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第7回救国シンクタンク自治体経営研究会セミナー『マニフェストの作り方』




 第7回救国シンクタンクセミナー「自治体経営研究会「マニフェストの作り方」が、8月25日東京新橋で行われました。
 申込者が多く、会場を変更したそうです。確かにその会場も満員でした。
セミナーに参加された地方議員さんの活動成果報告が毎回されるのですが、当日は4名いらっしゃいました。皆さん継続して頑張ってくださってるので応援したくなりますね。この内容は、後日ネット番組で配信されると思います。

 本日の配布物は、本日のレジメ、マニフェストの資料、次回のセミナーの告知、そしてワークショップ用の用紙で全29枚。
 この資料の中で重要なのは、「本日の目標」と書かれたワークショップの内容が書いてある紙と、「自分は何者か?」を書く紙の2枚だけです。あとはおまけみたいなものです。


 まともな選挙には公約が必要だよねという事で、講師の渡瀬裕哉氏が「思い出のマニフェスト」についてお話ししてくださいました。
 そのまんま東氏(東国原英夫氏)の宮崎県知事選挙に出る経緯を調べてみると、2006年10月以降、福島、和歌山、宮崎と続いた官製談合事件で、3県の知事が逮捕される異常事態が発生しました。宮崎県では、2006年12月に安藤忠恕前知事が逮捕されました。そこで、宮崎県出身のタレントそのまんま東氏が流行語大賞にもなりましたが「どげんかせんといかん」と出馬しました。その時学んでいた早稲田大学政経学部を中退されてから出馬されたようです。

 渡瀬先生は早稲田大学大学院で、政策スタッフを作る公共政策を学んでいましたが、留年してダブっていて、その時そのまんま東さんとご縁が出来て、教授から選挙とマニフェストのお手伝いしなさいと言われたそうです。その当時は「選挙公約」であって「マニフェスト」という言葉も知られていませんでした。渡瀬先生たちが作られた「そのまんまマニフェスト」が大変評判がよく、それ以降組長さんはマニフェストを出すのが慣習化されたそうです。
 因みに、新聞社にすっぱ抜かれ大学にそういうやつがいるらしいと学校に問い合わせがたくさん来たらしいです。論文を書いて出したときに、問い合わせがたくさん来てたので教授から「君、本当にこれ書いたの?」と聞かれ、そうだと言ったら「論文はもういいからもう来なくていいから」って言われ(笑笑)卒業が出来たので「思い出のマニフェスト」なのだそうです。


1・マニフェスト3つの機能

 対抗馬の世襲候補者は「毎年7%成長させます」といった現在のカンボジア並みの経済発展を公約にするような、でたらめなものを書く人もいました。愛知県知事選挙で犬山市の元官僚の方がマニフェストの全部の政策に、財源と期日を明記したという馬鹿正直な人がいたそうです。
 そこで、どうやったら現実的な公約で意味のある選挙が出来るようになるか、どうやったらまともなマニフェストになるかを考えたら、マニフェストには3つの機能があるという事が分かったそうです。

役人向け広告機能(財源・期限の明記)
役人は財源と期限を決めるのが仕事なので、元役人は政治家に財源と期限を書くよう宣伝したそうです。だから、重要な実現可能性ある政策に、財源と期限を書いて役所むけにアナンスするために公約にする。

有権者向けメッセージ
まちの現状や問題点を有権者から聞かれても、何故その政策が出来るのかを説明できるようにする。
政策を突き詰めて全部覚えるのではなく、有権者に対する基本メッセージが出来ていればどのような質問があっても同じように自分ならこうだから出来ると話せる。これは訓練すると出来る。

政治家・団体向け(利害関係者・労働組合とか)
自分の支援者と意見調整する。例えば、有力者の秘書さんからぜひ○○まで道路を引いてくれませんかと言われたら、高機能道路を公約に入れ高速道路や高規格道路を公約にして、これですからとご説明し利害の調整をします。
自民党の公約はインディクスに細かく書いてあって、利害関係者の願望が入れてあります。


つまり、普通はこのようなことが書いてあって、書いてないと利害調整が出来なくて選挙に弱い人という事になります。


2・本日の目標(静岡市のマーケティング)


静岡市は日本のど真ん中なので、選んだそうです。
シートに書いていくのですが、ふつうは二三日かけて作ります。
この空欄を埋めるとマニフェストが完成します。

配布資料



①自己分析:自分自身の経歴を整理してみる

自己分析が一番重要ですから、過去を振り返って自分を整理することが大事です。つまり、静岡市の資料がここにありますが、資料を読み込んだからマニフェストが出来る訳ではありません。静岡市にあなたが選挙に出ようが出まいが静岡市は変わらない。つまり政治家が一番重要なのはその人自身なのです。だから人生を振り返ってもらい、その選挙に何故出るのかという根拠が大事なんです。自分自身を客観的にみましょう。

【年齢】
20代:フレッシュ
30代:子育て世代、何児の父です。
50代:介護10年やってきました。一人暮らしで犬と生きてきました。

【学歴】
小泉進次郎の決定的な強みは、関東学院大学出身。だから普通の人の気持ちが分かる。一方、海外の有名大学出身の学歴の人は強みにも弱みにもなるが、最終的に強みにすればいいだけである。
地元出身もよい。特に地元中学校の出身は後援会が出来たりしますね。
例えば菅総理のいちご農家出身(実際は金持ち)で、東京に出てきて夜間大学に通いましたとかで、苦労人というストーリーが出来ました。

【職歴】
グローバル企業出身です、起業しました。
バイト10年やってましたとか、夜の仕事してましたとか、専業主婦で子育てして保育園こうやって入れましたとかの経験は、若い人たちのご苦労が分かるという事でもあります。

【出身】
地元出身が一番良い。
中学校の学区であれば後援会が組織されたりします。
菅総理はいちご農家の出身で~、と苦労人を演出した。
地域活動歴は重要で、神輿担ぎ30年してきましたとか、NPO出身で困難女性の支援してきましたーとかでも、なんでもOKなんです。
ですから、すべて見せ方が大事ということです。


これらを書き出してみると、自分が何者かが分かる。
マニフェストは自分と向き合う作業だから、自分がわかったらそれを有権者に伝える作業です。
俺ってなにもの?
何故自分なの?
なんでその政策があなたが出来るの?
と問われたときに、自分の経験を話せばそれが根拠になり有権者には説得力があります。良い面だけを有権者に伝え、自分がなぜそれが出来るのか売り込むのが最大のポイントです。

②現状確認
資料:静岡市の地図 
   静岡市のあらまし(静岡市企画課)
   静岡市の現状(基本計画)
   決算カード 
   産業別就業人口 
   令和6年度自由民主党静岡市議会議員団会派要望一覧

その自治体の問題点を、データーから見て探る。人口・少子高齢化・産業の衰退・日本中何処でもこのような問題があります。
20代の若い女性がいないと人口は増えません。若い人の所得を増やすために、高齢者支援から若い人への支援に切り替えていくという政策にするのには、それにふさわしい公的な資料を見つけて政策に名前を付けます。
『陸の孤島だ!』

③課題確認
前向きに、人に賛成させるように書くようにします。
社長の方針に反対ですと言えば、それは少数派で敵を作ります。また、反対者は何故反対なのか理由を述べなければなりません。日本には反対する時は理由を述べなければならない文化があるからです。(だから反対する人を周りはめんどくせーって思うわけです。)
主導権をにぎるのがまず重要!
例えば長野県知事選挙に出馬した田中康夫氏は『脱ダム宣言』をキャッチにしました。
滋賀県知事選挙の嘉田氏は『新幹線建設凍結に賛成です』と、前向きな課題設定にして有利な状況を作り出しています。

④解決方法
有権者は関心のあるところしか覚えませんから、何度も強調して3回は言ってください。メディアは数字が書いてあるところを取り上げますから、公約の本当に重要なめだま政策だけに数字や期限を入れて、目立つ所に1つから多くて3つ入れます。「4年間で○○% ➡ 〇〇%」のように。

⑤政治家・各種団体と調整
自分や会派の要望書をまとめておく
予算の要望
自民党のインデックスのように。

⑥シートを完成させる

とにかく、どんな話も肯定して、自分のストーリーに持っていくこと。


セミナーに参加されていた長岡市議会の衣川広志議員のマニフェストが渡瀬先生の公認で発表されました。
4児の父 非正規雇用で複数の転職 神輿を担ぐ
「頑張れ!地元子育て世代○○」
〇のところ聞こえませんでした(´;ω;`)ウゥゥ


私のマニフェスト!(^^)!
1・現状(失われた30年、働きながら子育てしました。)
不動産業を経験しました
子ども三人育てました
防災に興味があります

2・課題(安心安全のために自主防災組織をつくろう!)
人口減少と高齢化
子どもを産み育てたい環境が整っていると思う市民の割合 R4年28.9%
静岡市が災害に強く安全安心に暮らせる町だと思う市民の割合 R453.2%

3・方法(安心を安全で確かなものへ!都市部へ大移動!)
富裕層の高齢者専用住宅産業の誘致
オンライン行政推進と郵便局との提携
防災組織作り(防災士による講習会 自衛隊離職者の途用)

4・自分差別化(しあわせは、富士山と温泉と食べること)
防災組織と高齢者住宅優遇で安心安全なまちづくり
行政DX/IOTでコスト削減、行政サービス向上!
安心は安全で美味しいまちづくりから

3・マニフェストの鉄則
(「そのまんまマニフェスト」から)

宮崎県の前の知事は、談合が発生し県政が腐っている。
外に打ち出していくものもなかなかない、観光で打ち出していく
 →資料を探す

新幹線が止まらない、隔絶した空間。
陸の孤島だから、外に打ち出して立て直す
 →テレビに出てPR、積極的に外に売り出す

それは誰?→ 東国丸だよね。

地元出身だけど、一度外に出て戻ってきたから外の目線がある。
ある程度の人が問題意識を持っていて、メディアが争点と設定しているものでストーリー作りに持っていくようにする。

自分とは何かを理解し、現状はこうですよね、課題はこうですね、課題解決するにはこうすればよいですね、それを出来るのは俺ですよねというストーリーを作る。これがマニフェストの鉄則です。


冒頭セミナーで渡瀬先生が話されていたすっぱぬかれた新聞の記事はこちらかも知れません。

ネット上には、「そのまんまマニフェスト」の分析論文がありました。
国立情報学研究所(NII)有馬晋作 著
宮崎におけるマニフェスト型行政の展開―東国原県政の半年間
論文には、行財政改革などの政策が評価されているのは流石ですよね。


そして、論文を書かれた有馬晋作氏の本がありました。
「 さらには、知事のマニフェスト「そのまんまマニフェスト」や、
 それをもとに作られた宮崎県の総合計画「新みやざき創造計画」に対する
 マニフェスト評価、行政評価についても、例を示しながら丁寧に書かれています。」とあるので、選挙に出る方はぜひ読んでみてはいかがでしょう。


宮崎県の資料から見つかったのですが、「そのまんまマニフェスト」を総合計画にいれて策定したもの(広報みやざき)のようです。



4・セミナー後の成果報告
 (議員による事務事業評価)


セミナーの成果報告後、議員の事務事業評価をするに至った経緯を、渡瀬先生が菊川市議会渥美よしき議員にインタビューしてる動画が上がりました。
セミナーを受講し、その内容を議会で質問し、他の議員に働きかけ実現に至ったようです。渥美議員のお人柄もあると思いますが、頑張って行動しなければ実現はしません。減税を実現するための行動をする素晴らしい議員さんです。(渥美よしき議員Xアカウント @atsumi_yoshiki)


2023年6月議会一般質問(政策評価と事務事業評価)



渥美議員への政策提言
菊川市の事務事業評価条例をおつくり頂きたいです。
菊川市行政評価アドバイザー要領とは、どのようなものでしょうか?

外部評価はとても大事だと思います。
ですので、条例がないと議員が大変だからやめようとか、行政も公表する義務はないとか、市長によっては事務事業評価はやらないとか、施策評価にまとめるとかにもなってしまうかも知れません。
もし行政が負担が大きいとか無駄な事業が多くみられるようであれば、事務事業評価ではなくとも行政の内部評価の部分が無い「事務事業マネージメントシート」でも良いと思いました。
栃木県では佐野市が作っているのですが、優秀な事務事業マネージメントシートがどういうものか知りませんので、今後いろいろ調べてみたいとは思っています。

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