ふたご座うまれのひとりっ子 #2【連載小説】
この時期の雨は、何でこんなに中途半端な降り方をするのだろう。
私は中途半端が嫌いだ、ものすごく嫌いだ。
この6月の雨は、まるで自分を見ているようだから、嫌い。
小学生は新しい友達ができると必ず星座を知りたがる。
私が自分を中途半端な人間だと自覚するようになったのは、小学2年の頃。
井元ひかる、「イモトヒカル」だから出席番号はだいたい3番前後。
アライ、イイダの次くらい。
4月の昼休み、前の席だったイイダさんから「イモトさんって何座?」とふいに聞かれた。
子供の会話に脈絡を求めても仕方ない。
「ふたご座だよ」と答えると、「え?じゃあイモトさんって、双子なの?」というので「違うよ、ひとりっ子」とありのままを伝える。
「なーんだ、つまんない。普通だね」イイダさんが放った言葉が胸をえぐった。
生まれてはじめて「えぐる」という感覚を知った瞬間だった。
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