アスペルガー 発達障害の話 1

(読了目安7分)


みなさんは、「発達障害」という言葉を知っていますか?
細かい定義は別として、「アスペルガー症候群」や「ADHD」、それから、「高機能自閉症」「学習障害(LD)」などの言葉は、発達障害のひとつとされています。


学校や職場で
「KY(場の空気が読めない人)」
「フシギちゃん」
「感情の起伏が激しい人」
「注意力がない人」
「なにを考えているのか、わからない人」
などと呼ばれている人は、上記のどれかに当てはまる可能性が大きいそうです。


「発達障害」と呼ばれるこれらの状態は、日本では今世紀に入ってから一般市民レベルで認識され始めたものです。


たとえば映画界で有名な「スティーブン・スピルバーグ」は、自分が「学習障害」であることを告白したみたいですね。
電気自動車で有名な「テスラモータース」のトップ「イーロン・マスク」も、自分がアスペルガーだと発表しました。


以前ヤフージャパンのトピックスに「発達障害に苦しむ大人増える」というタイトルを見つけ、「メジャーになってきたんだなあ」と感じました。



発達障害について現時点での本質を認識することは、今後みなさんが「大人の思考」になり、長く愛されるためにとても大切なことなので、今回は「アスペルガー」というタイトルで、主に「アスペルガー症候群」について書いてみます。


アスペルガーが良いとか悪いとか、そういう議論ではなく、知るための「基本的」な話です。


◎アスペルガー症候群とは

数字に幅はありますが、「アスペルガー症候群」の人は、100人に1人程度存在すると言われ、言葉の遅れはないものの、「空気が読めない・こだわりが強い・気性が激しい・周りが見えていない・一芸に秀でている・記憶力がよい」など、様々な特徴があります。


その多くの人が、人付き合いに悩み、同時に周囲も困っている、というのが現状だということです。


全体的にマイナスイメージの症状ですが、マスターは「一芸に秀でる・記憶力がいい」という特徴に興味を持っています。


上で紹介した「イーロン・マスク」も、一芸に秀でた才能の持ち主ですね。
「アスペルガー症候群」で検索するといろいろ出ますので、調べてみてください。




◎治療法は

先天的な「精神障害・脳機能の不具合」などと考えられ、決定的な治療法は見つかっていないとのことです。
早期発見により、リハビリを繰り返すことで症状を緩和していくことはできるようです。
「周囲の理解と本人の努力」と書いてしまえば簡単ですが、現状は簡単ではないようです。


◎社会的認知度は?

21世紀初頭、行政が「発達障害」として周知しはじめたようですが、まだまだ社会に浸透していないようです。
マスターもアスペルガーについて勉強したのは10年ほど前のことです。
専門医も少なく、日本では初診に数ヶ月待ちというのが現状だそうです。
また、データが少ないことや、人によっては年齢とともに症状が緩和することもあるため、「診断」することをためらうドクターもいるようです。



◎二次症状

他人との調和が苦手なため、孤立しやすく、それが原因で、二次的な症状である「うつ病・ひきこもり」などになりやすいということです。



◎あなたの周りにも?

学校の規模によりますが、学校に1人以上はアスペルガー症候群の人がいることになります。
実際、周りとはちょっと違った「不思議な子」がクラスにいた記憶はありませんか?
彼らの多くは、当時理解されていなかったかもしれません。
マスターも、今になって考えたら、「彼はアスペルガーだったかな」と思う友人がいました。


◎なにが問題か

まず、本人が苦しんでいることが問題です。
マスターはこれまでに10名以上の発達障害と疑われる(診断が出ている)人たちと接してきましたが、ほとんどが対人関係に悩みを持ち、孤立しています。
対人関係の不和が原因で、むしろうつ症状の方が大きく出てしまっている人もいました。

そして、さらに深刻さを増すのが、他人も迷惑しているということです。


感情の起伏が激しかったり、周囲に気を使うことができなかったり、単純なミスを重ねたりするため、周囲をイライラさせてしまうことが多いようです。


アスペルガーの人がいるだけで、周囲は「あの人おかしい・なにやってんの?」となり、しかもそれを面と向かって指摘することもできず、ストレスを溜めてしまいます。


また、本人が、自分を「アスペルガー」だとわかっていないことも多々あり、「なぜ私だけ・・・」と悩み続けます。


外見的に健康体に見えるためか、「障害者」として周囲の理解を得ることができず、「本人は悩み、周囲はイライラ・困惑する」・・・これがアスペルガーの主な問題点と言われています。




◎問題を解決するには


まず健常者がアスペルガーを理解することが大切です。
以前は、「親のしつけが悪かった・食べ物が悪かった・ただの我がまま・甘え」などと言われてきましたが、アスペルガーについて勉強すれば、そのような考え方がなくなります。


結果的に、アスペルガーの人を見ても、イライラしなくなるばかりか、協力しようという気持ちになり、関係が良好な方向へ向かいます。
アスペルガーを理解することは、重い荷物を持っている高齢者に手を貸す感覚と似ています。
まさか重い荷物を持って苦労している高齢者を見て、「筋トレして出直せ・力がないおまえが悪い・邪魔だ・もっと機敏に動け」などと言う人はいませんよね。


それと同じで、とにかく、アスペルガーを理解することが必要です。


また、アスペルガー症候群の本人は、それを告白することが大切です。

ただし、周囲が大人の思考でないと、告白をきっかけにして、さらに孤立する可能性もあります。
自分の周囲が大人の思考かどうか見極めるのは難しいかもしれませんが、それでも、現状のままお互いがストレスを抱えるより、告白してしまうことで状況を変えることが望ましいと言えます。


勇気を出して告白することで「なんだ、それなら私たちがフォローするからね」と、わだかまりがなくなる可能性も充分に出てきます。
始めに書いた「スティーブン・スピルバーグ」の話ですが、彼が学習障害を告白した背景には、「自分と周囲を楽にする」という狙いがあったはずです。
おそらく彼は、際立った才能と引き換えに、通常の生活に支障をきたしていたはずですから、映画以外の場面ではただの不思議ちゃんだったかもしれません。
周囲の人に迷惑をかけ、自分も他人もイライラする状況は昔からあったと想像できますが、現在、学習障害という言葉も認知され始め、自分の社会的立場も確立できたため、発表してもよいと考えたのかもしれません。
(情報が漏れただけか、他の意図だったかもしれませんが・・・)




◎提案

アスペルガーと言っても、症状は様々のようです。
もし学校や職場で「あいつはヘンだよ」と思う人がいるなら、「アスペルガー」を代表とする「発達障害」の可能性もふまえてその人を観察してみてください。
アスペルガーについて勉強し、理解が深まれば、ある程度判断できるようになります。


そして、その人を理解した上で接することで、まずは自分がストレスを溜めなくてすむようになります。
その結果、相手に接する態度に余裕が出てきます。


一方、自分が孤立して悩んでいる人は、発達障害についてよく勉強し、自己診断などのチェックをしたり、専門医の診察を受けてみることをおすすめします。
悩みから開放される糸口を見つけるだけで、精神的に楽になると思います。


みなさんにとって大切なことは、「ヘンな人」を頭から否定しないことや、「発達障害」という視点から人を再認識することなどです。
その結果、自分のストレスが減り、大人の思考に近づきます。


次回、
「発達障害は、しつけや食べ物のせいではない」
「人類の文明をリードするのは発達障害の人々かもしれない」
「あなたの認識がお互いを幸せにする」

などの話です。
アスペルガーをはじめとする「発達障害」という言葉は、人類が今後さらに適切な言葉を見つけるまでは、しばらく使われるかもしれません。


理解を深めておきましょう。

・・・

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