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Vol.9 医学生なのに…? 看護実習とは!?

こんにちは! チェコ医学生 駒井マキです。
今回は、6月に参加した、看護実習についてお伝えします!

鹿やヤギが草を食べに病院にやってきていました。構内にかすかにただよう獣臭の正体でした😆
これはヤギ??

 この看護実習は、2学年の必須参加の実習です。医師ではなく、看護師さんの仕事を体験するもので、日本の医学部にはない制度のようです。学生2人につき1人担当の看護師さんがついてくださり、丁寧に指導してくださいました。期間は担当の看護師さんのシフトによって変動しますが、およそ1~2週間です。

まず、実際に患者さんに医療行為を施すに際し、準備する講座が1年間ありました。

そこでは、
1, ベッドメイキング
2, 正しい服装
3, 治療記録
4, 傷口の手当
5, 採血
6, 注射
8, 点滴の用意
7, 正しく薬を用意する
9, 尿道カテーテル
10, 静脈カテーテル
11, 経鼻胃管
12, 酸素療法
13, 気管カニューレ
14, 気管吸引

など、実際の医療現場では主に看護師さんが担当する仕事を勉強/練習しました。

 今回の実習で私が配属されたのは、麻酔・蘇生科でした。私が担当した患者さんは、どの方もまだ意識がなかったので話す機会はありませんでしたが、そうでない場合は、本物の患者さんとチェコ語でコミュニケーションをとることも訓練の一部です。

では、実際に私が実習で体験できたことを10個お伝えします👇

1, ベッドメイキング
 正しくベッドメイキングすることは、患者さんの健康にとって必要不可欠です。例えばしわがあると、床ずれの原因になってしまいます。

また、家でのベッドメイキングとの違いとして、
①患者さんを移動しやすくするため、腰の下に横長の布を敷く
②無理な姿勢にならないよう、手足の下等にクッションを置く
③手術跡などから出血する可能性があるため、吸水パッドを敷く
④ずり落ちないように、一部掛け布団を固定する
などがあげられます。

 今回は意識のない患者さんでしたので、ベッドメイキングは患者さんがベッドに横たわったまま行われ、床ずれを防ぐため、定期的に患者さんの体勢を変えました。

2, 記録をつける
 
1時間に一度、排尿量、体温、呼吸数、血圧、心拍数、SpO2、EtCO2、瞳孔反射の有無、その1時間に投与した薬などの記録を付けました。

3, 体の清掃
 
定期的に特別な部屋で水を使って入浴しますが、日々の体の清掃はベッドの上で行います。具体的には、
①シャワーゲルを使って体を拭く
②ゲルを落とす
③保湿
④ドライシャンプー
⑤髪をとかす
⑥爪が伸びていたら切る
などが含まれます。

4, 薬の用意
 カテーテルから血液に直接流し込む薬は、アンプルや瓶に入っていますが、そのまま血液に流すわけではありません。医師からの処方にしたがって、希釈します。多くの薬は生理食塩水(0.9% NaCl溶液)で薄めますが、薬によっては(e.g. エピネフリン)はグルコース溶液で薄めました。
 他にも、点滴に薬を加えました。

5, 経鼻胃管を使って鼻から栄養源を胃に流す
 液体の栄養剤だけでなく、水分源として紅茶を流し込みました。病院によっては水を流すようです。ヨーロッパでお茶といえば紅茶ですが、日本の病院ではどんなお茶が使われるのかふと気になりました🧐
  ご存知の方いらっしゃいましたら、コメントで教えてください!

6, 歯磨き
 歯磨きと言っても、口をゆすいで吐き出すことが困難ですので、棒のついたスポンジに洗浄剤を付けて口内を拭きました。

7, 目が乾かないように目薬を差す
 自分で瞼が閉じられない患者さんには、医療用のカバーで目を覆いました。

8, 気管吸引
 気管は粘液を分泌しています。自力で粘液を排出することが困難な場合、蓄積してしまい、窒素の原因にもなりかねません。そのため定期的にたまった粘液を吸引しました。

9, 筋肉注射

10, 輸血の用意
 
輸血する血液は、パウチに冷凍保存されています。それを体温ほどの温度で解凍し、管につないで血液に流しました。

まとめ

 上記の他にも、緊急性の高かったので我々学生は窓越しに見ていただけですが、緊急搬送されてきた患者さんに応急処置を施し、超音波検査をし、入院の準備をする様子を見学することができました。
 医学部1,2年生は座学が中心ですので、勉強していることと医療現場のつながりが見えにくいのですが、今回初めてプロの現場を身近に体験することができ、非常に勉強になりました。


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