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個性を生かす方法を考える。

ちょっと立ち止まって、自分を見つめ直してみる。そして、個性や価値観を大事にして、自分を生かす方法を考える。一歩引いて、自分がつくった枠を越えて考える。そうすれば、進むべき道、やるべきことが見えてくる。つまり、源泉は自分のなかにあるのだ。

そう思わせてくれた日本酒が、栃木県の株式会社せんきんが造っている「水とエチカ」だ。

まず、気になるのは印象的なネーミング。裏書きには以下のように書かれている。

「エチカ」とは17世紀の哲学者、スピノザの書物。自然のなかに神を見出すその思想と生命の水が出会いました。伝統的製法「生酛」造りをモダナイズし、「山田錦」「亀の尾」「雄町」3種類の原酒をアッサンブラージュしました。古くて新しいものづくりは、現代の生活にフィットした新時代の日本酒です。

せんきんでは、「この土地の個性こそが『仙禽』の個性である」という考え方にもとづき、自然、土地の恵みを生かした酒造りを行っている。その思想とスピノザの「エチカ」がリンクしているということか。

生酛(きもと)とは、乳酸菌が生成する乳酸によって雑菌の汚染を防ぐ醸造方法。一般的な日本酒造りでは乳酸を添加して醸造するが、生酛造りでは蔵に棲む乳酸菌の力を借りて醸造することで、その土地ならではの個性的な味わいが生まれる。

アッサンブラージュとは、ワイン用語で「ブレンド」のこと。味わい調整のため行われる。この日本酒は、仕込み水と同じ水で育てた「山田錦」「亀ノ尾」「雄町」を原料に使用。それぞれに醸した原酒を山田錦4割、亀ノ尾3割、雄町3割の割合でブレンドして造られている。だから、立体的で独特の味わいだったのかと納得。

「自然に敬意をはらい、その土地の個性を大切にしながら、新しいことに挑戦する」という思いが、「水とエチカ」というネーミングに込められていると感じた。

【テイスティングコメント】
バナナやメロンのような華やかでふくよかな香り。飲み口はライト。やさしく、まろやかな甘さ。じわっと立ち上がるエッジのきいた酸。奥行きのある味わいだが、アルコール度数14度とやや低めなので、後口はスッキリしている。立体的で、これまでに経験したことがない味わい。とてもおいしい。ぜひ、お燗も試してみたい。




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