本物の味で愛され続ける挑戦者。「北京宮廷料理 涵梅舫 銀座店」様
東京都中央区。有楽町駅、銀座駅からほど近い銀座のビルの一角に、中国料理伝統の味を引き継ぐ一流の料理人たちが腕を振るい、数多くの食通や著名人も足しげく通う「北京宮廷料理」を味わえるお店があります。
中国から日本へやって来た元税関職員の挑戦は、一軒のギョウザ店から始まりました。
「日本に本物の中国料理を広めたい。」熱い想いでたくさんのお客様との縁を繋ぎ「鉄人」に挑み大きな勝利を掴んだことで、中国料理の最高峰とも言われ皇帝の食卓を彩ったとされる「北京宮廷料理」が日本に広まることになります。
本場中国の本物の味にとことんこだわる「涵梅舫(かんめいほう)」代表取締役の張慶余(chou kei you)様にお話を伺いました。
お店のこと
-お店についてのエピソードをお話頂けますか。
1998年2月、港区赤坂に最初の涵梅舫を開店しました。それから2001年に建物が古くなったので、取り壊されることになり閉店し、2004年9月にここ銀座にオープンしました。
2000年に愛知県の名鉄グランドホテルにお誘いを頂き、そちらにもお店があります。名古屋店も開店から22年、現在も営業していますよ。
-日本でお店をやろうと決めたきっかけをお教えください。
私は元々、中国の北京税関で働いていた公務員でした。いつか自国を出て、特に興味のあった日本で起業したいと思っていたので、36歳で税関職員を辞めて日本の大学へ留学したんです。
在学中、大学のお祭りでギョウザを作ったことが料理店を開店したきっかけでした。大学の先生に、日本人なのですが中国の味をよくわかっている台湾出身の方がいて「張君、このギョウザの味なら、日本でお店をやれば有名になれるよ。」と言ってくれました。
大学2年生ぐらいのときに横浜で「北京餃子館」という店をオープンしました。勉強しながら、ギョウザのお店を始めたのです。
その頃に「料理の鉄人」に出演している周富徳さんをテレビで見ましたね。
私は料理が大好きだから、中国料理の知識があったのですが、日本のテレビで放送されていた中国料理は「本当の中国料理と全然違う」と思っていたのです。
大学の先生と話し合い「もし日本で自分のお店を持つなら、グルメの街・赤坂でやるべきだよ。」とアドバイスを頂いて、本当の中国料理を日本の方に紹介したいという気持ちで赤坂で涵梅舫をオープンさせました。
-「涵梅舫(かんめいほう)」という店名には、どのような意味が込められているのでしょうか。
店名を付けるときには風水の先生に見てもらったんですよ(笑)
「涵」のさんずいは、元の住所の赤坂がある「港」区に由来しています。だから水に関する字が付いています。「梅」は生命力が強いですよね。中国には「梅開三度」ということわざがあり、何が起こっても元に戻す、困難を乗り越えることができるという意味を持っています。「舫」とは船のことで、西太后が料理を楽しむ場としてつくった石の船というものにちなんでいます。「船」は「水」の上に留まることが出来ますよね。とても縁起の良い名前です。
鉄人への挑戦
-テレビ番組「料理の鉄人」に当時の料理長が挑戦者として出演され、中華の鉄人・陳健一さんに満点で大勝したことで涵梅舫様は一躍有名になりました。その当時のエピソードをお教えください。
この20年ほどの間で著名人も多く来店されました。首相や国会議員や、芸能人もたくさんいらしてくださいます。
中でも料理評論家の服部幸應先生はオープン時から20年以上通ってくださって400回以上はいらっしゃっています。この前も、いらっしゃいました。その服部先生がいらしてくださるようになったのは、ある常連さんがきっかけでした。
フレンチシェフをされている、とある常連さんがロールスロイスのリムジンに乗ってしばしば来店していました。あの長い車でね(笑)周りは知らないから「これは誰の車?!」と(笑)
うちは宮廷料理ですから、日本の方にはあまり親しみがないことが悩みでした。
いくらおいしくても、知られていないので、お客様がなかなか来ません。そこで、その常連のフランス料理店のオーナーに宮廷料理を日本の方へ紹介したいです、と相談しました。すると「料理の鉄人」への出演をすすめられたのです。でも、どうしたら良いのか分かりませんでした。
後日、常連さんが本当に服部先生をお店に連れて来てくださったんです。
服部先生はうちの料理を全部「おいしい!」と言ってくださり、今度は大変知識が豊富で、本物を分かっているプロ中のプロ、自分の中華料理の先生と呼ぶ馬(マ)先生という方を服部先生がお店に呼んだのです。
馬先生がうちのすましスープを一口召し上がると「ああ、これは本物だ。」「今この味を出せる料理人は、本場中国でも少ない。」と絶賛しました。それから服部先生は、会う人会う人にうちのお店を紹介してくださいました。お店が繁盛したのは服部先生のおかげですね。
一週間ぐらい経った頃かな。服部先生はテレビ局の方を連れてきて、いよいよ番組への出演が決まったのです。
1999年の2月「料理の鉄人」でうちの料理長が陳健一さんに挑戦しました。番組を収録したのが2月で、4月に放送されました。
料理のテーマは「白菜」だったので「白菜のすましスープ」で勝負しました。この料理は中国でも有名なスープです。この他にも5品くらい出しました。
当時、赤坂はすごく静かなところで、赤坂小学校の隣にお店があったのですが、お客さんもあまり来ないような場所でした。それが番組放送後、いきなり全国からお客さんがたくさん来るようになり、予約の取れないお店になりました。
宮廷料理のこと
-宮廷料理の料理人は本場中国でも少数だそうなので大変貴重ですね。このお店でしか味わえないものを紹介して頂きたいです。
伝統の味を出すには、専門的な食材を扱う多くの知識が必要です。クマの手とか、シカのアキレス腱だとか…普通の料理人にはわからないような調理の難しい食材がたくさんあるので、料理できる人が少ないのです。
「満漢全席(まんがんぜんせき)」は中国でもなかなか食べられないのですが、うちは本物を作れます。満漢全席とは中国清の時代、満州族と漢族を合わせて一緒にやった盛大な宴会のことです。満は満州族。漢は漢族のことです。漢民族は中国で最も人口の多い民族ですね。
満漢全席は赤坂の時で120回くらいやりましたよ。
食材・調理のこと
-食材や調理で大事にされていることはどのようなことでしょうか。
食材は本場の、保証された、良いものを使うことです。味は料理の命ですから。
宮廷料理は昔の料理なので、使用する食材には乾燥したものが多いんです。干しナマコとか干しアワビとか、シカのアキレス腱とか。干し方(製法)も昔のままのものを選んでいます。アワビは生ものもあるのですが、やはり本場のきちんとした昔からの食材でないと伝統的な味は守れないのです。
伝統の食材を使い、伝統の調理法で料理をします。赤坂の時と全く同じメニューで、料理の手順も全く同じです。
たとえばすましスープには、アヒル、丸鶏、ハム、豚のすね肉、干し貝等をたっぷり入れて4時間煮込みます。一番だしが出たら、更に鶏のひき肉も入れます。
しかもスープの上の方の脂、下(底)の方も要りません。まん中の一番良いところだけを使います。これがすましスープです。
旨味調味料等を使わなくても、おいしくできるのが昔の調理法です。旨味調味料の98%はグルタミン酸で残りの2%は鉄と糖分と言われていますが、鶏肉をふんだんに使うことによって旨味成分を調味料で追加しなくても、食材から引き出すことが可能です。
昔はこういった科学的な事が分からなくても、「陰と陽のバランス」が取れれば健康に良いとされていました。
たとえばスープについて言うと、アヒルは陰。鶏肉は陽。豚肉は陽で、貝類は陰です。こうして陰と陽のバランスを取っているから、体に良いんです。昔からの作り方を変えずに作ると、調味料に頼らなくても旨味を出すことが出来ます。昔の味を守るために、スープの作り方は変えられないのです。
お米のこと
-弊社のお米を使い始めたきっかけをお教えください。
「北京餃子館」をやっていた頃、その時は小さなお店だったもので、なるべく安い食材を仕入れていましたから、お米も安いお米でした。
ある時、お客様から「このお米はダメだ。おいしくない。」と指摘がありました。そこで、おいしい日本のお米の産地から取り寄せようということになって、秋田県のあきたこまちを検討し始めました。確か、どなたかからのご紹介だったはずです。今は無洗米使っています。昔は研ぐお米でしたね。
お米に関してはプロじゃないので、こまち協会から炊き方を教えてもらって、その方法で炊いています。
他の米屋さんも売り込みに来るんですけど、こまち協会のお米にしたらお客さんの反応が良くなったので、たとえ安くても、よそのお米には変えないよ!
-白飯とチャーハン等に調理する場合とでは、ごはんを別に炊いているのでしょうか?
白飯として提供するごはんもチャーハンにも、同じごはんを使っています。チャーハンに調理する場合でも、特に冷やしたり等はせず、そのまま使っています。
油を入れると、あきたこまち特有のもちもちとした特徴が邪魔をせずに、炒めることが出来ますよ。
=インタビュアー実食!=
白飯に合う料理として、オススメの3品を頂きました。
初めに「ナマコとうずら玉子東風煮込み」を頂いたのですが、中国ではナマコが慢性肝炎の治療薬として利用されており、コラーゲンやコンドロイチンといった近年注目されている栄養素がたっぷりと入っているそうです。
コリコリとした独特の食感が癖になる一品です。うずら玉子と青梗菜がソースとよく絡みます。
次に「大海老山東風煮込み2匹」を頂いたのですが、大きな海老の皮を剥くと弾力のある身がぎっしりと詰まっています。
ソースに海老みそを使用しているとのことで、口いっぱいに海老の旨みを感じられる一皿です。
最後に「マーボ豆腐」を頂いたのですが、真っ赤色から感じる辛さ、ボコボコと煮立つ土鍋で、食べる前からアツアツ旨辛感が満点です。実際に食べてみるとピリ辛の中にもしっかりとした旨味を感じられる、正に本格的な一品でした。
全て白飯に合う最高のメニューで、お腹も心も大満足でした。
芸能人や有名人が足しげく通う涵梅舫様ですが、この本格的な中国高級料理がお昼時にはビジネスランチメニューを提供しており、1,000円台から召し上がることが出来るそうです。今度またランチで伺いたいと思います。とても美味しかったです。ごちそうさまでした。
稲垣
店舗情報
涵梅舫 銀座店
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