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○年ぶりに共通テスト国語を解いた感想

先日、2023年度の共通テスト国語の問題と解いてみました。
学習指導要領も変わって、カリキュラムも変わって…

私が教員をしていたころと比べて、少しずつ変わってきている教育業界。
今の子どもたちが受けているテストって、どんな感じなんだろう?

気になって、解いてみました。
(ちなみに解説とかではなく単に感想を述べていってます)

全体の印象

大問が4つで、80分。
まず、時間が足りなかったです。

時間通り測ってやってみたのですが、ギリギリ。

時間のシビアさは変わらないなぁ。

1.近代以降の文章

柏木博『視覚の生命力――イメージの復権』
呉谷充利『ル・コルビュジエと近代絵画――二〇世紀モダニズムの道程』

第1問は現代文の分野。
ル・コルビュジエの建築物、窓について書かれている文章です。

今回なんで共通テストやってみようと思い立ったのかというと、
単純に解いてみたいというのともう1つ。

ル・コルビュジエが出ているから。

好きなんですよね。

一時期世界遺産にハマって、勉強していたことがあって。
(世界遺産検定3級持ってます)

2016年に世界文化遺産に登録されたのが、ル・コルビュジエの建築作品たち。

フランスを中心に、全17作品。
ちなみにそのうちの1つは東京の国立西洋美術館
東京初の世界遺産です。

とにかく美しい。

ル・コルビュジエ建築の特徴はいろいろあるのですが、個人的に好きなのが「窓」です。

彼がデザインしていたのは、日本でよく見る縦長ではなく、横長水平の窓。
デザイン自体もすてきですし、この窓から見る景色や眺めもいいんですよね。

特に好きなのは「レマン湖畔の小さな家」。
スイスのレマン湖畔のすぐそばにあって、窓から見える湖やアルプス山脈がとても美しいです。

生きているうちに一度訪れて見てみたい…そんな世界遺産です。

…語りすぎましたね。

共通テストの話に戻りましょう。

第1問では、文章が2つ出題されています。

1つ目の文章は、正岡子規の書斎の窓の話に始まり、ル・コルビュジエの窓の話へ。
2つ目の文章は、ル・コルビュジエの窓ど真ん中の話。

基礎の漢字問題を始め、「どういうことか」「説明せよ」「理由を選べ」など、従来通りというか、らしいな、っていうの問いが続いたのが前半でした。

基礎知識と読解力、それから論理力が求められるのは今も一緒なんですね。

ここまでの印象ですが、
文章自体は読めるけど、選択肢がまぎらわしい

選択肢は4択または5択。
選択肢の中身が似ていて、そこの間違い探しをするのに結構時間を取りました。

読めば読むほど同じこと言っているように感じるんですよね…

ドツボにはまらないように、後半の問題へ。

2つの文章について、共通することや違うことなどを読み取る問題。
これが新時代の国語の問題なんだなぁ、と感じました。

解いていて新しさも感じましたし、解くのは苦痛ではなかったです。

求められる力は基本的には同じ読解力だなと思いました。

生徒に求められる力は同じ。
違うのは、作問する側の労力かも…?

関連する2つの文章を探してこないといけませんからね。

今後も同じような形式での出題が続くなら、学校としても対策しないといけなくて、そうなると普段の授業でも教科書に載っている文章だけでなくて、プラスアルファで特別に文章を用意しないといけなくなるのでは…?

なんてことを考えました。

2.近代以降の文章(小説)

梅崎春生「飢えの季節」

戦後間もないころの小説です。

前半は主人公の心情を問う問題が多くて、オーソドックスな印象を受けました。

小説を読むときはつい主人公に肩入れしたり余計な感情を入れてしまうのですが、テストで出題される小説は、自分の感情を抜きにして、徹底的に心情の根拠を探さないといけません。

ここでつい感情移入してしまうと、まんまと引っかかってしまうんですよね。

油断禁物です。

内容自体は、戦後の飢え、営利目的の会社、貧富の差、など比較的イメージしやすい題材になっていると感じました。

特徴的だったのは、やはり後半の出題。

小説と同時代の広告が資料として示されて、考察する問題。

これも大問1の後半と同じように、求められるのは読解力かなと。
あと、資料の必要な部分と関係ない部分の選別も。

答えを導き出すのに、必要な情報もあれば「これはここに書かなくてもいいのでは?」という情報もありました。

資料から、必要な情報を選び取る力も必要なのかなと思いました。
(場数を踏むといいのかもしれません)

この資料と関連付けた問題も、興味深かったです。

そういう出題方法があるのね!と。

ただ、感想は大問1の時と変わらず。

準備するのが大変そう。(笑)

3.古文

『俊頼髄脳』(本文)と『散木奇歌集』

第3問は、船遊びをしたものの、連歌の続きが思いつかず場が白けてしまった、というう内容の『俊頼髄脳』と、俊頼とその子ども俊重の連歌と詞書について書かれた『散木奇歌集』でした。

前半は文法とか語彙とか、一般的な感じ

やはり特徴は後半の『散木奇歌集』ですかね。

そこの読み取りから、『俊頼髄脳』との関連を考察させる問題

歌に関するこの大問3。

連歌って、授業ではなかなか扱わない印象です。

連歌というか、和歌系は、古文の学習でもあまり本腰を入れていないイメージがあります。

授業をしていても「源氏物語」などストーリー性があるものと比べて生徒たちの反応は良くないですし(技量の問題でもありますが)、表現技巧や文法の話にとどまってなかなか広げられないというか。

イメージができにくいというか。

でも、偏ることなく多ジャンルに対応していかないといけないんだろうなぁ、と感じました。

4.漢文

白居易『白氏文集』

白居易自作の官吏登用試験の予想問題と、模擬答案の2つの文章です。

文章は2つありますが、2つを比べるとかではなく、1つの文章として解いていけばいい感じです。

意味や訓読、趣旨把握の問題などザ・試験って感じの印象を受けました。

話の流れも、君主が賢者と出会えないのはこういう理由があるからだ、と説いていく内容で、漢文でよくある流れというかパターンというか。

基礎があれば時間もそんなにかからず解けるのではないかなと思いました。
ちょっと箸休め的な感じの印象でした。

おわりに

○年ぶりに共通テストを解いてみた感想を書いてみました。

出題内容が変わる変わると言われながらも、基本的な部分はまだ私が教員をしていたころと変わらない印象を受けました。

ただ、これから少しずつ変わるかも

新傾向の問題たちはおもしろいなと思いましたし、これからもっといろいろな出題方法も出てくるのではないかなと思います。

もしかしたら、現代文と古文が融合するとか、時代に捉われない出題になっていったりね。

これからの共通テストの動向も見守っていきたいと思います。

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