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筑波大学附属小学校公開授業   算数科『授業スタンダードを考える』

『盛山先生の授業からの学び』


①わからない子がわからないといえるクラス
→何がわからないか正対すること
②割合の割合
→二回かけることへの意味理解
③中間地点の模索
→1000円より安いか、高いかによって、お得度が違う
④問いの連続発展
→子どもの思考ベイスの授業コーディネート
⑤図による理解の深まり
→もとにする量が異なるときの数直線の工夫
⑥つなぐ発問
→一人に言わせるのではなく、続き言える人?と交流へ展開
⑦ミスリードによるゆさぶりのうまさ
→同じということは、クレジットの方がいいよね(いやいや先生、クーポンの方がいいこともあるよ)
⑧資質能力を育てる指導
→5%もどる=×0.95と同じ
⑨上位層の活躍機会
→最後まで言いたいことがある子をキープ
⑩笑いのある授業
→先生との横糸の太さ


「倉田先生からの学び」


①子どもに決めさせる問題づくり
→⬜︎による条件不足設定
②そもそもこの問題でいいの?
→場面設定に合うかの検討
③わからない子のペースに合わせた授業
→わかった子は手を挙げよう
④図と式の関連
→図で言うと、全体と部分はこんな関係だね

「算数シンポジウムからの学び」


①資質能力を育てる
→スタンダードからの脱却

②スタンダードと学力向上の相関はない
→スタンダードの目的は初任者でもわかること

③資質能力を育てるには子どもの思考ベイス
→思考のめあては変容する

④型にはまった授業になるはずがない
→型ではなく子どもの姿をみて柔軟に
(文科省の笠井調査官の言葉です)

2日目お疲れ様でした。


感想


盛山先生の授業、割合×割合の場面に関する学びを狙った授業でした。
50円引のクーポンと5%還元のどちらが安いか?という生活場面に根差した問題提示。
子どもたちは、10%の消費税も踏まえて考えます。
1000円の商品の場合、1000×1.1×0.95のように立式して考えます。
×0.95の意味を図で確認させることをしながら、式の意味を図と言葉で対話できるようにさせました。
また、どちらも同じだったらクーポンよりクレジットの方がいいんだね!とゆさぶり、元の値段によって、そのお得さは変わることを見つけさせます。1000円は中間地点だよ!という子どもの意見を広めながら、常に子どもの問題意識が変容し続けていた45分間でした。
なりよりも残り10分で、先生、なんで0.95かわからない、と言えたあの子に、どこがどうわからないか?を共通理解させながら、その子がわかるように目的意識をもって話し合いをする。
まさに、子どもの思考ベイスの授業とはこのことか!と感動させられました。
図も式も言葉も、全て必要な時に適切に扱う。
賢い子ではなく、わからない子に合わせる。
子どもの目線で問いを連続させる。
これからの資質能力の育成に向けた授業のお手本のような素晴らしい授業でした。

倉田先生の授業、残念ながら、子どももみている私たちもすごく期待外れだったように思います。全国学力テスト1位の秋田県の中でも、1番賢いと言われる東成瀬村、そこの小学校の先生の授業が見れる!と思いかなり期待していました。
しかしながら、実際の授業は、むしろダメな授業について考えてしまうような展開の数々でした。
何が課題だったか?私は問題場面だと思います。
⬜︎円の本を買いました。
⬜︎円払いました。
おつりは⬜︎円でした。
こんな問題です。
⬜︎にあてはめた数字が、絶対に有り得ない金額設定なんです。
生活場面にありえない数字のまま進めてしまったこと、このことによって、子どもは全く何をしたいのかわからなくなっていました。
板書にはるものや、くじびきや、金やら銀やら銅の封筒など、用意されていました。
しかし、たくさん準備したらいいということではなくて、子どもにとって思考するきっかけにならなくてはなりません。
くじも完全にランダム、選ばせてるつもりかもしれませんが、それなら教師が出していることに変わりありません。
子どもは、一生懸命に頑張っていました。そりゃそうです。森本先生が3年間手塩にかけて育ててきた可愛い子どもたちなのを知っています。
知っているだけに、私は子どもの言葉を大切にして欲しかった。子どもの言葉をつなげてほしかった。式を書いたあの子にもう一度活躍させてあげたかった。そんな悲しい思いにもなりました。反面教師ではないですが、ああならないように明日からも子どもの姿や言葉を見とれる先生でありたいと思いました。

シンポジウムは、とてもおもしろかったです。
澤田先生、笠井調査官、山本先生のそれぞれの立場から『スタンダード】についての議論でした。

筑波の先生方は、めあてをほとんどの場合板書しません。
それは子どもの思考のめあては変容するものであるからです。
最初に書いためあての多くは、最後にはもう違うめあてにかわっているのです。
そんな筑波の先生方が改めてスタンダードについて話あう、しかも、笠井調査官とです。
これは楽しみで仕方ありませんでした。
昨日までの私は
スタンダード推奨の笠井先生と、スタンダード非推奨の筑波算数部という構図がみえていたからです。

私が何よりも嬉しかったこと。
それは、笠井調査官から
『型にはまった授業になるはずがない』という言葉をきけたことです。
私は、笠井調査官はこれまでスタンダードを絶対的に勧めているように勘違いしていたようです。
笠井調査官は、あくまでも若い先生が型なしには授業できないでしょうから、その先生たちに向けて必要だと思っているとのことでした。
資質能力を育てるこれからの算数・数学教育においては、むしろそのスタンダードを脱却して子どもの思考ベイスの授業をしていくこと、柔軟に授業の流れをコーディネートしていくことを強調されておられました。

筑波の算数も、笠井調査官も実は同じように考えておられたことに気がつきました。

これで明日から堂々とめあてはかかない!(書く場合もありますが)

研究授業でも、スタンダードを無視してやってやろう!そんな勇気が出ました。

管理職にいわれても、指導主事にいわれても、私はもう型にはまった授業はしません。
型にはまった授業でしか、評価できないようなことを言われた時には、それでは資質能力は育たないんだということを強く訴えていこうと思います。

澤田先生がある意味中立の立場で、双方の主張は違う側面から同じことを言っていることを上手に分析しながら、説明してくださったのもとてもありがたかったです。

たくさん学びのある2日間でした。


また、先生方の感想やご意見お聞かせください。

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