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SDGs学び:最悪の形態の児童労働の撤廃

10月も残り1週間を切りましたが、いかがお過ごしでしょうか。
昨日は山積みの本の中から資料探しに時間がとられてエネルギー消耗しました。本棚製作のために「気に入ったらサポート」よろしくお願い致します。

ILO(国際労働機関)の取組み

「児童労働」についてはSDGsの目標8のターゲット8.7に謳っていますように、
強制労働を根絶し、現代の奴隷制人身売買を終わらせるための迅速で効果的措置の実施、最も劣悪な形態の児童就労の禁止・撲滅を保障する。2025年までに少年兵の徴募や利用を含むあらゆる形態の児童就労を撲滅する。

となっています。

そこでILOは、条約の設定と技術協力プログラムの実施という2本の柱で、児童労働問題に取り組んでいます。

ILO条約については、1919年のILO設立当初から、工業、農業、漁業、鉱山など産業部門別に就業最低年齢を定めた国際基準の設定に取り組んできました。

そして、1973年には、全産業を対象とする就業最低年齢を定めた第138号条約を採択しました。さらに、1999年には、「最悪の形態の児童労働」をなくすための取組みを直ちに始めることを定めた第182号条約を採択しました。

児童労働撤廃国際計画(IPEC)は、1992年に開始されたILOの技術協力プログラムです。「最悪の形態の児童労働」の撤廃に重点を置きながら、最終的にはすべての児童労働をなくすことを目標にしています。

IPECの活動は、政府、労働者団体、使用者団体、NGO、学校、メディアなど、多くの関係者のパートナーシップのもとで実施されています。

このほか、ILOは、2002年以降4年に1回、世界の児童労働の現状を伝える報告書を発行しています。

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児童労働撤廃国際計画(IPEC)

児童労働撤廃国際計画(IPEC)は、危険有害労働をはじめとする最悪の形態の児童労働の撤廃に重点を置きながら、最終的にはすべての児童労働をなくすことを目標とする技術協力プログラムです。

IPECは1992年、ドイツからの拠出により開始された当初は、ブラジル、インド、インドネシア、トルコ、タイの5ヵ国が参加していました。

今日では、世界100ヵ国以上で活動実績をもち、年間予算が4000万米ドルを超えるILO最大のプログラムとなっています。

児童労働をなくすために、IPECは、参加国・地域で、以下のような活動を展開しています。

1.政労使をはじめとする関係者の取組みの動機づけ
2.児童労働に関する知識の普及と意識の向上
3.国の政策・行動計画の作成支援
4.児童労働の保護・防止に関する法制度の確立と執行
5.児童労働者に対する直接的支援活動
6.成功事例の普及・拡大
7.万人のための教育(EFA)、社会的保護、貧困削減、大人にはディーセント・ ワークの主流化
8.効果のモニタリングと評価

また、児童労働の危険にさらされている子ども、児童労働者、その家族とコミュニティに対しては、以下のような直接的なサービスを提供しています。

9.コミュニティ全体の意識向上
10.児童労働者の迅速な救出とリハビリテーション
11.教育・職業訓練の提供
12.対象となる家族の経済的エンパワメント
13.地域の児童労働モニタリング及び照会              

最近の動向を受けて、IPEC は、今後の優先的活動分野として、以下の9つを挙げています。

1.社会的保護プログラムの効果を活用 
2.児童労働に対する最も有意義な代替手段としての教育の普及
3.生計の改善を通じた家族の支援
4.脆弱で支援の手の届きにくい子どもたち(移民、家事労働、15歳以上の危険有害業務、等)のニーズへの対応
5.危険有害労働(特に農業)に就く最悪の形態の児童労働を撲滅
6.少年兵と紛争の影響を受ける子どもたちのニーズへの対応
7.ビジネスと人権
8.ILOの条約適用監視メカニズムの見解への対応 (ミャンマー、ウズベキスタンの児童労働)
9.アフリカにの重点化

以上、児童労働撤廃国際計画(IPEC)でした。

児童労働とは

法律で定められた就業最低年齢を下回る年齢の児童(就業最低年齢は原則15歳、健康・安全・道徳を損なう恐れのある労働については18歳)によって行われる労働。

児童労働は、子どもに身体的、精神的、社会的または道徳的な悪影響を及ぼし、教育の機会を阻害します。

児童労働の現状(2016年)

世界の児童労働者数(5~17歳):1億5200万人(うち7300万人が危険有害労働)
男女別: 男子8800万人  女子6400万人

地域別(人数、域内の子ども全体に占める割合):
アジア太平洋         6200万人(7.4%)
アフリカ                      7200万人(19.6%)
南北アメリカ         1000万人 (5.3%)
アラブ諸国                    116万人 (2.9%)
ヨーロッパ・中央アジア 553万人(4.1%)

経済部門別(人数、児童労働に占める割合):
農業                          1億700万人(70.9%)
サービス業                     2610万人(17.2%)
工業                             1800万人(11.9%)

児童労働者数(黄)と児童労働による危険有害労働者数(赤)の2000年以降の推移と2025年までの予測

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児童労働の原因

世界中で、多くの子どもたちが児童労働に陥る原因としては、以下のようなものが挙げられます。

• 貧困

• 教育機会の欠如(近くに通える学校がない、通学手段がない、制服代・文房具代・昼食代を払えない、不十分なカリキュラム、教員の不足、親が教育を受けていないため子どもを学校に通わせようとしない、など)

• 児童労働を当然視する地域社会、また無関心

• 差別

• 武力紛争や自然災害、HIV/エイズなどによる社会の混乱(子ども兵士、孤児、など)

• 農村部から都市への移住によるスラム化

• 不適切な法律の施行、など

最悪の形態の児童労働とは
児童労働の中でも「最悪の形態の児童労働」は、ILOの182号条約(1999年)によって、以下のように定められています。
  ①人身売買、徴兵を含む強制労働、債務労働などの奴隷労働
  ②売春、ポルノ製造、わいせつな演技に使用、斡旋、提供
  ③薬物の生産・取引など不正な活動に使用、斡旋、提供
  ④児童の健康、安全、道徳を害するおそれのある労働

SDGs 8.7 において、18歳未満の児童による最悪の形態の児童労働を2025年までに撲滅することをめざしています。

児童による危険有害労働とは

最悪の形態の児童労働の一つで、第182号条約の第3条(d)項により、「児童の健康、安全もしくは道徳を害するおそれのある性質を有する業務又はそのようなおそれのある状況下で行われる業務」と規定されています。

児童による危険有害労働は、最悪の形態の児童労働の中で最多数を占め、2016年時点では、世界で7200万人を超える子どもたち(5~17歳)が、農業、工業、建設、製造業、サービス業、ホテル・飲食業、家事労働、などの危険有害業務で働いていたとされています。

2016年~ 5-14歳:1億1000万人、15-17歳:3700万人
危険有害労働、5-14歳:3500万人、15-17歳:3700万人

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なお、各国政府が、禁止すべき児童による危険有害業務の種類を決定するにあたっては、関係のある使用者団体及び労働者団体と協議した上で、特にILOの第190号勧告(1999年)第3項の規定(以下a ~e)を考慮し、国内法令又は権限のある機関によって決めることとされています。

(a) 肉体的、心理的または性的な虐待
(b) 坑内、水中、危険な高所又は限られた空間
(c) 危険な機械等の使用、重い荷物の運搬
(d) 危険有害な物質、熱、騒音、振動等、不健康な環境
(e) 長時間労働、夜間労働、外出の不当な制限等、困難な条件

国連が2021年を児童労働撤廃国際年と宣言

国連総会は2019年7月25日に2021年を児童労働撤廃国際年とする決議を全会一致で採択しました。

決議は「強制労働を根絶し、現代の奴隷制、人身取引を終らせるための即時の効果的な措置を実施し、児童兵士の募集と使用を含む最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃を確保し、2025年までにあらゆる形態の児童労働を撲滅する」という

「持続可能な開発のための2030アジェンダ 」のターゲット8.7に向けた加盟国の公約に光を当て、国連の「児童の権利に関する条約」や、

ILOの「1973年の最低年齢条約(第138号)」、187全加盟国による批准が目前に迫った「1999年の最悪の形態の児童労働条約(第182号)」の重要性を認め、ILOに国際年の実施を主導するよう求めています。

 2017年11月にブエノスアイレスで開かれた「第4回児童労働の持続的な撤廃世界会議 」のフォローアップとしてアルゼンチンが発議し、78カ国が共同発起人に名を連ねるこの決議はまた、「児童労働の撤廃に関連した目標及びターゲットの実施を含む、持続可能な開発のための2030アジェンダの実施を確保するために世界規模のパートナーシップを再活性化する」ことの重要性を認めています。

アルゼンチンのマルティン・ガルシア・モリタン国連代表は、今回の決定が「児童労働や搾取にさらされる子どもが一人もいない世界、そして全ての人にとってディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)が現実のものとなる世界に向けて、日々前進を図る私たちの歩みと努力の倍加に向けた新たな一歩」となることへの期待を表明しています。

 創立年の1919年に採択した最初の条約の一つに「1919年の最低年齢(工業)条約(第5号) 」があるように、ILOは100年間の歴史を通じて児童労働の撲滅に向けて活動してきました。

現在は、世界中から強制労働、現代の奴隷制、人身取引、児童労働を根絶するというターゲット8.7の達成に向けた世界規模のパートナーシップである8.7連合 の一員としてその事務局を務めています。

 近年、立法と実践的な行動に支えられた各国の動員と活発な広報宣伝活動を主な理由として、大幅な進展が達成され、2000~16年の16年間だけでも児童労働は世界全体で36%の減少を示しています。

ILOの就労基本原則・権利部 のベアテ・アンドレエス部長は、このように児童労働に対する戦いが過去20年にわたってかつてなかったほど勢いを増してきていることを認めつつも、いまだに世界全体で1億5,200万人もの子どもが児童労働に従事している状況に注意を喚起し、

「私たちは明らかに、活動をさらにスケールアップする必要があり、2021年を児童労働撤廃国際年とした国連総会の決定は、田畑や鉱山、工場でなおも労役を強いられている数百万人の子どもたちに注意を集める大きな助けになることでしょう」と語っています。

 ILOの推定 では、2016年現在、5~17歳の子ども1億5,200万人が児童労働に従事していたと見られますが、その約半分に当たる7,300万人が危険で有害な労働に従事しています。

このような労働に一番多く見られる年齢層は15~17歳ですが、その最大4分の1に当たる1,900万人が12歳未満であると見られます。

児童労働者の約半分(48%)が5~11歳、28%が12~14歳、24%が15~17歳と見られます。

児童労働が最も多く見られるのは農林漁業といった第一次産業(71%)ですが、17%がサービス業、12%が鉱業などの工業に従事していると見られます。(以上はジュネーブ発英文記者発表 の抄訳です。)

ユニセフ・グローバルデータベース2014

児童労働に従事する子ども(5〜14歳)の割合 

世界全体* 13%
後発開発途上国 22%
サハラ以南のアフリカ 25%

東部・南部アフリカ 25%
西部・中部アフリカ 25%
南アジア 12%
南アメリカ・カリブ地域 11%
東アジア・太平洋地域 8%
中東・北アフリカ 9%
CEE/CIS 5%

TICAD7(アフリカ開発会議)で児童労働が議題にない

何故かしら、日本と言う国は「人権」について疎い。アフリカに関する書物を4冊見ても、「児童労働」に関する項目が見当たらない。何故か?

まあまあ色々調べた結果、TICAD7で3月から10月まで「TICAD7に関する外務省と※市民ネットワーク for TICAD連携協議会」の場が設定されたのだが、市民ネットワーク曰く「児童労働」のことは話題に出なかった、と言うことが判りました。

※市民ネットワーク for TICAD
(児童労働をなくす取り組みをしているNGO、労働組合、個人協力会員など、合計26の会員からなるネットワークグループです。)

また、岩附由香氏(認定NPO法人ACE 代表)もこの市民ネットワークに加入しているにも関わらずクラウドファンディング「REDYFOR」で2019年「児童労働ゼロの世界へ!ACE SDGsプロジェクト2019」で5,880,000円、2020年「今こそ誰一人取り残さない。ACE SDGsプロジェクト2020」で5,975,000円を獲得している。

そしてこのような内容の案内文

実際に電話で話してみたが、「ただの事務局なので」ということに終始しました。

最後に

第1段はこんな感じですが、
実際にはアフリカをネタにして活動している団体はここだけで多数あります。

しかし何度も言うようですが「児童労働」について本気で何かを取組んでいるNGOがあるのかないのかわかりません。
「成すすべなし」と思っている団体や個人が殆どではないかと言う気がします。一つだけわかったのは特定非営利活動法人ACEはクラウドファンディングをやってしたたかに経営上手だった、いうことでした。

(瑚心すくい)


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