クロロは公私のバランスを取っているだけの大人である 【HUNTER×HUNTER 考察】
結論から
・クロロは多重人格ではない
・刺青やバンダナにも大した仕掛けはない
蜘蛛の性質を視覚的に表現してるだけ
・リーダーとしての立場を貫きながら
自分らしさも失わないよう綱渡りをしているだけ
…です
ここのコマで「あれ?」と思ったファンは多いはず
いわゆる団長(刺青)モードなのに「殺るのは俺だ」と言い放ってます
共闘してる最中にヒソカを殺れるチャンスが生まれたら
シズクでもボノでもいいからトドメを刺させるべきでしょう
それがリーダーとして合理的な判断ですし、フィンクス達はそう考えています
明らかにバンダナ(素の)クロロのノリですが、でも団長(刺青)モードです
「クロロが私情を抑えられなくなってブレてる証拠だ、死亡フラグだ」
という考察がありました。なるほどありえますね
自分はあえて
「クロロはなんとか私情を抑えて団長を演じ切れている」説を推します
どういう事かというと
団長命令では「協力してヒソカを狩ってこい」としか言ってません
その役割分担として「殺る(アタッカー)のは俺が最適解だ」とクロロは主張してるのです
だからシズクとボノは「ヒソカのゴムと相性が悪いから団長に任せる」のであって
「殺す権利を団長に譲ってあげますよ」ではないわけです
決してチームプレイを乱す意味での「殺るのは俺」ではない、ということ
ギリギリ、団長命令の範疇なわけです
そしてこのシーンではクロロはバンダナを巻いています、素です
なぜ?全員集合してるならバシッと団長(刺青)モードで決めていいはず
それはイルミがいるからです、イルミの情報によっては作戦内容がガラリと変わってしまうからです
例えば「ヒソカは○層の〇〇にいるよ」だったら全員でフルボッコ作戦にするでしょう
「まだ団長命令が下せる段階じゃない」からバンダナを巻いているのです
そしてイルミが何も知らないと分かって、では手分けして狩るぞと
方針が決まったからバンダナを抜いで団長命令を下した、わけです
クロロはちゃんと団長を演じてます、ブレてはいません。ギリギリですけどね
ヨークシン編では、組織行動中なのにタイマンを楽しんでしまってます
「お宝を掻っ攫う、邪魔する奴らは皆殺し」という団長命令とは裏腹に
「能力を盗みたい」「ウボォーさんを弔いたい」という私的な行動が混ざっています
だからバンダナを巻いて素に戻っている
しかしこれも、ギリギリ団長命令には背いてないのです、実は
① ネオン(侵入経路)に近づくためには単独行動である必要がある
ネオンと仲良くなるために占いの話に持っていくのは必然である
そのついでに能力奪取できるなら蜘蛛として一石二鳥である
→私情だけではない
② インドアフィッシュは増援がドアを開けて入ってきたら解除されてしまう
屋内のタイマンでこそ真価を発揮するから「サシでやろう」と誘導した
→私情だけではない
② シルバとゼノはもともとイルミの介入でドローになる予定だった
同じ時間稼ぎならば能力奪取も狙うほうが蜘蛛に貢献できる
→私情だけではない
このように、クロロは素(バンダナモード)でも
団長として合理的な行動をとっていると一応解釈できます
つまり、クロロ・ルシルフルとは
リーダーとしての立場を貫きながら
どこまでなら公私混同しても許されるのか
そのラインを探りながらバランスを取っている大人なんだと思います
二重人格ではないし、刺青やバンダナに大した仕掛けも無いと思うのです
あったとして「ただの精神的なスイッチに近い能力」だと思う
クロロは念能力や精神分裂なんかに頼らなくても、
もともと色んなキャラクターを完璧に演じ切る天才児です
極悪人やサイコパスもそのレパートリーに含まれるでしょう
そしてサラサとの誓いで非情(悪党)になりきる決意もした
結成までに色々エグい体験をしてドライにもなっていったでしょう
「冷酷なる団長 クロロ・ルシルフル」は素で演じ切ることができると思うのです
だから時々、素のクロロが微量に漏れ出しているのです
そう思ったシーンはここ
いやいや
「オレに行かせてくれ」「頼む」じゃ駄目でしょう?
“ノブナガが鎖野郎を追う戦略的価値”を説明しないと
どこまでも合理的な団長は納得しないはずです
しかし団長は「いいだろう」と答えました
団長の中で合理的な答えが弾き出されたのでしょうか?
いいえ、団長は「そのかわり」と言ってます
「お前のワガママを聞いてやる代わりに」って意味ですよねこれ
ノブナガの感情を汲んであげて命令を下しています
もし団長クロロが、100%無感情なリーダーならば
「頼み事など聞くつもりは無いが、元よりお前は特攻隊
その刀は鎖野郎と相性もいいだろう、よし行け」
とかじゃないでしょうか?
まぁ「部下の鬱憤も晴らしてやらないと組織運営に支障が出る」
という意味での合理的判断と呼ぶこともできます
でもそこまでいったら、もはや別に機械的でも何でもない
ちゃんと人の心が理解できる良きリーダーではないでしょうか?
動機の言語化があまり好きじゃないのも
「割り切れない複雑な気持ち」をわざわざ割り切りたくないからでしょう
感情を失って人格をどこかに追いやってるならむしろ簡単に答えを出せるはずです
「え?赤の他人が死のうがどうでもいいだろ?」って
そう簡単に割り切れないから(精神分裂などしてないから)
「なんでだろうな、関係ないからじゃないか?」って疑問形なのです
真っ当ですよ、普通のことを中二病っぽく言ってるだけ
そしてこの場面
“ノブナガが公私混同を正直に告白する”シーンです
前述したクロロの公私混同ムーブとまったく同じです
それどころか作戦に支障が出ない範囲での遊び(余興)は認められていると判明
そう、バンダナクロロとはこの“余興”モードなのです
命令違反モードではありません、あくまで命令範囲内での遊び
つまり
団長クロロの中にバンダナクロロが存在している状態です
精神分裂ではありません、体系的で多面的なだけ、つまり普通です
私達でいう職場モードとプライベートモードと性質は何も変わらない
道中ならば“余興”すら許されるほどゆるゆるだけど
基本方針には死を賭けてもらう、公私のバランスが極端なのが幻影旅団なのです
その振り幅の大きさを、幻影旅団という組織の性質を
“刺青とバンダナのモードチェンジ”という形で視覚的に表現しているのです
それだけだと思います。クロロの精神はギリギリ統一されていると思う
それぐらい団長クロロとバンダナクロロの差が繊細で曖昧すぎるのです
だからこうやって様々な考察がなされてあーでもないこーでもないしてるわけで
一般読者はそもそも差をキチンと認識すらしてないのではないか?
そんな状態で「実はクロロは多重人格だったのだ!(バーン)」とやられても
( ゚д゚)ポカーン続出ではないだろうか?「え?どこ?どこで交代してたの?」って
ドラマチックというより間違い探しみたいなコンテンツにならないでしょうか?
もしくは「バンダナクロロ」ではなくもっと分かりやすい
「少年クロロ」の方が封印されてて、団長と精神が分裂してしまった?
それだとバンダナクロロが泣いてた事と矛盾してくるわけです
バンダナクロロと少年クロロは記憶を共有してないとおかしい
額の刺青やバンダナは冨樫先生のミスリードではないか?とすら思うのです
なんでもかんでも念能力に当てはめたがる私達考察勢を引っ掛けるための
対ヒソカ戦でやったミスリードを、考察勢にも仕掛けてきてるのではないか?と
「幽遊白書の仙水が多重人格だったからクロロもそうするか〜」って
安易な方向には走らない気がするのです、むしろ魅せ方を変えてくるはず
「多重人格に見せかけて、ただただ理想と現実の板挟みになって苦しんでいる1人の大人を描いていただけ」だったのではないか?
クロロが強すぎて、弱音も迷いもまったく見せないから、まるで念で記憶操作されてるように見えてるだけで…
……以上です
正直、今回は自信がありません
あれだけ刺青&バンダナや二重人格っぽい描写が長年あって、色んな考察がなされてるのに
「大した裏はない、描いてあることがすべて」って結論なのは自分も驚きました
なんというか、人間の心って、すごく微妙で繊細なもので
そこに記憶改竄だの感情制御だの人格交代だのって設定を
後から安易に盛り込むとドラマが陳腐化してしまうんじゃないか…って
クロロはクロロの精神力だけで、心の中で葛藤をぶつけ合いながら
最後まで団長を演じ切ろうとしている、その中で自分らしさを忘れないようにしてる
って解釈のほうが、個人的にはしっくりくるのでそれに従いました
まぁ冨樫先生ならばドラマが陳腐化しないような形で
バンダナや刺青の念能力を設定してくる可能性は大いにあるので
その時は自分が凡愚だったというだけの話ですね
世紀の天才の発想力など読めるわけがない、ということで
あっ、祝!10月連載再開!
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