試合がありました。時折思い出したように冷たい雨が降る一日。時々公園で練習に付き合うのですが、これで試合ができるのかと思うほど、まだ下手くそです。でも、一生懸命になれるものが一つ出来たのはよかったかも。

ラケットを持つ手凍える初試合



15日 小正月。吉田修一の『国宝』上下を読み終えました。極道の家に生まれながらその美貌を見初められ、歌舞伎の世界へと身を捧げていった男と、梨園に生まれ、挫折を味わいながらも立ち上がっていくもう一人の男。二人の天才の物語です。圧倒的な美の世界が豊饒の言葉で語られる一方で、美しい氷山の海面下に隠れる暗黒の塊のような何層倍もの苦の世界に、読んでいて何度も息がとまりそうになりました。芸の世界に生きることの、なんと厳しいことか。

虚と実の溶けてはかなき小正月




16日
 小雪。朝、子どもたちが登校する時間に、鈍色の空から小雪が舞い落ちてきました。積もるかな、と期待しましたが、30分後には青空が広がっていました。

子らの背に数えるほどの小雪かな


17日 阪神淡路大震災から29年目。あれから新潟県中越地震があり、東日本大震災があり、熊本地震があり、そして今年の元旦には能登半島地震がありました。このほかにも中規模の地震は各地で起きています。日本は文字どおり地震大国です。

阪神忌地は揺れるもの動くもの


18日・19日
 一休み。息切れです。

20日 大寒。今日から2月3日の節分までの15日間が、一年でいちばん寒い時期だとか。寒中見舞いを出そうと思いながら延び延びになっている人がいます。書かなくっちゃ・・・。
寒い夜は、暖かいお風呂がうれしいですね。

大寒や熱きシャワーの止め難き


21日
 雨。この数日、雨が降ったりやんだりの天候が続いています。あまり青空を見ていません。庭に溜まった落ち葉を、時々拾います。

紫陽花の枯葉叩くか冬の雨



22日 夜のウォーキング。2日に一度くらいの割合で、ちょっと離れた公園まで歩きます。夜の公園で1人トレーニング。知らない人が見たら、きっと近づきたくないでしょうね。この日は雲梯をしてみました。

雲梯にぶら下がり見る冬の月

雲梯のはざまに月の隠れん坊



23日 阿倍野区の神社巡り。西成区東端「天神ノ森駅」~阿倍野区横断~東住吉区西端「南田辺駅」。約6kmを4時間かけて歩きました。阿倍野区最後の神社は、ももヶ池の明神様です。池を吹き渡る北風の冷たさが身に突き刺さるようです。

狛犬と見る股ヶ池風の棘




24日 紅白梅。自宅の近くに昔の村があります。もちろん新しい家がほとんどですが、立派な門構えの旧家やお寺もたくさん残っています。そんな旧家の一つで、子どもたちの習字の教室が開かれています。家の前を通ると、1mにも満たない小さな梅の木が紅白の花を咲かせて、春の訪れを告げていました。

小さくも紅白梅の矜持かな




25日 ウルフムーン。1月の満月は「ウルフムーン」というそうです。狼が遠吠えをする満月ですね。アメリカの先住民が名づけたとか。今夜から明日にかけて、深夜に月が満ちます。能登の人たちも見上げているでしょうか。

復興の街も狼月の下


26日 散髪。いつも利用する人気の理髪店。1週間前に予約がとれました。どこを散髪するの、と家人に言われますが。この一年ほどで、確かに髪は白くなりましたね。

刈るほどの髪もなしてふ冬の暮


1月も残りわずか。俳句作りもちょっと息切れしてきましたので、今月の俳句はこのあたりでお終いにします。
それにしても、「身のまわりに光があふれていることを発見」し、それを「五七五」に表すって、簡単じゃありませんね。


群雀挨拶に来る睦み月

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