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アジア紀行~タイ・スコータイ遺跡⑧~

ピッサヌローク(Phitsanulok)へ

スコータイへやって来て、今日が4日目。
スコータイ歴史公園のおもな寺院遺跡はだいたい回れたが、南エリアだけが残っている。しかし今日はスコータイから東にあるピッサヌロークという町に行ってみようと思う。
実はどんなところなのか、よくわからない。タイでも有数の美しさを誇る黄金の仏様がいらっしゃるということ以外、まったく予備知識がない。

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まずは朝食が大事。ホテルのレストランでタイ式のメニューを選ぶ。

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レストランから庭の噴水が見える。

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レストランで働いている女性が日本語で話しかけてきたので驚く。名前はチューンさんといって、子どものころ沖縄で暮らしていたそうだ。平日は英語の先生をしていて、土日だけこのホテルで働いているという。
チューンさんに、ピッサヌロークへの生き方を教えてもらう。経路としては、例の「ソンテオ」でスコータイ・バスステーションまで行き、そこからピッサヌローク行きのバスに乗り換えるということだった。

今日も9時半に出発。ホテル前で、やって来た「ソンテオ」に手を振ってとめようとするが、あっという間に通り過ぎてしまう。
あせる!
道路際に立っていると、チュ-ンさんが心配して出てきて、次にやって来た「ソンテオ」をとめてくれた。チューンさんが、ホテルからバスステーションまでは15バーツ、そこからピッサヌロークまでは39バーツだと教えてくれる。値段交渉にはいつも悩まされるので、あらかじめ分かっていると安心だ。

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乗り込んだ「ソンテオ」は木の3列シート。乗客は数名だ。時速20kmぐらいでのんびり走る。乗用車が追い越して行く。それでも20分ぐらいでスコータイ・バスステーションに到着した。
降りるときに年配の運転手に15バーツを渡すと、変な顔をされた。あとでわかったことだが、現地の人と観光客とは値段が違うらしい。15バーツは現地の人の乗車賃だった。

時刻は午前10時を少し回ったところ。ピッサヌローク行きの乗り場を探すと・・・あった! 英語で書いてあるので助かった。14番乗り場だ。

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ところが、前のベンチに腰を下ろして待つが、いっこうにバスが来ない。ゆったりしたアジアの時間に身を委ねるしかないのだろうか。
1時間以上たって不安になった頃、反対側の3番か4番の乗り場に、かなりおんぼろのバスがとまる。
バス停にいた人が、「あっち、あっち」というように指さして、あれがピッサヌローク行きだと言う。切符売りのおばさんに確かめると、やはりこれに乗れと言う。
乗車賃は30バーツ。チューンさんに聞いたより安い。信じて乗り込み、左側の窓側の席に座る。エアコンはなく、天井に合計8つの扇風機がついている。窓は10cmぐらい開いているが、まったく動かない。日本なら、とうにスクラップになっていそうな車体だ。

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やっとバスが動き出す。ビニールシートでむれそうだが、窓の隙間から入ってくるぬるい風が、思いのほか気持ちいい。

バスのスピードは遅く、ピッサヌロークは遠い。
1時間半ほど走って町に入り、増水した大きな川を渡ると、バスはターミナルに到着した。もう午後1時だ。午前中に着くと思ったのは間違いだった。乗ってきたバスの写真を撮る。

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インフォメーションでピッサヌロークの地図をもらい、黄金仏のある寺院までの行き方をたずねると、バイクタクシーで行けと言う。バイクタクシーのドライバーは、オレンジ色のベストを着ているので、すぐにわかる。赤ん坊を抱いたおばさんが案内してくれる。

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料金は60バーツ。後ろに乗ってドライバーの腰に手を回すと、あっという間に加速する。スピードメーターの針は、60~70kmの間で揺れている。風が顔に当たって目を開けていられない。10分足らずで到着したが、とても長く感じられた。


ワット・プラシーラッタナーマハータート Wat Phra Sri Rattana Mahathat

目指すお寺は、「ワット・プラシーラッタナーマハータート」という長い名前だった。
創建はスコータイ王朝の1357年。その後、アユタヤ王朝の時代になって、仏像に金箔が施されたという。
お堂の中は、信仰心の篤い人々であふれていた。

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これがその黄金仏。まぶしい。
お堂の外でも、人々が蓮のつぼみと線香を両手に挟んで拝んでいる。

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別の仏堂をのぞくと、こちらにも黄金仏がいらっしゃった。

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境内にはこんな仏様も。こちらは新しいのかな。

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建物の入口の屋根も豪華だ。

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ワット・プラシーラッタナーマハータートと道路一つ隔てた南側にも寺院があった。「WAT RATBURANA」という表示がある。こちら先ほどのお寺とは正反対にひっそりとしている。大きな古い仏塔がある。庭には数本の巨木が繁っている。いったい樹齢何年ぐらいなのだろうか。

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ナーン川沿いの道

寺院のすぐ西側には、ナーン川という大きな川が流れている。川沿いの歩道を歩く。水位がかなり高く、半ば水没している樹木もある。「北タイで洪水」というニュースを聞いていたが、その影響にちがいない。

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タイでは、捕らえた生き物を放すことによって善行を積むという仏教の習慣がある。いわゆる「放生」である。お寺にお参りすると、よく小鳥を売っている。ここは川のそばなので、魚を売っていた。もちろん川に放つためである。

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川沿いの道をしばらく歩く。大きな橋のところで左に折れると、突き当たりに鉄道の駅があった。ピッサヌローク駅だ。駅舎の前に、三輪のトゥクトゥクが並んでいる。

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バスターミナルまでこれに乗ることにする。値段をたずねると60バーツ。バイクタクシーと同じ値段だった。
午後4時20分到着。

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スコータイへの帰路

切符売り場で「スコータイ」と言うと、「イレブン」と教えてくれる。11番乗り場でバスを待つ。行きはたいへんだったけど、帰りは大丈夫だろう。

しかし、実際はそう簡単にはいかなかった!
昼に出会った赤ん坊を抱いたおばさんがいたので、「今からスコータイに帰るんです」と言うと、「ついておいで」とターミナルのオフィスにぼくを連れて行って、中にいる眼鏡をかけたおじさんに何か話してくれた。
このおじさん、片言の日本語が話せる。

おじさん「もうバスいっぱいね~。次は6時10分
ぼく「え~
おじさん「こっちへ。5時10分のバス、60バーツ。ここに座って待つ

どこからかイスを持ってきて、窓口のそばに置いてぼくを座らせる。
さっきは6時10分までバスはないと言ったのに、今度は5時10分のバスに乗れという。さっぱりわからない!

しばらくして、おじさんがオフィスの窓から顔をのぞかせて、また話しかけてくる。
まだまだ
お水ある? ビールは?

どこまで本気なのか冗談なのか、よくわからない。
お水はあります」と応えると、
サービス」と言って、水のボトルを1本くれた。

うまく言葉が通じないけれど、みんな親切だなあと、うれしくなる。
今日一日だけでも、いろんな人に助けてもらっている。
旅の醍醐味は、遺跡や景色はもちろんだが、知らない人とのふれ合いが何よりも大きい。

おじさんの言葉通り、5時10分にバスがやって来た。

おじさん「このバス。気をつけて

座席は自由なので、空いている席にすわる。バスは5時20分に発車。窓からおじさんに手を振る。
バスは快調に走り、1時間後の6時20分にスコータイ・バスステーションに到着する。行きよりかなりはやい。

さて、「ソンテオ」に乗るつもりが、6時が最終だと言う。確かに、朝は下の写真のようにいっぱい駐まっていたのに、今は一台もない。

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小柄な男性が、タクシーしかないと言う。3日前にスコータイに着いたときにホテルまで乗ったのは、「ソンテオ」ではなく、タクシーだったのか。
両者の外見はほとんど変わらないが、「ソンテオ」はバス停にとまり、不特定の客を何人でも乗せるのに対し、タクシーは完全に個人が雇う乗り物ということなのだろう。
結局、交渉して160バーツでホテルに戻る。18:50着。
今日も長い一日だった。



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