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外国の日本人コミュニティで「何しに来たの?」と質問する珍獣ハンター

食事をするために入ったレストランで、たまたま神学の教授と隣り合わせた。

俳優の段田安則さんにとてもよく似ていた。

ドイツに来てまだ間もないと私が話すと、

段田先生は、
日本人コミュニティに入るべきです。そこから得られる情報は必要不可欠。異国で生活するために、その情報は命綱となります。
それと必ず一回は鬱になります。」

と、話された。

日本を離れる時私は、日本人コミュニティを避けると決めていた。

20歳の時、アメリカに短期留学したことがあった。
私はそこで出会った同じ日本人留学生達と
せっせと日本語をしゃべり、大いに笑い、楽しく過ごしてしまった。
結果、英語は全く上達しなかった。

留学費用を出してくれた両親に、未だに後ろめたい気持ちが残っており、二の轍を踏みたくなかったからだ。

しかーし今や、
サッカーボールさえまともに買えない。
電車で目的地にも行けない。
横山やすしなのか、由紀さおりなのか、はたまたウルフルズなのかのキャラクターさえ決まらない。

段田先生のおっしゃる通り!!

感傷や反省はバッサリ捨て、日本人コミュニティに即入会した。

そのコミュニティは日本語補習授業校だ。

ここは、両親共にもしくは片親が日本人といった家庭の海外在住児童が日本語を学ぶために通う学校だ。
ベビーから自主運営している所もあるが、大概は義務教育期間で、規則や授業内容等々はそれぞれの補習校によって少なからず違う。

金曜日の夕方、私と息子は補習校へと出かけた。
補習校はドイツの学校校舎の一部を借りて行われており、最寄りのバス停からその学校へ向かっていると、

いた!
いた!!
日本人がたくさんいた Σ(゚ω゚ノ)ノ

息子は5年生のクラスへ。

息子を預けた私は保護者待合室へ行った。
補習授業は三時間ほどあり、その間待つ保護者のために部屋が用意されていた。

公園デビューならぬ、補習校デビューに緊張した。

部屋の扉を開けると、
いました、いましたお母さんたちが。
片親の九割は父親ではなく母親が日本人だった。

視線を感じながら、空いている席にそーと座ろうとすると、
「もしかして今日から入った人?」
と早速声がかかった。

「聞いてたのよ。今日から五年生に男の子が入るって!!うちの子も五年生で男なのよー。」

家庭的規模のこの補習校で、新参者は目につくらしく、あっという間にお母さん達に囲まれた。

「で、ご主人はなんの仕事しているの?」と質問された。

え!夫の仕事?

接点が子供であるお母さんの集まりで開口一番、夫の職業を質問されたこともしたこともなかったので驚いた。

「お子さんはひとり?」と、別のお母さん。
そうそう。主軸となる話題はこっち。

「15歳の娘と11歳の息子が。」と答えると、

「え!15歳と11歳?」と、驚かれた。
「え!どうしてるの?」と、聞かれた。

「現地校に通ってます。」と答えると、

「珍しいパターンね。」
「大変ねー。」
「どうするつもり?」
「いったい何しに来たの?」

と矢継ぎ早だ。

整理するとこうだ。

両親共日本人は、
夫の海外赴任に伴い妻子 (子供は幼少限定 )と共に渡独。任期数年の駐在家庭。
もしくは駐在後、ドイツ長期滞在を選択。

片親が日本人は、
主に勉学などの理由から若い時に単身で来独し、外国人と結婚。その後ドイツ在住。

私はかなり希少価値の高い珍獣ってことかぁ。

しかしハンターの皆さんもイモトなみに、なかなかの個性派ぞろいヾ(。・∀・)oヤデ。

かくして命綱をがっしりとつなげた。

( サッカーボールの話はこちらから )
( 横山やすしの話はこちらから )
( 電車で目的地、由紀さおりとウルフルズの話はこちらから )

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