ともに楽しむ満腹を「さくら本店」様~大人の給食が楽しめる和食店~
JR飯田橋駅西口から徒歩4分にある「さくら本店」様は、バランスの取れたボリューム満点のお得なランチ「大人の給食」を目当てに、ビジネスマンを中心に連日行列ができるほどの人気店です。
この道40年以上の経験が活かされた確かな味とユニークな組み合わせの定食は、お客様とともに楽しくありたいという店主の吉澤様のサービス精神から生み出されています。
-お店をオープンされた背景や、当時のエピソード等があればお教えください
2001年の12月4日にオープンして、今年で23年目です。僕の出身は東京の立川市ですが、18歳から大阪の飲食店で修業を始めました。東京へ戻ってきてからは目黒の「雅叙園」をはじめ、いくつかの飲食店を回り、このお店をオープンする前の7年間は、白金にあるダイニングバーで料理長をやっていました。
飯田橋で商売をしないかという話があり、貸し事務所だったこの物件を見つけました。事務所だったので設備も何もなく、一からお店を作りました。
-料理人になろうと思ったきっかけをお教えください
母は6人兄弟の末っ子で今年102歳になりますが、父からもずっと手に職をつけろと言われていました。料理が好きだったので料理人になろうと高校を出てすぐ、卒業式の夜に大阪へ行きました。
どうしても甘えてしまうから、修行するには親元を離れるしかないと、思い切って知り合いも伝手もない大阪へ。大きな都市で勝負したいなという気持ちもちょっとありました。実際のところ、高校を卒業したばかりで何の技術もないし、勝負はできないんですけどね。
もう43年ぐらい昔ですし、関東と関西の違いもあったと思いますが、ちょっと語気が強かったり、言葉の印象というので苦労しました。今思えば良い経験をしたなと、大阪での修行時代があったから今があるなと思います。
-お店を続ける上で大事にしていることをお教えください
一番大事にしているのは、目配り、気配り。
これは飲食店や商売に限ったことではなくて、世界中のみんなが人への優しさだとか気遣いができれば、思いやりのあるあたたかい世の中になるし、そういう世の中にしていきたい。人として生まれた以上は、自分の気持ち次第でできると思っています。
あとは、お客様とフレンドリーでありたいということ。お金を頂戴しているからというのではなく、ご縁があってお店に来て頂くお客様とは、お互いにフレンドリーな付き合いというか、そういうお店作りをしたい。
僕はいつもお客様に「おいしかった?」ではなくて、「お腹いっぱいになった?」と聞くようにしています。食というのは味の好みもあるので、お腹いっぱい満足することが先で、その後においしいがついてくるんじゃないかと思っています。
「お腹いっぱいになったから、午後は寝ちゃいそう」というのが一番ですね。もちろんおいしいを目指して毎日やっていますが、まずはお腹を満たすことが人として大事だと思います。
-食材選びで大事にしていることをお教えください
業者さんとのお付き合い、信頼関係でやっているということです。もちろん旬のものを使いますし、この食材が欲しいというのもありますが、ある程度は業者さんにお任せしています。うるさいことを言っても楽しくないし、とにかく楽しくやりたいという思いです。
お店を始めた頃から、楽しくという気持ちはありました。当時はまだ30代で、人から見れば険があったとは思いますが、それで良いと思いますし、人は成長するということだから。
還暦を過ぎてもう61歳になりますが、現役で後どれくらい、何年できるかと考えると、一度きりの人生だから楽しく、日々ちょっとでも成長できたらと思っています。
冬が来れば必ず春が来るように、食の中でも季節感を出せるようネットで調べたり、自分なりに工夫して、食材をどう生かしたら良いのかを考えています。
それと、お客様とのコミュニケーションからも色々とヒントを得ています。極端な例えですが、醤油を使ったものをソースに替えてみようかなとか。
お客様の表情もそうですが、会話を自分から発信することも大切にしています。仕事に限らずなんでもそうですが、相手を待つのではなく自分から発信してみる。「発信なくして成功なし」というのが僕の持論です。
60年ちょっと生きてきた経験から言えるのは、人生はなんとかなるということ。じっとしていればなんとかなるではなく、失敗してもいいからまずは行動してみる。一生懸命に努力すれば、なんとか生きて行けます。
娘にも言っていますが、とにかく失敗してもいい、友達とぶつかってもいいから、たくさん経験をしないとね。ちょっと料理からずれちゃった。
-1日限定 50食のランチ「さくら定食」を始められたのはいつからでしょうか
オープン当初からです。最初は15食からスタートしましたが、11時半に開店して30分もたたずに完売してしまい、あまりにも早く終わってしまうので、少しずつ提供数を増やしていきました。
その頃は料理人がもう1人いたのですが、今は私とホール担当の2人で切り盛りしているため50食限定にしています。それでも11時15分に開店して、12時半には終わってしまいます。
当初は900円で提供していましたが、物価が上がっている現在でも価格は950円に抑えています。毎日食べるものだから少しでも安く、体に良いもので満腹になることが私のコンセプトです。
値上げが当たり前になっていますが、儲けに走るとどこかで失敗するのではないかという思いと、一度上げたらなかなか下げられなくなります。長年培ってきたお客様との信頼関係を大切に、あえて値上げはしないという決断をしました。ランチを食べて頂いたお客様が、夜にもまた訪れてくださる。実際、多くのお客様がそうしてくださいます。
メニューは肉や魚をメインに、野菜もなるべく多く取り入れ、具だくさんの味噌汁にもこだわっています。主菜、副菜、味噌汁も日替わりで、あとはおいしいあきたこまちのご飯。ランチだけで2升を2回、約7キロ弱の量を炊いています。お昼の開店時間に合わせているので、ご飯は炊きたてです。
和食だけにこだわらず、麻婆豆腐やカレーといったメニューもありますし、家庭ではあまりない組み合わせ、例えばメインの刺身に小鉢でパスタを合わせたりします。楽しくなるような遊び心を大切に、思いもよらない新しい組み合わせを考えるのが好きですね。
ただ、どなたにでも楽しんで頂けるよう辛さを抑えたり、できる限りではありますが、いつも来てくださるお客様が嫌いなものを残された時は、次回はちょっと変えてみたり、お客様の視点にも気を配っています。
-さくら定食の「大人の給食」というキャッチコピーは面白いですね
実は僕が考えたのではなく、もう10年以上前でしょうか、ある企業の方がうちのお店に来る際に「今日も大人の給食行く?」と話していたと別のお客様から聞いて、「それ、頂いて良いですか」という感じでもらっちゃいました。
料理でもなんでも、真似ることが必ずしも悪いことではなく、どう自分なりにアレンジするかということだと思っています。うちではこうしよう、こう組み合わせようと考えるための良いヒントにしています。
-お酒の種類が豊富ですが、夜のメニューについてお教えください
その日に仕込んだたくさんの一品料理の他に、メニューにないおすすめもあるので、お客様の状況に合わせてお任せを3品出すという形がほとんどです。コース料理は前菜から主菜、全体を通して食材をうまく組み合わせて、安く提供できるように工夫しています。
お酒は、大まかな系統と料理を邪魔しないものということを伝えて、業者さんにお願いしています。
-昼も夜もお一人では大変かと思いますが、仕込みにも相当時間がかかりますよね
仕込みからが勝負なので、絶対に手は抜きません。それによってどれだけ営業できるかが決まります。丁寧に、完璧に仕込みができているからこそ、お客様とも会話ができるんです。
毎朝5時に起きて、7時15分ぐらいにはお店にいますね。昼の営業が11時15分から始まると12時半か40分には終わるので、スタッフさんにご飯を食べてもらって、僕はもうそのまますぐ夜と翌日のランチの仕込みに入ります。夜の営業が5時半から始まって10時ぐらいには終わるので、それから家に帰ってちょっと寝ます。
土日が定休日ですが、どちらかは必ず出勤して1週間のランチメニューを決めたり、食材を発注したりしています。
-おすすめのメニューをお教えください
意外かもしれませんが、麻婆豆腐です。
山椒を効かせながらも辛すぎない。お酒を飲んだ後に麻婆豆腐とご飯を注文されて、ご自分で麻婆丼にしてシメるお客様も多いです。麻婆豆腐は人気があるので、ランチでも出しています。
夜はチャーハンや混ぜご飯をお出しすることもありますが、ミニカレーは飲んだ後のシメとしてウケが良いです。ミニサイズなので量が丁度良いのかもしれませんね。
名物は秋刀魚の生姜煮です。圧力鍋とか使わずにコトコト何時間も煮るので、結構手間と時間がかりますが、骨まで食べられます。
-2001年のオープンから弊社のお米をお使い頂いていますが、きっかけやお米へのこだわりお教えください
お店のオープン時に営業に来られたのがきっかけで、それからずっとあきたこまちを使っています。
ただ何年間か、新米時期の1~2ヶ月だけお休みしていたこともあます。姉が長野県の飯山でお米を作っているので、新米を送ってくれていました。姉も年を取ってきちゃって、何十キロと精米するのも大変だし、今は送ってもらえなくなりました。そういった経緯もありましたが、その期間以外は、ずっとあきたこまちです。
あきたこまちは、ある程度冷めてもおいしいのと、やっぱり香りが違います。
お米の基本は研ぐことなので、無洗米は使っていません。お米を研いだら30分以上水に浸けて、しっかりお米に水を吸収させてから炊きます。そうすると芯も残らないし、香りも良いです。
炊きたてなんかもう最高ですよ。お腹が空いてる時は、ちょこっと塩結びにするだけで最高です。一番お米のおいしさが出ますね。
-家庭でも手軽にできるようなレシピや、旬の食材の食べ方をお教えください
・青唐を1本ぐらい細かく切って入れた卵焼き。入れ過ぎるとちょっと辛いですが、青唐の香りも出てお酒のあてにもなります。
・春はやっぱり新じゃが。小さめの新じゃがを皮ごとよく洗って、蒸して塩をするだけ。塩が一番、新じゃがの味が出ます。
・夏はゴーヤーの揚げ浸し。ゴーヤーを素揚げして出汁につけておけば、結構日持ちもします。お店ではゴーヤとトマトを合わせた煮浸しを、小鉢としてランチに出すこともあります。
【意外にありそうでないアレンジ】
・きんぴらサラダ。生野菜の上にきんぴらごぼうのせて、ちょっとゴマドレッシングをかけます。
・カレーをパスタにかけるだけのカレーパスタ。レトルトのカレーでもおいしいので、一人暮らしの方でも気軽に食べられます。
・ポテトサラダにカレー粉。入れ過ぎるとカレー味になってしまうので、何か入っているなっていうぐらいの量がポイントです。
-最後に、今までで一番辛かったことや嬉しかったことをお教えください
辛かったことというのはもう過去のこと。やっぱりコロナもそうだったけど、今思うとそれはそれで楽しくやっていました。コロナ禍はランチ営業だけでやっていましたが、営業時間が終われば翌日の仕込みをして夕方には家に帰ります。
そうすると、小学校の下校時間と重なることがありました。お店を構えているのに、なんで小学生の列に混じって帰っているんだろうと笑っちゃった時があって。お店を開けたくても開けられなかったのが辛かった、とも言えますが、今となってはもう笑い話です。とにかく仕事が好きだから楽しくてしょうがないですし、何事も楽しい思い出にしようと思っています。
ただ、今は人手不足で困っています。ホール担当は昼と夜で1人ずついますが、夜のスタッフが3月いっぱいで辞めてしまうので、そうなると自分1人ではお店を回すのが厳しくなります。
42歳で結婚して人生が変わりました。45歳の時に生まれた娘がこの春、高校生になりますが、やっぱりそれが人生の中で大きいです。若い頃にちょっと精神的に病んでしまったこともありましたが、今は健康であることが一番の幸せです。健康でなければ何をやってもダメですし、まだまだやっていきたいです。
=インタビュアー実食!=
おすすめの1日限定50食のランチ「さくら定食~大人の給食~」をいただきました。
こだわりの味噌を使った具だくさん味噌汁は、大根、茄子、豆腐、わかめが入っていて、野菜の甘みと味噌の風味が合わさった上品なお味でした。
カリっと揚がったアジフライはボリュームがあり、組み合わせが面白いきんぴらごぼうとチャーシューの小鉢は、お肉が軟らかくて濃すぎない程よい味付けでした。
もうひとつの小鉢のカニ大根は、干し椎茸でとった出汁がよくしみ込んだ大根に、カニ等のシーフードと椎茸が入った餡がかかっていて、ホッとする優しい味わいでした。
お漬物は、さわやかな風味が箸休めにちょうど良い柚子大根。
どれもおいしく、あきたこまちのご飯も良く進んでお腹いっぱいになりました。遊び心を忘れない日替わりのメニューは、毎日わくわくできるまさに「大人の給食」。飯田橋のオフイス街に佇むお店は、生け垣のある外観と店内の装飾は純和風でありながら、お料理は和洋中と幅広く、950円で満腹になれるお得なランチと、店主の吉澤様の人柄が魅力です。
ランチは売り切れ必須の激戦となりますが、アットホームな雰囲気を味わいに、ぜひ足を運んで頂きたいです。
今度は一押しの麻婆豆腐を食べてみたいです。ご馳走様でした。
猪爪
店頭キャンペーン開催中!
さくら本店様 × 大潟村あきたこまち生産者協会コラボ企画として『あきたこまち誕生40周年プレゼントキャンペーン』を2024年5月17日まで開催しています。
さくら本店様をご利用のお客様が対象ですので、応募の詳細は店頭POPをご覧ください。
店舗情報
さくら本店
#プロの料理人が選ぶ理由
インタビューを通じ、大潟村あきたこまち生産者協会のお米やパスタを選んだ理由、おすすめの調理法などを紹介します。
プロが選ぶ食材をご自宅でも!
あきたこまちの他、発芽玄米や便利なパックごはんもご用意しております。