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【Part.2】 不登校・ひきこもりのための親子オンラインカウンセリング (沖縄県 臨床心理士 カウンセリング相談)

前回にひきつづき、私なりの不登校・ひきこもりのアプローチについて書いてみます。

私の支援の経歴などについて、前回記事はこちら



1,トラウマ的な反応からは漏れる群

前回は1,精神的な不調について、トラウマ反応の視点から光を当てて考えました。

その中で、私はこう書きました。

前回のテーマはトラウマだった。

この「うちの子は少し違うかも…」の場合について、今回は検討したいと思います。

不登校・ひきこもりについてもう一つ有力な可能性として、
発達関連の不調という観点があります。

Part.2ではこちらから光を当ててみます。


親御さんのよくあるご心情

「2,発達関連の不調」の場合、親御さんが感じられているお気持ちとして、こんなようなものがあるかもしれません。

「どちらかというと、本人は家にいてもあまりつらそうに見えないのですが…これでいいのでしょうか」

「家でゲームかスマホばかり見て、楽しそうに過ごしています」

「なんでも親のいうことを聞くいい子だったのに、どうしてこうなってしまったんでしょう」

「昔からコミュニケーション能力がなかったので、人と話す練習をさせたいです」

など。

前回の図を思い出しつつ、
「何が起きているのか?」について考えていきましょう。

真ん中の「?」に入るものは何だろう?


2、「発達に関連する不調」とはなにか


「発達関連の不調」と私は書きましたが、
本記事では、精神医学的・診断学的な視点からは、今回はあえて距離をとって書きます。

医療に対しての考え方は、ご家族・親御さんによって感じ方がそれぞれだからです。

あくまで「私が実際の相談の中で見た現れ方」から、立ち上げて考えたいと思います。

ちなみに不登校・ひきこもりという現象自体は、厳密には精神障害ではありません
(※背景に精神疾患が併存するケースが多いことは指摘されています)

なので診断的に何が当てはまるかを探すことより、ご家族やご本人と、今の状況にどうアプローチをしていくかを探していくことの方が優先度が高いと考えます。

医療の受診は、あくまでそれらの見通しが立って、
ご家族の中で必要性と理解が得られた場合において、検討していくこととしたいと思います。


ニューロダイバーシティ(神経多様性)

今回、子どもの発達の側面について考えていくに際しては、
「ニューロダイバーシティ(神経多様性)」という視点を借用したいと思います。

これは、「人の神経学的な脳機能には多様性がある」とする考え方のことです。

神経発達にはそれぞれのペース・スピードがあるのであり、人付き合いや勉学・スポーツなどへの情報処理のパフォーマンスには個性がある。

言い換えれば、人には得意・不得意があるので、その点でのうまくいかなさや、つまづきが、本人にとってのダメージや生きづらさとなり、不登校・ひきこもりのきっかけになることはある。

それを見ていこうと思います。


3,発達の関連でよくある9つのパターン


さて、相談の中でトラウマ的な反応に該当せず、かつ発達ペースの関連と思われるケースの現れ方は、私の思い浮かぶ中で9つあります。

ちょっと多いな…、と自分でもツッコミたくなりましたが、

それくらい人間の発達におけるつまづきは、いろんな側面に現れるのだと解釈いただければ幸いです。ここが本記事のメインになります。


(1)マイペースで会話には消極的な子

・元来マイペースなところがあり、自分の気持ちや意見を言わない子
・学校や社会的場面からは距離をとって生活している
・趣味の世界が充実している
・進学直後や、受験などの節目をきっかけに、不登校になることがある
・まじめで我慢強く、自分の気持ちを言わないため親にも理由がわからない
・勉強する理由がわからない、と言うときもある

(2)ゲームに没頭している子

・家にいる間は、主にゲームをして過ごしている
・学校には行けている子もいれば、全く行けていない子もいる
課金のことで金銭的なトラブルになることがある
・生活リズムが乱れやすい
・ゲームをとり上げると癇癪を起こし、ときに親子ゲンカ・暴言・暴力に発展する


(3)進路へのこだわりをもつ子

・自分の望みを叶えるために必要な進路が本人の中では明確に存在している
・高い理想を掲げている
・受験・浪人をくりかえすことがある
・親御さんとしては親切心でルートの変更を促したはずが、
 それが引き金となり、ひきこもりに入る


(4)人付き合いに苦痛を感じている子

・対人関係を築くのが苦手で、周囲に溶け込めない・違和感を感じている
・集団の場面が苦手
・人との会話がついていけないと感じる
・ある特定の興味・関心を共有できる人とは話しやすいことがある


(5)ルール・時間の枠組みにはめこまれることを嫌がる子

・時間割や授業といった、縛りがある枠組みに入れられることを嫌がる
・授業中、じっとそこにいなければいけないと思うことに耐えられない
・移動教室や、皆で一緒にやる動きが苦手


(6)逆に枠組み通りでない状況を嫌がる子

・一定のルーティン・見通しがつく枠組みの中では安心できる
・流動的で、答えが変わる状況が苦手
・変化に弱い
・自分なりの一日のルーティン・こだわりを持っている


(7)目上の存在への憤りをもつ子

・学校の先生からの指示や態度に腹を立てている
・大人や社会の対応の矛盾や、高圧的な態度に反応する
・目上の存在から強く何かを言われたことをきっかけに不登校になる


(8)感覚過敏さがある子

・光、匂い、騒音、などへの敏感さがある
・外の世界では疲弊しやすい
・そんなはずはないとわかっているのに、
 「誰かの声が自分の悪口を言っている」ように聞こえる
・自分以外の人が叱責されていると、まるで自分が怒られているような気持ちになる


(9)優等生タイプの子(NOが言えない)

・クラスの中心にいるタイプの子
・周りから頼られており、クラス長や部活のリーダーをしていることが多い
・担任からも頼られるため、問題行動をする子のお世話係を頼まれたりしている
・頼まれたら断るのが苦手
・ある日急に学校に行かなくなり、親が驚く


他のご意見もぜひ募集

いかがでしょうか。
2~3つに特徴がまたがっているケースもあるかもしれません。

「うちはこれに近い!「うちはこんな感じです」があれば、
ぜひコメント欄にお願いします。

「自分のウチだけじゃなかったんだ」が多くの親御さんのほっとする支えになります☺︎

4、トラウマが併存しているケース

あえて、(1)〜(9)から除外したケースがあります。
それは、上記のいづれかで「トラウマが併存しているケース」です。


記憶が人よりも鮮明に残りやすい

発達ペースが関連しているケースの場合、

些細な出来事であっても本人にとってそれが強烈に作用した場合、人より記憶が鮮明に残りやすい

という特徴があります。

周囲はもう完全に忘れたような出来事でも、ご本人はよく覚えていて、周りがビックリするようなことがよくあります。

逆に言えば些細なことでもトラウマ化しやすい、とも言えます。
他にも、

・泣いているところを無理に学校に引っ張って連れて行かれた

・本人は「〜校時まで」と言われたから学校に行ったのに、『ここまで来れたから最後までいても大丈夫だよね』と最後までいさせられた

などの体験も同様に、トラウマ化しているケースが散見されるため、私はおすすめしていません。

トラウマ化すると、今度はそれはそれで「トラウマ治療」という別な治療が必要になります。


いじめは人生を左右する

その中でも「いじめ」は、深刻な問題で、人の一生を左右するほどの衝撃があります。
周囲の大人がしっかり本人を守り、誠実な対応を示さなければなりません。

ご本人が固く口を閉ざしてきた背景に、いじめの存在が明らかになるケースがあります。

本当のトラウマは、ご本人にとって口に出すことすら憚られます。

平成25年「いじめ防止対策推進法」が施行されました。

いじめに関しては、加害者・被害者を明確に物理的に離し、学ぶ人権と、安心を確保する要請が、法により決められています。

※「個々人の判断」による対応ではなく、私たち大人には、法律に則って動く義務があります。


5、対応策「どうすればいいのか?」

広く一般的に言える対応のポイントとして、

1,ご本人の苦手な部分に周囲が気づき、キャッチすること
 (親子のコミュニケーション)

2,可能な限り、ご本人の安心してやれるペース・条件に合わせて進めていくこと

が大切です。

集団に入ることに困難を感じる子も少なくないため、

・別室登校、
・フリースクール
・適応指導教室
・塾(家庭教師)
・若者サポートステーション

など、ご本人の体調と相談しながら、外出可能な場所を見つけ、学習の機会をいかに担保していくかが重要です。

時代的に「学ぶ場所は学校だけではないのかもしれない」との柔軟な視点がより重要になっていく気がします。

もしご家庭の中で行き詰まっているときは、
「ご本人の生きづらさの部分をどうやって理解し、なんでも話し合える親子の関係を築いていけばいいのか」
を、相談の中で話し合っていくのはいかがでしょうか。


6、よくある対応へのFAQ

よくある対応の疑問については、実は過去にインスタグラムで、特集したことがあります。

不登校の当事者である「きのっちさん(@Kinocchi_kosodate)」とコラボをして解説した記事がありますので、よければご参照ください。

当事者目線からの情報を精力的に発信されています。


スマホやゲームは取り上げていいの?

学校に行きたくないと言われたら!?

カウンセリングには行かせるべき?


7,至急の相談が必要な局面

1,家族への暴言・暴力がある
2,課金を巡る金銭トラブル
3,自傷行為、希死念慮、絶食する、などの命の危険がある

また、4,ひきこもりが長年の長期わたっている場合
も対応が必要です。

成人のひきこもり状態は、何もしないで放っておいても改善は基本的に難しいところがあります。
かといって過度なアプローチをすると余計に関係性が遠のいてしまうリスクもあり、
一度ヒビが入ると、その修復に再び時間がかかります。

また、子どもからの暴力を親が受け続けているケースは、暴力を放置することがかえってその密室的な関係性パターンを強化・維持し続けるため、早急に第三者の目を入れることが大切です。(警察など)

早め早めにコミュニケーションの観点から、
ご家族が専門家へ相談につながることが肝要です。

主な相談機関には、下記があります。
(前回記事と重複しますのでリンクのみにて省略します)


主な相談機関

①子ども若者総合相談センター

②ひきこもり支援センター

③KHJ親の会

上記①〜③でまずはアクセスしてみて、それでも解決しないときは、どうしても私費にはなってしまいますが、私や、その他の心理士の運営するカウンセリングオフィスにご相談ください。

④民間のカウンセリング機関
→うるま心理カウンセリング相談室ココロン(私のオフィス)

⑤所属先学校のスクールカウンセラー


おわりに

前回にひきつづき、最後までお読みくださりありがとうございました。

noteは不特定多数がご覧になる文字媒体で、誤解を避けたいため踏み込んだことを書くかどうか迷ったのですが、一方で、悠長なことを果たして言っている時代だろうか…との思いもあり、私なりの経験を無料にて情報を開示いたしました。

少しでもどなたかのお役に立つ記事になっていれば幸いです。

ぜひ、
・拡散
・投げ銭(前回記事)
・応援コメント
・お知り合いへのシェア

などよろしくお願いします!

ありがとうございました。

※ココロンは不登校・ひきこもりの相談も専門としております。
ご予約状況のお問い合わせは下記まで。

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