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なぜ乃木坂46を卒業するのか?

サヨナラの意味を考えてみよう。

アイドルグループでは、よくメンバーの「卒業」が話題になりますよね。乃木坂46でも最近は白石麻衣さんや堀未央奈さんの卒業が騒がれました。残されたメンバーの気持ちを考えると、こっちまで寂しくなってしまいます。

根本的な疑問として、そもそもなぜ彼女達は卒業という形でグループからの脱退を決断するのでしょうか。あれだけ仲が良いグループなのだからずっと所属していれば良いのにと思ってしまうと、卒業すること自体に疑問をもってしまいます。

過去にはスキャンダル故の事実上の解雇もありましたが、今となっては誰しもが「卒業」、つまりは乃木坂46の活動が満了したという形でグループを離れていきます。

今回は、なぜ乃木坂46のメンバーは「卒業」という形でグループを脱退していくのか、その理由を考察していきます。

女性でもない、アイドルでもない僕が、女性アイドルグループのメンバーがグループを卒業する理由を考察するなんて烏滸がましいにもほどがあるのですが、一読して、コメントでご意見や感想をいただければ嬉しいです。


個人の活動に専念するため

以前の記事で考察したように乃木坂46のメンバーはアイドルという枠に収まっておらず、個人の仕事が活発に行われており、グループに所属していることが一時的に希薄になるメンバーもいます。ポジティブな表現で言えば、乃木坂46というグループは、グループに所属したままでも束縛なく個人の活動を存分に出来る体制なのです。

その一例として、「僕は僕を好きになる」のセンターを務める山下美月さんは、個人の活動があまりに忙しく、23枚目シングルの「Sing out!」の活動には参加していません。

乃木坂46という場所で芸能人として成長し、舞い込んでくる個人の仕事をこなすうちに乃木坂46以外にもやりたいことを見出す。そのやりたいことへの興味が大きくなり、邁進するためにグループを卒業するというのは極々自然な流れだと思います。

この卒業の仕方の代表格として、生駒里奈さんが挙げられます。忘れもしない、乃木坂46の初代センターですね。彼女は、公式お兄ちゃんであるバナナマンのお二人との対談で「舞台が好きであることに気づいた」や「本物の役者になりたい」と思うようになったと述べています。

ちなみに生駒里奈さんは22歳で乃木坂46を卒業しています。アイドルとして何の不自然さもない年齢であり、むしろこれからもアイドルとして更なる活躍を期待されていたと思います。それでも卒業を選択するほど、芝居への興味は強いものだったのでしょう。

もちろん卒業の理由は一つではなく、色々な要素が絡み合った複合的なものです。彼女自身「全ての区切りが良かった」とも述べています。センターを経験し、センター以外も経験し、AKB48との兼任を行い、兼任が解除され、センターを務めたら、アイドルとしてやり切ってしまったという感覚があったとのことです。そこに芝居への興味が湧いたのであれば、まさに区切りが良かったということなのでしょう。

先日卒業を発表した堀未央奈さんも、卒業の理由の一つとしてお芝居への興味が湧いたことを挙げていますね。乃木坂46は、舞台に代表される芝居の分野に積極的に進出しているため、芝居に志を見出しやすいのかもしれません。

さて、どんなに個人の活動に制限のないグループであったとしても、所属している以上はその組織の活動を蔑ろにしたりゼロにしたりすることは出来ません。自分の中に別の志が生じたうえで、組織の活動にも精を出さなければならない時、人は己の進路に苦悩します。二足の草鞋というのは簡単にできるものではないのです。

そして組織の活動に割いている労力でさえも自分の志のために使いたいと考えた時、彼女達は卒業という形で組織から脱退するのでしょう。

バナナマンの設楽さんがラジオで言及していましたが、メンバーが卒業するたびに「いればいいのに。いて好きなことやればいいのに」と思っているとのことです。

僕も激しく同感していますが、それは同時にわがままという考え方もあります。籍だけおいて他の活動に勤しむというのは虫が良すぎるというのが一般的でしょう。

ただでさえ乃木坂46のメンバーは誰しもが乃木坂46を愛しており、グループにわがままという形で迷惑をかけるくらいなら卒業するという発想があっても不思議ではありません。これはあくまで僕の想像ですが。

秋元真夏さんは「いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46」の作中で、「卒業」というある種の制度を廃止し乃木坂46が実家のようにいつでも帰ってこられる存在になれないかというアイディアをもっていることを明かしています。

メンバーとの別れは辛いものであり、たとえ乃木坂46の活動をしていなくても良いからグループには所属し続けてほしいという切なる願いが込められていると思います。僕も、自分の志故に卒業したメンバーには、一人の活動が辛くなったらいつでも乃木坂46に帰ってきてほしいなと思っています。これはあくまでもファン心理として。

いずれにせよ、乃木坂46で命を燃やしていくうちに新たな志を見出して卒業していったメンバーには、その道でも幸せになってほしいと心から思います。


より活躍できる場所を求めているから

乃木坂46を卒業したメンバーの中には、その後に他のアイドルグループに所属している人や、アイドルとは違った形で芸能界に携わっている人がいます。

他のアイドルグループに所属した例としては川村真洋さんが挙げられます。彼女は現在、K-POPのアイドルグループに所属しています。

また、斎藤ちはるさんは現在、女性アナウンサーという形でテレビに出演されています。

このように、卒業後に他のグループに所属したり、ソロの芸能人とは違う職種に就いたりしている様子を見ると、乃木坂46もしくはアイドルよりも輝ける場所を探していたが故の卒業というようにも解釈出来ます。

以前の記事で考察したように、乃木坂46には流動性があります。選抜メンバーはシングル毎に変わり続けるのです。しかし、残念ながら一度も選抜メンバーに入れないメンバーや、数回程度しか選抜に入れないメンバーは実際にいます。

そのようなメンバーには「アンダー」という総称があります。

ちなみに、僕はこの総称が好きではありません。「アンダー」という言葉からは、どうしても「地位の低さ」を連想してしまいます。まるで実力や努力が足りない印象が植え付けられ、彼女達の頑張りが否定されているような表現に感じます。これではあんまりです。

樋口日奈さんはアンダーメンバーに括られる立場でありながら雑誌の専属モデルを務めたり、最近話題のドラマである「教場Ⅱ」へ出演したり、精力的に活躍されていると思います。そのように実力を持ち合わせているメンバーがいるにも関わらず「アンダー」という総称を与えるのは不釣り合いです。

残念ながら今のところ「アンダー」以外の呼称が思い浮かびませんが、いつかより良い呼称が思いついた際には乃木坂46のホームページから運営に対して提案してみようと思います。

さて、話を戻しましょう。

どんなに頑張っても報われない組織にいる時、人は「もっと輝ける場所があるはずだ」や「自分には他に向いていることがある」という発想をしやすいものです。輝きたいという意欲が強ければ強いほど、そのような発想をしやすくなるのではないでしょうか。

時間が進むにつれ、その発想が「ここにいても自分は輝けない」という確信に変わった時、人は今所属している組織からの脱退を決意します。乃木坂46から卒業していったメンバーの中には、このような思考が働いていた人は少なからずいるはずです。

ただでさえ舞台の上で歌い踊るアイドルのオーディションを経ている人達であり、その自己顕示欲や脚光を浴びたいという願望は並大抵のものではないでしょう。乃木坂46に加入する以前から何かしらのパフォーマンスを学んでいたのであれば尚更です。

そのような人達は、どんなに乃木坂46が居心地の良い組織であったとしても、センターに立てなければ・選抜に選ばれなければ・輝けなければ意味がないと考えてグループを脱退するのは理解できます。

しかし、脱退するにしても乃木坂46自体は好きだし恩もある。だから仲違いのような離別は出来ない。だからこそ卒業という円満な形で脱退する。このような文脈が考えられます。

そして卒業した後に、より自分が輝けるグループや在り方を模索した結果、他のグループに所属したり別の職業に就いたりするのでしょう。

志とは少し違う理由による卒業ではありますが、自分の人生を精一杯考えたが故の決断であり、その決断は尊重されるべきものです。彼女達の新たな道での活躍に期待します。

そして、どうか乃木坂46に所属していたことは後悔しないでほしい。乃木坂46のメンバーと過ごしたかけがえのない時間が今の自分を作っていることを忘れずに、自分の道を進んでほしいと思います。


夢から醒めたから

乃木坂46には、1期生オーディションが終わった1ヶ月後に脱退してしまったメンバーや、デビューから数ヶ月で卒業してしまったメンバーがいます。

このような結成初期の脱退は、大所帯のグループであればどのグループにおいても少なからず発生してしまう現象なのかもしれません。AKB48でもこの現象は発生していたようです。

これも様子に基づいた解釈ですが、「アイドルになりたい」という夢があってオーディションを受け、数万人との競争に勝ち抜いて合格したにも関わらず、いざアイドルを始めてみたらその現実に耐えられずに卒業してしまうのだと思います。

結成初期の頃、乃木坂46は知名度はありましたが人気はありませんでした。それでいて「AKB48の公式ライバル」という、当時の日本一のアイドルグループと文脈上は肩を並べているわけですから、そのような存在になるためのアイドル活動はとても厳しいものだったでしょう。

昼間は学校、夜や休日は振付や歌のレッスンやレコーディング。また、地方出身者のメンバーの中には上京せずに地元から通っていた人もいたようです。学業とアイドル活動でクタクタになり、しかもそれだけ時間とお金と労力をかけても思うような結果は得られず、さらには握手会を開催してもお客さんはほとんど来ない。どんなに身を捧げても望ましい結果が得られないのであれば辛くなってしまうのは当然です。

そのような状態であれば、こんなことを続けていても辛いだけだとか、このグループに明るい未来はないとか、悲観的な理由で見切りをつけて卒業してしまおうという発想は生まれやすいものでしょう。案の定グループにその後も人気が出なかった場合には、その見切りは正しい判断になります。

彼女達も人間です。現代を生きる人間として、自分の人生を考えないわけにはいきません。芸能界という、厳しく成功するかどうかも分からない特殊な業界でアイドルとしての人生に時間を割くより、一般人として受験勉強や仕事に時間を割いた方が安定した人生になるのではないかと予感してしまうことはあるでしょう。

なお、乃木坂46の場合はその後着々と人気を獲得してきました。それ故に、もしかしたら「卒業するんじゃなかった」というように卒業したことを後悔している人もいるかもしれません。

結成初期の時点から少しずつメンバーが減っていくのは、1期生にとって辛いものだったはずです。自分達はこれからどうなるんだろう、本当に乃木坂46はやっていけるかしら、次は仲の良いあの人が卒業してしまうんじゃないかというような不安は常にあったと思います。そんな中でも一つ一つの仕事を全力でこなし、今なお乃木坂46に所属し続けている1期生は、後輩のメンバーやファンから尊敬されて然るべき存在なのです。

いつか1期生がいなくなる日がきたとしても、1期生が築いてきた乃木坂46らしさを2・3・4期生が受け継いでいってほしいと思います。


まとめ

アイドルグループを卒業する理由は、もちろん個々人によって違うものですが、誰しもに当てはまりそうなマクロなものをピックアップして考察してきました。

なお、アイドルグループを卒業する理由で最も想像しやすいのは「年齢とパフォーマンスのギャップ」だと思いますが、この記事では敢えてそれを挙げることはしませんでした。

なぜなら、乃木坂46においては「年齢とパフォーマンスのギャップ」が卒業の理由にはなりにくいと考えたからです。

なるほど、女の子がより可愛らしく見えるアイドルらしいダンスや歌を披露することは、年齢を重ねるごとに続けるのが難しくなっていくのは理解出来ます。歳を取れば人生について考える機会も多くなりますし、大人の女性が女の子らしいパフォーマンスを行うことは年齢に比例して痛くなってきてしまうのが現実でしょう。

しかし、乃木坂46にはそんな現実をいとも簡単に凌駕してしまうほどの強い所属感があります。どのメンバーも、もはや同性愛者なのではないかと疑ってしまうほどに仲が良く、乃木坂46を愛していて、年齢に関係なくこのグループにいたいと思っているはずです。

いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46」の作中で、生田絵梨花さんは「乃木坂にいたいという意識は年々高まっていっている」と述べており、乃木坂46の強い所属感を象徴した言葉だと思います。

強い所属感に加えて、以前の記事で考察したように、乃木坂46にはアイドルらしくない、リスナーが焦点になっている良曲がたくさんあります。つまりアイドルらしいダンスや歌が求められない場面も多々あるのです。それであれば尚更「年齢とパフォーマンスのギャップ」は乃木坂46を卒業する理由はなりにくいでしょう。この記事を書き始めた当初からこのことは考えていました。

残念ながらこれはあくまで個人的な考察であり、本当のところは実際のパフォーマーである彼女達に聞いてみないことには分かりません。「何歳まで乃木坂46でいられるだろう」と考えているメンバーは実際にいるでしょう。松村沙友理さんは「女の子のアイドルグループでは、卒業はグループに入った時から意識することだと思う」と述べています。当事者である彼女が言うのですから、これは間違いないのでしょう。

であれば、強弱はあれど、全メンバーが常に心のどこかで卒業を考えているといっても過言ではありません。残念ながら、乃木坂46に永遠にいることはできないのです。僕は乃木坂46そのものが好きであり、そのようなファンとしては各メンバーに対していつまでも乃木坂46にいてほしい、たとえ卒業しても帰ってきてほしいと思っています。

卒業は永遠の別れではありません。実際に「乃木坂工事中」では、乃木坂46のメンバーから卒業生との交流が話題に上がります。この様子から推測すれば、卒業と同時に芸能界も引退してしまった伝説的なメンバーとの交流も続いていることでしょう。今は一般人となっている方なので敢えて名前は出しません。

乃木坂46を愛している卒業生は、いつでも乃木坂46に帰ってくればいい。
今の乃木坂46を形作るメンバーは、いつまでも乃木坂46にいればいい。
何より、両者には幸せになってほしい。

乃木坂46というグループそのものを好きな僕の本音です。

以上、「なぜ乃木坂46を卒業するのか?」でした!!

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