こま
舞台に関するつぶやきや、そうでないことのつぶやき、書き留めておきたい記録です。不定期更新
共同制作戯曲集「世界の綻び」に収録した作品の一部を公開しています。
ひゅー ひゅー… ひゅー…… 森の中 先も見えない暗く湿り鬱蒼とした深緑の木の生い茂る 森の中 透明な蝶が翔ぶ 透明だから、見えない 見付けたくても、見つからない 見つけられない 鱗片も、見えない 森の中 先も見えない暗く湿り鬱蒼とした深緑の木の生い茂るだけどどこかどきどき、隙間を覗く幾日待ち焦がれる幾日暗闇に彷徨う幾日目の迷う幾日 森の中 隙間から、蝶の、鱗粉
前編はこちら - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - 3. 幼い日の痛みと、息の苦しさを、忘れる日はありません。 一面隔てたおそらは、もうわたしのもとへ訪れることはありません。 いい聞かせて、それでも今日も明日も、おそらを見上げます。 「どうですか」 思わず、痛そうですね、と、男は眉を顰めました。 病室のような部屋の中、一枚、一枚とピンセットのようなもので剥がされた薄い板が
1. 一面隔てたおそらを見上げて、 口をぱくぱくさせました。 もうそこで息をすることはないけれど。 「これは」 ある男がそこへやってきたのは、取引先の会長に誘われたことがきっかけでした。 おおきながらすの鉢を覗くと、水面を隔て、なかには白い肌のおんなが座っています。 上から眺めていると、それの座っている辺りから伸びる薄く透き通ったひれが、花のように広がっているのが印象的でした。 ところどころに赤いうろこのようなものを持ったそれは、持ち主である会長が話しをする間長い髪を揺ら
愛に花が咲いて、あなたと私は出会った あなたとの出会いは、わたしのすべて だから、すべてをあなたに捧げて、わたしはあなたに生きる意味を見出したの 手がかかる子ほどかわいいというけれど、それはどうやら本当のようで なにが起こっても、手を放すことはできなかった わたしがあなたの手を引いて、あなたはわたしの手を取って 歩幅を合わせて、隣を歩いていく あなたがわたしの手を引くようになって、歩幅は少し合わなくなった だけどあなたはわたしの手を放しはしなかった あなたはわたしのす
ねえ、一緒にいよう いいよ ねえ、あたしたちは一緒に生まれてきたものね そうだね ねえ、ずっと一緒よね? 多分ね 多分って何よ 僕らは違う個体だよ? でも一緒に生まれてきて、一緒にいるわ そうだけど あの空をこの場所から初めて見た時も一緒だったわ そうだね ねえ、一緒よね? そうだね そうよね 〇光から出ようとする彼の手を引く ねえ、どこいくの どこって どこいくの 外へ だめよ、あたしはいけないわ でも僕はもう行けるよ でも じゃあもう少し 〇光の淵に立つ ああ